3日開催の中医協総会に、調剤報酬の個別項目についての改定案が示されています。
第165回 中央社会保険医療協議会総会(2010年2月3日)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0203-5.html
「四つの視点」関連項目(調剤報酬及び後発医薬品の使用促進、資料(総-2))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0203-5b.pdf
改定案のポイントは、以下の通りです。(3日の中医協に案として示されたもので決定ではありません)
- 22日分以上77点だった内服薬の調剤料を、「22日分以上30日分以下」「31日分以上」の区分に分ける
- 57日分以上の一包化薬については定額にする
- 日数に係わらず、1調剤につき190点だった湯薬の調剤料を、「7日分以下」は190点、「8日分以上28日分以下」は日数等倍の加算点、「29日分以上」は定額とする
- 安全管理が必要な医薬品を調剤した場合であって、当該医薬品の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、薬剤服用歴管理指導料に加算ができる
- 処方せんの受付回数が1月に4,000回を超える保険薬局(特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が 70%を超えるものに限る。)の調剤基本料18点を見直すとともに、処方せんの受付回数4,000 回超/月への該当性の判断に当たっては、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・休日等加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料及び介護保険における居宅療養管理指導費の算定に係る処方せんを受け付けた場合については、処方せんの受付回数に含めないこととする
- 後期高齢者薬剤服用歴管理指導料を廃止し、薬剤服用歴管理指導料に一本化する。(即ち、35点→30点 手帳を算定すれば15点)
- 後発医薬品調剤体制加算については、直近3か月間の医薬品の調剤数量(調剤した医薬品について薬価基準上の規格単位ごとに数えた数量のことをいう) のうち、後発医薬品の調剤数量の割合が、 「20%以上」「25%以上」「30%以上」の3区分に分け評価をする。
なお、1回の使用量と薬価基準上の規格単位との差が大きく、かつ、後発医薬品が存在しない経腸成分栄養剤(エンシュア・リキッド、ラコール等)及び特殊ミルク製剤(フェニルアラニン除去ミルク及びロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク)については、後発医薬品の調剤数量の割合を算出する際に、分母から除外することとする。
また、平成 22 年度薬価改定の結果、次の医薬品(バルプロ酸ナトリウム、塩酸アンブロキソール、テオフィリン、アモキシシリン、セファレキシン、過テクネチウム酸ナトリウム、マルトース、マルトース加乳酸リンゲル等(薬価改定の告示にあわせて該当する医薬品については明示する。))の一部の後発医薬品の薬価については、先発医薬品の薬価よりも高くなる見込みであることから、これら薬価が高くなる品目については、後発医薬品の使用に係る診療報酬上の評価の対象としている「診療報酬における後発医薬品」のリストから除外することとする。 - (病院・診療所に関して)
医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価医療機関における後発医薬品の使用を進めるため、薬剤部門が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ院内の薬事委員会等で採用を決定する体制を整えるとともに、後発医薬品の採用品目数の割合が 20%以上の医療機関について、薬剤料を包括外で算定している入院患者に対する入院基本料の加算を創設する。
実際の点数は本日の資料では示されていませんが、一部報道では、後発医薬品調剤数量30%超は19点、18点の調剤基本料は28点に引き上げという話があるようです。
この案の通りですと、テオロング錠100mg/200mg、ムコサールドライシロップ、アモリン細粒/カプセルなどは先発品扱いになるようです。
懸念されていた調剤基本料の引き下げはないようです。後期高齢者のマイナス5点と一包化加算の一部定額化で財源を図ったようですが、財源は十分なのでしょうか? 後発医薬品調剤体制加算の算定率を低く見積もっているのでしょうか。また、内服調剤料の実質引き下げにならないといいのですが。
一方、後発医薬品への変更調剤については、下記のような記載があります。
- 薬局の在庫管理の負担を軽減する観点から、「後発医薬品への変更不可」欄に署名等のない処方せんを受け付けた薬局において、「変更調剤後の薬剤料が変更前と同額又はそれ以下」であり、かつ、「患者に説明し同意を得ること」を条件に、処方医に改めて確認することなく、処方せんに記載された先発医薬品又は後発医薬品と含量規格が異なる後発医薬品の調剤を認めることとする。
(規格の違いにより効能・効果や用法・用量が異なる品目については、対象外とする) - 患者に説明し同意を得ることを条件に、処方医に改めて確認することなく、処方せんに記載された先発医薬品又は後発医薬品について、類似した別剤形の後発医薬品の調剤を認めることとする。
- 類似した別剤形の例(各項に掲げる範囲内で変更調剤が可能)
(内服薬の場合)
ア) 錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
イ) 散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る。)
ウ) 液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤(内服用液剤として調剤する場合限る。)
(外用薬の場合)
ア) 軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、散布剤、ゼリー、パウダー剤
イ) 噴霧剤、吸入剤、噴霧用カプセル剤
ウ) パップ剤、貼付剤、硬膏剤 - 処方医が、「処方せんに記載した先発医薬品又は後発医薬品の一部について、含量規格が異なる後発医薬品への変更に差し支えがあると判断した場合」及び、「先発医薬品又は後発医薬品の一部について、類似した別剤形の後発医薬品への変更に差し支えがあると判断した場合」には、「後発医薬品への変更不可」欄に署名等を行わず、当該先発医薬品等の銘柄名の近傍に「含量規格変更不可」や「剤形変更不可」と記載するなど、患者及び薬局の薬剤師にも明確に変更不可であることが分かるように、記載することとする。
クリーム→軟膏、パップ剤→プラスター剤への変更も可ということになるのかもしれませんが、「先発医薬品と後発医薬品との間で同等性が確認されている範囲での変更に限る」という但し書きがあるので、実際には変更できるかどうか・・・
また総会には、領収書とレセプトの新様式案が示されています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0203-5g.pdf
処方せん及び調剤レセプトに、以下の記載を加えることとする。なお、経過措置期間を設け、平成 22 年9月までは従前の様式でも可とする。
(1) 都道府県番号(都道府県別の2桁の番号)
(2) 点数表番号(医科は1、歯科は3)
(3) 医療機関コード(医療機関別の7桁の番号)
本記事は、続報があれば更新します。
関連情報:TOPICS
2010.01.15 診療報酬改定を諮問、パブコメも実施
2009.11.25 次回調剤報酬改定の論点
2月3日 12:50更新
2010年02月03日 11:28 投稿
3日の議論では、テオロングなどを後発品からはずすことについては、後発品の解釈をめぐって現場が混乱するとの慎重論が相次いで、継続審議になったようです。
厚労省提案「先発品より高い後発品」は加算から除外
(日刊薬業WEB フリーサイト2月3日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226552408391.html?pageKind=outline
薬事日報で記事が出ています
【中医協総会】調剤報酬改定内容を了承‐長期投薬で調剤料見直し
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2月4日)
http://www.yakuji.co.jp/entry17987.html
合意になったもの
内服薬調剤料への31日分以上の区分創設
ハイリスク医薬品の指導加算
調剤基本料の特例の該当要件を緩和と点数引き上げ
審議継続になったもの
後発医薬品調剤体制加算における後発品調剤率の算出除外品目
変更調剤の範囲の取り扱い
5日開催の中医協総会で、後発医薬品調剤体制加算における後発品調剤率の算出除外品などについての追加資料が提出され、テオロングなどの具体名が提示されています。
第166回 中央社会保険医療協議会総会(2010年2月5日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0205-7.html
「診療報酬において後発医薬品調剤体制加算等の算定対象となる後発医薬品」の考え方について
(資料 総−4−1)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0205-7f.pdf
後発医薬品の使用促進について(資料 総−4−2)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0205-7g.pdf
なお、後発医薬品調剤体制加算については次のような解釈が追加されています。
「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品」のリスト
から除外する品目については、薬価改定の告示にあわせて公表し、
当該取扱いは4月からの実施とするが、直近3ヶ月間の実績に基づ
き診療報酬上の評価を行っている後発医薬品調剤体制加算につい
ては、経過措置を設けることとする。
具体的には、1月から3月までの後発医薬品の調剤数量について
は、 現行の「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬
品」に基づき算出することとするとともに、1月から3月の実績で要件
を満たす薬局については、平成 22 年9月末までの間、要件の1割
以内の変動の範囲の実績で、加算の算定を認めることとする。
要件の1割以内の変動の範囲の実績って、どう解釈するんでしょうね。
日経DIオンラインに3日の中医協総会の様子が伝えられています。
後発品数量ベースの除外品目が明らかに
2010年度調剤報酬改定、個々の算定要件を議論
(日経DIオンライン 2月5日 要会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201002/514053.html
総会で日薬の三浦委員が、「漢方製剤を後発医薬品調剤体制加算の計算から外してほしいという意見が多くの薬局から出されている」と発言したのに対し、厚労省保険局医療課薬剤管理官の磯部氏は、「後発医薬品調剤体制加算を基本料への加算にしている意味は、『患者が安い後発品をもらえる可能性が高い』薬局を評価するということだ。そもそも漢方は後発品がなく、患者からすれば安くなる可能性がないわけなので、漢方だけ計算から除外するというのは趣旨と異なる」と反論したとのこと。(上記記事より引用)
磯部管理官の発言はわからないわけではありませんが、結果的に本当に後発医薬品に置きかえる必要があるのかというものまで変更を促すことにつながりかねず、(低薬価品の変更では、後発医薬品加算2点でかえって高くつくことも、外用薬剤形の変更可の提案もそうですね)、後発医薬品の使用率アップという結果だけが目標となっているように思えてなりません。
日刊薬業WEBの見出しによれば、 5日の中医協では、
「先発品より高い後発品」の算定除外については、さらに継続審議
別剤形の変更調剤については、外用薬は「対象外」となったようです
8日夕方に行われる中医協総会の資料が掲載されています。
第167回 中央社会保険医療協議会総会(2010年2月8日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0208-5.html
資料を見る限り、新たな案は提案されていませんが、下記の文言が追加されています。
> 具体的には、平成22年1月から3月までの後発医薬品の調剤数量につ
>いては、現行の「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品」
>に基づき算出することとするとともに、1月から3月の3か月実績で要件を
>満たす薬局については、7月から9月の3か月実績分まで、要件の1割以
>内の変動の範囲で、加算の算定を認めることとする。
> これは、後発医薬品調剤体制加算が、直近3か月間の平均で加算の適
>否を判断するものであり、8月から10 月の3か月実績については、要件の
>1割以内の変動では認められないことを指すが、この場合、届出事務の手
>続き上12月調剤分から加算が適用されないということになる。
よく意味がわからないです。
8日の中医協で決着したようです。
医療介護CBニュース2月8日(一定期間を過ぎるとログイン必要)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/26263.html
つまり、テオロング錠などをいきなり後発医薬品からはずすのは影響が大きいので、半年間に限り、テオロング錠などもカウントに入れてもいいということのようです。
市場原理とはいえ、後発品=価格が安いというのが本来あるべき姿ですから、薬価が逆転した時点で、後発品とすべきかどうか取り扱いを検討すべきだったですね。
今回の改定では薬局ばかりに努力が求められていますが、数量ベースでの後発医薬品の使用率アップを考えるのであれば、新薬シフトにブレーキをかけ、エビデンスのある(後発医薬品が存在する)従来品(ACE阻害剤など)の処方推進も考えるべきではなかったでしょうか(処方侵害だといわれそうですが)
多くの方が指摘していますが、純粋に「後発医薬品の変更率」で評価するのであれば、ハードルを上げてでも、少なくとも後発医薬品そのものがない漢方薬や一般名収載の局方品はカウントから、はずすべきだった思うのですが。