第1回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

 8日、厚労省の第1回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議が開催され、欧米で承認されている未承認薬・適応外薬の国内導入に向けた検討が開始されています。

第1回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(2010年2月8日開催)
 厚労省資料(3月2日掲載・一部資料修正) WAMNET資料(2月16日掲載)
 速記録(3月18日掲載)

 この検討会は、以前より開催されていた「未承認薬使用問題検討会議」(→keywords 最近全く更新していませんが)と「小児薬物療法検討会議」(Keywords 内にまとめようと思ったのですが・・)を発展的改組して設置されたもので、検討の対象とするものはこの2つの会議が行ってきた条件を踏襲するようです。

次の1及び2の両方に該当するものが対象となる未承認薬・適応外薬

  1. 適応疾病の重篤性が次のいずれかの場合
    ア) 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)
    イ) 病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患
    ウ) その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患
  2. 医療上の有用性が次のいずれかの場合
    ア) 既存の療法が国内にない
    イ) 欧米の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れている
    ウ) 欧米において標準的療法に位置づけられている

厚生労働省関係審議会議事録等・医薬食品局(スクロールして下さい)
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#iyaku

 また、今回の検討会で特徴的なのは、未承認薬・適応外薬の医療上の必要性を評価するだけではなく、公知申請への該当性や承認申請のために追加で実施が必要な試験の妥当性の評価(つまり、エビデンスがあれば、臨床試験なしで適応症の追加も可能)、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発促進に資する事項(開発助成の是非、支援額の上限など)についても検討が行われる点です。

 今後は、学会・患者団体等からパブリックコメントで出された未承認薬・適応外薬に係わる374件(未承認薬89件、適応外薬285件)の要望(→資料5:未承認薬・適応外薬の開発の要望の一覧表)から、次回の会合までに、米英独仏のいずれかで承認されていることを前提条件に、適応疾患の重篤性や医療上の有用性の観点から、開発すべき医薬品を選定し、企業に開発を要請する作業が行われます。(→資料6:検討会議における検討の進め方)

 今回、このような検討会が立ち上げられた背景には、2010年度薬価改定で新薬創出・適応外薬解消等促進加算が導入(TOPICS 2009.12.11)されたこともあります。薬価を事実上据え置く代わりに、得た収益を新薬の開発や適応外の開発を企業に促すというものです。

 そのため、この検討会で開発が必要と判断されたものについては、企業が半年以内に公知申請するか、1年以内に治験に着手しなければ、2012年度薬価改定では、その企業が抱える全ての新薬にこの新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されなくなるという仕組みも導入されています。

 今後は、代謝・その他、循環器、精神・神経、抗菌・抗炎症、抗癌、生物、小児の7つのワーキンググループに分かれて検討が行われます。(資料8-1、専門作業班(WG)の設置について)

関連情報:TOPICS 
 2009.12.12 適応外使用・未承認薬についての意見募集の結果
 2009.12.11 薬価算定に新薬創出・適応外薬解消等促進加算が導入へ

参考:未承認薬検討会議が初会合‐3月末に選定・開発要請へ
    (薬事日報HEADLINE NEWS 2月9日)
     http://www.yakuji.co.jp/entry18047.html
   ロハス・メディカル(2月11日)
     http://lohasmedical.jp/news/2010/02/11130519.php

3月19日 リンク追加


2010年02月18日 11:56 投稿

Comments are closed.