地域薬局の薬剤師などで構成される The Pharmacy Guild of Australia(豪州薬局組合 http://www.guild.org.au/)と、the Department of Health and Ageing(豪州保健省 http://www.health.gov.au/)が3日発表した、the Fifth Community Pharmacy Agreement が、地域薬局の業務領域の拡大になるとして、豪州では話題になっています。
Media Release: New Agreement: quality care for consumers, certainty for community pharmacy, expanded role for pharmacists
(The Pharmacy Guild of Australia 2010.5.3)
http://www.guild.org.au/content.asp?id=2800
Better Pharmacy Services
(Department of Health and Ageing 2010.5.4)
http://www.health.gov.au/internet/ministers/publishing.nsf/Content/mr-yr10-nr-nr079.htm
この、Fifth Community Pharmacy Agreement というのは、今後5年間の業務についての地域薬局と政府との合意事項のことで、内容は連邦政府による地域薬局への医療費の割り当て額や、地域薬局が行うべき業務(導尿病や喘息のマネジメント)、電子処方の推進などについてですが、今回注目されているのは 保健省のステートメントでは触れられていないのですが、かかりつけの医師に訪問できない・会えないなどの条件付きながら、高脂血症薬と経口避妊薬については、過去6ヶ月以内に処方歴がある場合には、処方せんなしでも販売ができるという制度が導入される点です。(いわゆるリフィルと似たようなもの?)
当然、豪州医師会は反発していますが、保健省としては処方せんなしでの販売は限定的であり、処方薬へのアクセス改善には必要の措置とのことようです。(将来的には適用範囲が拡大?)
Community pharmacy agreement – Government puts patients at risk
(Australian Medical Association 2010.5.4)
http://www.ama.com.au/node/5539
もっとも、今回の合意では、薬局の適正配置(スーパーマーケット内での開設禁止など。薬局数自体もコントロール?)も合意に盛り込まれており、だれもが同じように処方薬がアクセスできることも求められています。
米国など、一部の国では既にこういったリフィルの仕組みが取り入られていますが、医療費の効率化を考えれば、将来視野に入れるべき仕組みです。
日本でも先月参加した学会で、座長を務めた陳氏(Clinical Pharmacist の特集記事でも言及)は、リフィルが日本でも導入されれば、わざわざ医療機関に受診する必要がなくなると話していたのですが、おそらく門前偏重とも言える現在の医薬分業のスタイルは、リフィルが導入されれば、私も大きく変わるのではないかと思っています。
なお今回の合意事項は、今年7月から実施され、詳細については来週明らかになるようです。
参考:
Australian Health Minister accuses doctors of scaremongering over dispensing without Rx
(the Pharma letter 2010.5.6)
http://www.thepharmaletter.com/file/94754/
australian-health-minister-accuses-doctors-of-scaremongering-over-dispensing-without-rx.html
2010年05月06日 23:42 投稿