シタグリプチンの追加投与時はSU剤の減量が必要

 日本糖尿病協会の「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」は8日、昨年12月以降、SU薬にシタグリプチン追加投与した症例から重篤な低血糖による意識障害を起こすケースが複数報告されたとして、医療従事者向けに適正使用に関する勧告を行っています。

【医療従事者向け】「インクレチンとSU薬の適正使用について」
(日本糖尿病協会 2010.4.8)
 http://www.nittokyo.or.jp/kinkyu_incretin100408m.html

 同協会によれば、重篤な低血糖を起こすケースとしては以下の特徴を認めているとのことです

  1. 高齢者
  2. 軽度腎機能低下
  3. SU薬の高用量内服
  4. SU薬ベースで他剤併用
  5. シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現

 これを踏まえ、同協会では、SU薬ベースで治療中の患者でシタグリプチンを追加投与する場合、SU薬は減量が望ましいとし、特に高齢者(65歳以上)、軽度腎機能低下者(Cr 1.0mg/dl以上)、あるいは両者が併存する場合、シタグリプチン追加の際にSU薬の減量を必須とすることを勧告しています。

 具体的には、

  • アマリール2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる。
  • オイグルコン(ダオニール)2.5mg/日を超えて使用している患者は2.5㎎/日以下に減じる。
  • グリミクロン40㎎/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる。
  • この量以下で、血糖コントロール不十分な場合はそのままシタグリプチンを併用し、必要に応じてSU薬を増量する。
  • SU薬が上記の量以下で、治療されていて血糖コントロールが不十分な場合はそのままシタグリプチンを併用し、血糖の改善がみられれば、必要に応じてSU薬を減量する。

などとし、SU薬を使用する場合には、常に低血糖を起こす可能性があることを念頭に置き、患者にも低血糖の教育など注意喚起が必要であるとしています。


2010年04月14日 23:02 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    日本糖尿病協会は11日、リラグルチド(ビクトーザ皮下注)、アログリプチン(ネシーナ錠)の販売開始に伴い、4月8日に初発した医療従事者向けの適正使用に関する勧告を更新しています。

    【医療従事者向け】「インクレチンとSU薬の適正使用について」
    (日本糖尿病協会 2010.6.11修正)
     http://www.nittokyo.or.jp/kinkyu_incretin100408m.html

    このうち、GLP-1受容体作動薬のリラグルチドについてはは、DPP-4阻害薬に比し、より作用が強力であるとして、リラグルチドは段階的(0.3mg→0.6mg→0.9mg)に投与量を増加し、最大量(0.9mg)に達してから暫くの間、慎重な観察が必要であるとしています。