15日開催の中医協で、長妻昭厚労相は2010年度診療報酬改定を中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問しています。
第160回中央社会保険医療協議会 総会 議事次第(2010年1月15日)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0115-6.html
既に概要については本サイトで紹介済み(TOPICS 2009.12.16 2009.11.25)ですが、改めて現時点の骨子から抜粋したいと思います。
平成22年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)
(2010年1月15日 中央社会保険医療協議会)
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p100115-1a.pdf
III−7 調剤報酬について
- 長期投薬時における一包化薬調剤料と内服薬調剤料の差を縮めるため、一包化薬調剤料を見直し、内服薬調剤料の加算として位置付けた上で長期投薬時の評価を適正化するなど、患者に分かりやすい点数体系とする。
また、併せて、長期投薬の増加を踏まえ、現行22日分以上の調剤料が一律となっている内服薬調剤料について適切な評価を行う。 - 湯薬の調剤料について、投薬日数の伸びとそれに伴う調剤に要する手間にかんがみ、適切な評価を行う。
- 特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が処方された患者に対して、調剤時に関連副作用の自覚症状の有無を確認するとともに、服薬中の注意事項等について詳細に説明した場合の評価を新設する。
- 処方せん受付回数が4,000回超/月等の場合に適用される調剤基本料の特例について、夜間・休日等の対応や訪問薬剤管理指導を行い、地域医療を支える薬局であっても、近隣に比較的規模の大きい病院が1つしかないために、結果として適用となる場合があることから、時間外加算等や在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定に係る処方せんについて受付回数から除いた上で特例の適用の要否を判断することや評価の引上げを行うことなど、所要の見直しを行う。
IV−1 後発医薬品の使用促進について
- 薬局における後発医薬品の調剤を促すため、調剤基本料の後発医薬品調剤体制加算の要件(処方せんベースでの後発医薬品の調剤率30%以上)を変更し、数量ベースでの後発医薬品の使用割合で規定することとする。
具体的には、使用割合が20%以上、25%以上及び30%以上の場合に段階的な加算を適用することとし、特に25%以上及び30%以上の場合を重点的に評価することとする。 - 薬局の在庫管理の負担を軽減する観点から、「変更不可」欄に署名等のない処方せんを受け付けた薬局において、
(1)変更調剤後の薬剤料が変更前と同額又はそれ以下であり、かつ、
(2)患者に説明し同意を得ること
を条件に、処方医に改めて確認することなく、処方せんに記載された先発医薬品又は後発医薬品と含量規格が異なる後発医薬品の調剤を認めることとする。
また、同様の観点から、患者に説明し同意を得ることを条件に、処方医に改めて確認することなく、処方せんに記載された先発医薬品又は後発医薬品について、類似した別剤形の後発医薬品の調剤を認めることとする。
なお、薬局において、含量規格が異なる後発医薬品又は類似した別剤形の後発医薬品への変更調剤を行った場合には、調剤した薬剤の銘柄、含量規格、剤形等について、当該処方せんを発行した医療機関に情報提供することとする。 - 医療機関における後発医薬品の使用を進めるため、薬剤部門が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ院内の薬事委員会等で採用を決定する体制を整えるとともに、後発医薬品の採用品目数の割合が20%以上の医療機関について、薬剤料を包括外で算定している入院患者に対する入院基本料の加算として、評価を行う。
- 外来患者が、より後発医薬品を選択しやすいようにするため、保険医療機関及び保険医療養担当規則等において、保険医は、投薬又は処方せんの交付を行うに当たって、後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない旨を規定することとする。
II−1 医療の透明化に対する評価について
医療の透明化を推進する観点から以下の取組を行う。
- 明細書の発行が義務付けられる医療機関の対象を拡大する。また、保険薬局についても同様に義務付けを行う。
- 電子化加算について、医療のIT化や明細書の発行の推進のための点数として見直す。
- 調剤レセプトと医科レセプト等の突合を効率的に行えるようにする観点から、処方箋及び調剤レセプトの様式を見直し、医療機関コード等を記載することとする。
?−3 医療安全対策の推進について
医療安全対策については、医療の高度化、複雑化、患者の高まるニーズに対応するため、更なる充実を図る必要があることから、以下の見直しを行う。
- 医療安全対策加算については、評価の引上げを行うとともに、より多くの病院において医療安全対策を推進する観点から、質を担保しつつ、要件を緩和した評価を新設する。また、感染症の専門的な知識を有する医療関係職種から構成されるチームによる病棟回診や、抗生剤の適正使用の指導・管理等の感染防止対策の取組の評価を行う。
- 医療機関における医薬品安全性情報等の管理体制の更なる充実を図るため、
・専任の医薬品安全管理責任者を配置し、
・医薬品情報管理室において、医薬品の投薬及び注射の状況や外部から入手した副作用等の情報を一元的に管理するとともに、
・その評価結果等を関連する医療関係者に速やかに周知し、必要な措置を速やかに講じることができる体制の評価を行う。 - 医療機器の安全使用を推進するため、医療機器の安全管理に関し、さらなる評価を行う。
- 専任の医師又は専任の臨床工学技士を配置し、使用する透析液についての安全性を確保して人工透析を実施する場合の評価について検討する。
その他
- 統合失調症患者に対して投与する抗精神病薬の種類数を国際的な種類数と同程度としていることを評価することを検討する。(精神科慢性期入院医療の評価)
また、上記骨子とは別に中医協では下記の様な提案も行われています。(その後、これらは今回の改定では見送りになっています。)
DPCにおける病棟薬剤師配置の評価について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/dl/s0115-6e.pdf
救命救急センターの救急外来を受診する軽症患者について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/dl/s0115-6c.pdf
なお、今回の骨子については、22日までパブリックコメントが実施されます。気になる点はどんどん意見を提出しましょう。
「平成22年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について
(2010年1月15日 中央社会保険医療協議会)
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p100115-1.html
関連情報:TOPICS
2009.11.25 次回調剤報酬改定の論点
2009.12.16 来年4月からの後発医薬品使用促進策が了承
関連記事:CBニュース1月15日(一定期間を過ぎるとログイン必要)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25931.html
1月15日 21:00更新
2010年01月15日 11:30 投稿
19日のRISFAX HEADLINE によれば、「数量ベース30%以上に加算190円」という見出しが躍っています。
厚労省の配慮はありがたいですが、従来通りこれをそのまま基本料に上乗せとなると、薬局間で一部負担金に差が出ることは必至ですね。
同じ薬局でも時期によって異なる可能性があることを考えると、かえって「薬代がどうして薬局によって違うのか」「同じ薬なのに、なぜ先月と薬代が違うのか」という不信を生むような気がしてなりません。
こういった加算については、患者一部負担金から除外するということはできないのでしょうか。