False pandemics（偽りのパンデミック）

　日本ではほとんど伝えられていませんが、欧州47か国が加盟する欧州会議（http://www.coe.int/）は12日、ＷＨＯと新型インフルエンザのワクチンを製造する製薬会社との癒着が、パンデミックを宣言したＷＨＯの判断に影響を与えた可能性があるとして、仏ストラスブールで25日から開催される今度の会議で、この問題について緊急動議として取り上げると発表しました。

PACE winter session: ‘False pandemics, a threat to health’
　（欧州会議プレスリリース　2010.01.12）

　この動議は同会議保健衛生委員会の委員長で、感染症を専門とするドイツ人医師ボーダルク氏が「False pandemics（偽りのパンデミック）」という動議を提起したことが発端で、同氏は各紙のインタビューなどに対し、「新型インフルエンザによる死亡者は推測数より少なく、脅威は誇張されたものであった」として、「各国政府は抗インフルエンザ薬やワクチンの備蓄や購入に貴重な医療費を費やされた」と痛烈に批判しています。

The ‘false’ pandemic: Drug firms cashed in on scare over swine flu, claims Euro health chief（Mail Online 2010.1.11、ものすごいコメント数です）
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1242147/
The-false-pandemic-Drug-firms-cashed-scare-swine-flu-claims-Euro-health-chief.html

　今回の動議が認められれば、28日に審議が行われる他、２６日には、ＷＨＯの代表や製薬会社、専門家から非公開でヒアリングが行うことも発表しています。

　日本でも報道されていますが、欧州各国では、接種率の低さからワクチンが大量に余り、売却や売買契約解除の動きが出るなど、WHOの指針に従って各国政府が行ってきた対応策について、批判が高まっていることも背景にあるようです。

　感染症やワクチンの専門家からは冷ややかな見方もあるかもしれませんが、国が公衆衛生対策として、国民への啓発をどのように行うべきか、対策費（医療費）をどのように使うべきかという視点でも議論することは必要なことかもしれませんね。

　なお、WHOも外部の専門家などの意見を聞くなどの独自の検証を行っていくようです。

　抗インフルエンザ薬の備蓄や供給の問題も俎上に挙がる可能性があるので、今後の報道に注目したいと思います。

関連ブログ：偽りのパンデミック？？（新型インフルエンザ・ウォッチング日記 2010年1月13日）
　http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/8600fd4f876226cb8ea32e03f8c22e99

関連情報：TOPCIS　2009.12.09　タミフルの合併症の予防効果を疑問視（海外研究）

参考：
ＷＨＯ、製薬会社と癒着？新型インフルで欧州会議が調査
　　（朝日新聞1月13日）
　http://www.asahi.com/international/update/0113/TKY201001130139.html

1月14日 9:50更新

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2010年01月14日 00:51 投稿