くま☆さんのブログの10日の記事、パリエット錠、1日2回投与の用法・用量を追加(申請)を見ていて、これって新たなGE対策ではないかとふと思いました。
エーザイ社が、5月6日のプレスリリース「日本で逆流性食道炎に関する1日2回投与の用法・用量の追加を申請」で、逆流性食道炎について1回10mg 1日2回および1回20mg 1日2回投与の用法・用量の追加を申請したというものですが、1月に既に特許切れ、11月には後発品の上市が予定されているところをみると、私には(TOPICS 2009.06.25)で紹介した、「医薬品の用法や用量に特徴のある発明」による特許を考慮したものではないかと考えてしまいます。
くま☆さんのブログでのディスカッションにもありますように、医師の裁量でPPIを1日2回で服用するケースは実際にあるようなので、臨床的にはそれなりに意味はあるとは思いますが、1日2回服用となれば、1日1回よりもコンプライアンスが悪くなることも考えられるので、患者の生活の質、利便性の向上の面でベネフィットがあるかどうかはやはり議論があるところです。
メーカーは承認されれば、当然1日2回処方を推進するでしょうから、長期投与の可否も含め、さまざまな問題が出てくるような気もします。
申請内容の詳細が分からないので、維持療法も含めた新たな用法の追加がどのようなものになるかはわかりませんが、「パリエット10mg錠1回1錠を1日2回服用」という処方が出たら、当然ジェネリックへの変更は不可ということになります。また、「パリエット10mg錠1回2錠を1日1回服用」という処方の場合も、用法が変更したときのことを想定して、パリエットのジェネリックが発売されても変更を見合わせる必要があるかもしれません。(患者さんに、「用法が変わったら先発品です」と納得してもらえればいいですが)
そういえば、ノルバスク/アムロジンやARBなども、1日2回投与の処方が少なくありません。もしかして、用法特許の取得を狙っているのではないかと思ってしまいます。(すぐにでもデータを作れそう?)
関連ブログ:パリエット錠、1日2回投与の用法・用量を追加(申請)
(薬局のオモテとウラ 5月10日)
http://blog.kumagaip.jp/article/37789553.html
参考:ミクスOnline 5月17日
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/39026/Default.aspx
関連情報:TOPICS 2009.06.25 薬の服用法への特許拡大でGE使用促進に影響はないか?
2010年05月17日 11:18 投稿
1日に二回投与で、用法の特許になるのでしょうか? 先発品について、新たな用法・用量による承認内容の追加であろうと思いますが、ジェネリック品についても、本来は自動的に用法・用量については追加されるのが本旨ではないのかという気がします。
そもそもジェネリックは、先発品と同一成分同一用量で、同様の作用を示す剤型であり、別品目として区別する必要が無いから、後発品としてデータの省略が大幅に認められるはず。
ここまで書き込みつつ、現状では承認書の記載内容が異なるからとして、保健の上でも差別した扱っているのだったっけ? と悩んでいます。
ご指摘ありがとうございます。
正直なところ、私もこれで用法特許になるかどうかは疑わしいと思います。
ただ、1日の上限が40mgに増量されていること、またプレスリリースを見ると、「難治性の逆流性食道炎患者様の治療に対する選択肢を広げるために、開発を進めてきました」となっているので、現在の承認とは別の扱いにもなるように感じられます。
11月26日開催の薬食審医薬品第一部会で、逆流性食道炎を適応とする場合のみ、これまでは「1回20mgを1日1回投与」としていた用量を「1回10mgを1日2回」とすることが報告され了承されたそうです。
医療介護CBニュース11月26日
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/31087.html
詳細については、今後の記事をチェックしたいと思います。
薬事分科会での承認を受けて、正式な発表になってからの適応となると思いますが、今後はパリエットは後発品に変更しない方が無難かもしれませんね。(特に10mg錠を2錠服用されている患者さん)
おそらくメーカーは、10mg1日2錠・分2の処方を推進するでしょうね。
日刊薬業の行政情報に、部会の資料が掲載されています。
薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 資料
(日刊薬業・行政情報 2010年11月26日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226501383122
添付文書案を見ると、現在のものに次の文言が加わるようです。
また、プロトンポンプインヒビターによる治療で効果が不十分な場合、1回10mg又は1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができる。ただし、1回20mg1日2回投与は重度の粘膜障害を有する場合に限る
つまり、はじめから10mg錠1回1錠1日2回服用という処方というのはないようですが、問題は今まで10mg1錠を服用していた患者さんが、効果が不十分だとして少ないからといって1錠を1日2回服用しなさいと処方が変更になるケースです。
厳密に言うと、この場合は後発医薬品に変更は不可となると思いますが、パリエットの後発品10mg1錠を服用していた患者さんが、同じ薬が1日2錠になったら変更ができないというのは、果たして説明がつくでしょうか?
また、現在10mg錠1回1錠1日2回で定期的に服用している患者さんは、逆に変更可と解釈していいのでしょうか?(この場合は潰瘍?)
承認されたら、念のために保険に問い合せて確認する必要があるかも。
エーザイ社は12月21日、パリエットの逆流性食道炎に関する1日2回投与の用法・用量の追加承認を取得したと発表しています。
プロトンポンプ阻害剤「パリエット」
従来のプロトンポンプ阻害剤の治療で効果不十分な逆流性食道炎に関する1日2回投与の用法・用量の追加承認を取得
(エーザイ ニュースリリース 12月21日)
http://www.eisai.co.jp/news/news201074.html