ブフェキサマク外用薬の販売中止が決定(update)

 11日の読売新聞によれば、武田薬品工業など15社が、ブフェキサマク製剤の販売を自主的に中止したと発表したとのことです。京都の卸の薬剤師の方から情報を頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。

2010年5月

各 位

会社名 
池田薬品工業株式会社(ルブラゾン)
岩城製薬株式会社(アンホリル)
小林化工株式会社(デルキサム)
大洋薬品工業株式会社(エンチマック)
帝國製薬株式会社(アンダーム)
マイラン製薬株式会社(サリベドール)

医療用ブフェキサマク外用剤の販売中止の決定について

謹啓 時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。

平素は弊社製品につきまして格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

今般、ブフェキサマク配合の非ステロイド性抗炎症外用剤(医療用医薬品)について、自主的に販売を中止することを決定いたしました。

[製品の概要]

一 般 名:ブフェキサマク

製 品 名:別紙(省略)

薬効分類:消炎鎮痛剤

製薬企業:別紙(省略)

効能・効果:軟膏
急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、日光皮膚炎、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹、熱傷(第I・II 度)、皮膚欠損創

クリーム
急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、日光皮膚炎、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹

[販売中止を決定した背景]

 ブフェキサマクは、非ステロイド性抗炎症外用剤(医療用医薬品)として販売してまいりました。また、これまでの副作用等の集積結果から、接触皮膚炎が全身に広がり治療が必要となる症例が国内にて報告されたことで、2005年に使用上の注意「重大な副作用」の項に接触性皮膚炎について追記し、注意喚起を行い適正使用の徹底を図ってまいりました。

 一方、本年、欧州医薬品庁(EMA)がブフェキサマクの副作用(接触皮膚炎)に関するリスクが本剤の治療上の便益を上回ること、アトピー性皮膚炎等において、ブフェキサマク起因の接触性皮膚炎によりかえって症状を悪化させる場合があるとの調査結果をまとめ、欧州全域に対して、外用剤の販売を取りやめるよう勧告を行いました。

 本邦における過去3 年間の重篤な接触性皮膚炎に関する副作用報告は全社合計で7 件でしたが、欧州での規制状況に鑑み、様々な方面よりご意見を伺いながら検討を進めた結果、代替医薬品も販売されていることや、欧州での対応を考慮した予防的な対応から、今後の患者さんへの処方による便益とリスクを勘案し、医療用ブフェキサマク外用剤の販売を自主的に中止することにいたしました。各社販売を終了いたしますので、ご理解の程、お願いいたします。

以上

 15社ということのなので、OTC医薬品(ロバック他)についても、同時中止だと思われます。

 情報頂いた方のお話ですと、医療用については返品が可能のようです。

 今回は、欧州医薬品庁の承認取り消しの勧告があってからの対応が比較的早かったですね。

関連情報:TOPICS
 2010.04.24 ブフェキサマクの承認取り消しを勧告(欧州医薬品庁医薬品委員会)
 2010.01.26 ブフェキサマク外用薬の承認見直しか(EU)

参考:読売新聞 5月11日
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100511-OYT1T01164.htm

5月12日14:00更新


2010年05月12日 10:01 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    日医工(アンダーム)からアナウンスが出ています。

    内容は上記と同じです。

    「アンダーム軟膏5%」及び「アンダームクリーム5%」の販売中止のご案内
    http://www.nichiiko.co.jp/data2/56170/12_information/10_051.pdf

    医療用ブフェキサマク外用薬は、GEメーカーからの販売なので、この情報が浸透するには時間がかかるかもしれません。(MRが圧倒的に少ない)

    一方、OTCメーカーはアナウンスはまだないようですね。

    消費者からの問い合わせへの対応体制を引いてからかもしれませんが、どうしてOTC薬の添付文書の変更や安全性を理由とした販売中止についての情報発信(理由なども含めて)は弱いのでしょうね。

    (潜在的であっても)リスクを回避するなら、自宅にある薬を使う人もあるでしょうから、OTC医薬品協会や日薬も何か情報を発信した方がいいと思うのですが。

  2. アポネット 小嶋

    8月4日開催された、平成22年度第1回医薬品等安全対策部会で、販売中止の経緯が明らかになっています。(議事録より抜粋)

    ○委員
    3-1のブフェキサマクの件です。これは逆に日本皮膚科学会でも臨床の場でももう既に知れ渡っていることでして、ようやくEMAが中止したから初めて日本でも中止したという形で全く逆だと思います。これは逆に少しでも情報が集まったらば早急に調査会の方で動いてくださっていたら、こんなことには、こんな遅くまで患者さんが悩むようなことはなかったのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

    ほかの科の先生方は御存じないかもしれないのですけれども、ブフェキサマクは非常に感作力が強くて、そして全身性接触皮膚炎といってかぶれだけではなくて全身性の症状を起こすことがもうかなり前から分かっていました。報告もたくさんあったのですけれども、なかなか製造中止にならなかったという経緯があります。ようやくEMAが動いたからという形で初めて日本でも製造中止になった、そういう経緯があるのですね。そういう薬なので、こういう場合でなくて幾らでもケースが集まったら、情報が得られたらその段階で調査会が動き出すべきではないかと思っております。

    ○安全使用推進室長
    事務局でございます。日本においても重大な副作用の項に接触性皮膚炎を追記して適正使用の徹底をするということもございましたけれども、欧州においてもその後また新たにいろいろな疫学的な少し大きな規模の調査試験等がなされまして、またいろいろな新たな確たるデータが積み上げられてきたというような状況もございまして、私どももそういった情報については適宜研究報告等もチェックをしているような状況ではございましたけれども、今回はそういう状況の中で欧州医薬品庁の方が先に措置をとるというような結論になったわけでございまして、そういう意味ではちょうど我々も検討している中で欧州の方でも措置をとったというところで、そこはある種我々の方もそういう状況を無視していたわけではなくて、たまたま時期的にそういうような結果になったということかと思っています。

    先生方の現場での情報については、縷々情報はいただいておりまして、そういう状況があるという中で欧州の経緯も見守りながらやってきたという感じではございます。

    平成22年度第1回医薬品等安全対策部会議事録
    (厚労省2010年11月25日掲載)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x6on.html

    厚労省にもそれなりに情報は集まっていたようですね、でも長年使われてきたという理由で、再評価についての優先順位は低かったのでしょうかね。