豪州では、今日5月1日から、リン酸コデインが配合されたOTC鎮痛剤についての販売規制が開始されています。
Codeine changes take effect from tomorrow, 1 May
(The Pharmacy Guild of Australia 2010.04.30)
http://www.guild.org.au/content.asp?id=2798
Codeine Schedule Changes
(The Pharmacy Guild of Australia)
http://www.guild.org.au/content.asp?id=2696
対象となるのは、Neurofen plus(イブプロフェン+コデイン)、Panadeine(アセトアミノフェン+コデイン)、Mersyndol(アセトアミノフェン+コデイン+ドキシラミン)などのリン酸コデインが配合されたOTC鎮痛剤で、これは、5月1日からのPharmacy Medicines(S2:薬局医薬品の医薬品)がPharmacist Only Medicines(S3:要薬剤師薬)に分類が変更されることに伴うものです。(但し、風邪の効能のあるものについては、6日分までの製品についてはS2が維持)
Codeine rescheduling – information for sponsors
(TGA 2010.2.24 Update 3.15)
http://www.tga.health.gov.au/npmeds/codeine.htm
今回の販売規制は、これらOTC医薬品による潜在的な依存や誤用があるためで、次のような厳しい対応が行われます。
- 薬局で販売できるのは、5日分(1回12mg、1日100mgまで)までの包装のみ。これを超えるものは、処方せん医薬品
- 消費者は、薬剤師から使用の妥当性についてアドバイスを受けた後でないと購入できない
- 薬局は、購入記録を保存する
- テレビやラジオ、雑誌などでの広告禁止、ポスターや店頭でのプロモーションも禁止
豪州ABCによれば、Twitterでは「中毒の人は何とかしてでも手に入れようと思うし、他のものに依存するよ」などの声があると伝える他、業界団体なども「規制の効果は少なく、消費者が不便を強いられる」と指摘していますが、やはり、「頭痛で常用→潜在的依存」という現実は無視できない状況なのでしょう。
英国(TOPICS 2009.09.04)のように、風邪薬への配合禁止という措置はとられていない点は気がかりですが、こういった対策が取られることで、消費者のOTC鎮痛薬への関わり方が変わることは間違いないでしょう。
以前にも指摘しましたが、日本でも(アセトアミノフェン/イブプロフェン+リン酸ジヒドコデイン)が配合された総合感冒剤は相当数存在します。
風邪の症状がある時に、必要な期間だけ使用しているのであれば問題はないでしょうが、テレビコマーシャルや店頭での山積み販売を見ると、ちょっとした症状で気軽に使用して、それが依存やつながるということはないのかどうか大いに懸念されるところです。
ネット上でも、パブロン中毒の相談の書き込みがある他、私のところでも、ちょっと具合が悪いときに1日10包のパブロンを飲むことを自慢していた人がいました。
また、これら製品による依存や過量服用が続くと、アセトアミノフェンによる肝障害やイブプロフェンによる消化器障害も無視できないですね。
コデインの濫用は、ブロン液の一気飲みだけではありません。日本でも、こういった問題が本当にないのかどうか、関係者はしっかりと調査を行い、対応策を検討すべきではないでしょうか。
関連情報:TOPICS
2010.04.29 OTC医薬品の使用環境における問題点と今後の課題(学会シンポ)
2009.09.04 ジヒドロコデイン配合OTC風邪薬,事実上使用禁止へ(英国)
2009.01.26 OTC鎮痛剤で依存が起こるか?(英国)
参考:Codeine crackdown comes into effect
(豪州ABC 2010.5.1)
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/05/01/2887640.htm
2010年05月01日 14:08 投稿
6月1日、厚労省はコデイン類が配合されたOTC製品の添付文書改訂を指示しています。
使用上の注意改訂情報(平成22年6月1日指示分)(PMDAウェブサイト)
【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。
[してはいけないこと]の項に
「過量服用・長期連用しないこと」
を追記する。
「依存する可能性があります」などの理由もはっきり書いた方がいいと思うのですが、どうなのでしょう?
また、外箱にも記載されるのでしょうか?