厚労省は1日、乱用が問題になっているコデイン類配合のOTC鎮咳去痰薬について、販売数量などの制限を求める通知を行っています。
コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用医薬品の鎮咳去痰薬(内用)の販売に係る留意事項について(PDF形式)
(PMDAウェブサイト 医薬品関連通知)
各都道府県衛生主管部(局)長殿
厚生労働省医薬食品局総務課長
厚生労働省医薬食品局安全対策課長
コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する
一般用医薬品の鎮咳去疲薬(内用) の販売に係る留意事項について
コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩を含有する一般用医薬品の鎮咳去疲薬(内用に限り、またその剤形のいかんによらない。以下『当該医薬品』という。)のうち、内用液剤については、昭和62年3月5日付け薬企第5号厚生省薬務局企画課長通知「鎮咳去痰薬の内用液剤の販売について」(→リンク、法令等データベース)により、従来から販売についての留意事項を示しているところである。
今般、当該医薬品の乱用を未然に防止する観点から、平成22年6月1日付け日本製薬団体連合会安全性委員会あて厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡により当該医薬品の使用上の注意[してはいけないこと]に「過量服用・長期連用しないこと」を追記するよう別添のとおり(省略)お願いしたところである。
また、当該医薬品の適正使用に係る情報提供をさらに徹底するため、下記のとおり、当該医薬品に係る留意事項を定めることとした。
ついては、貴管下関係業者等に対し、下記に留意して販売等を行うよう、ご指導、ご周知方よろしくお願いいたしたい.
記
1. コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用の鎮咳去痰薬(内用) の飯売又は授与(配置によるものを除く。) について
(1) 当該医薬品の販売又は授与にあたっては、次の点に留意すること
- 販売量等は原則として一人一包装単位とすること
- 購入者等から症状を聞き、当該医薬品の効能・効果に該当することを確認すること
- 購入者等に対しては、用法・用量等に関し十分な服薬指導を行うこと
(2) 購入等希望者が当該医薬品の大量使用者又は長期連用者と思われる場合には販売等を行わないこと
(3) 購入等希望者が高校生、中学生等若年者の場合には次のいずれかの確認を行うこと
- 購入等の希望の事実について保護者による確認
- 身分証明書等による氏名、住所、年齢、学校名等の確認
2. コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用の鎮咳去痰薬(内用)の配置による販売又は授与について
(1) 当該医薬品の配置による販売又は授与にあたっては、次の点に留意すること
- 販売量等については、必要最低限の配置とすること
- 当核医薬品の効能・効果を消費者に十分説明し、適正配置に努めること
- 配置先応対して、用法・用量等に関し十分な服薬指導を行うこと
- 配置先に対して、高校生、中学生など若年者の使用については、通量服用・長期連用にならないよう、十分説明を行うこと
(2) 配置先が大量使用者文は長期運用者と恩われる場合は配置しないこと
内容は昭和62年の通知(→リンク、法令等データベース)とあまり変わりませんね。この通知だけで、果たして乱用対策強化につながるのでしょうか?
今回の販売規制は、若者のいわゆる一気飲みを想定した乱用対策だと思いますが、私は知らず知らずにコデイン製剤を使用して依存しているケースも留意すべきと思います。特にコデイン類は総合感冒薬の配合成分としても使用されており、頭痛やくしゃみなどちょっとした症状で習慣的に使用しているうちに依存するというケースが考えられないとはいえないからです。
TOPICS 2009.09.04 や TOPICS 2010.05.01 でも紹介しましたが、海外でむしろ後者の方の問題を重視した乱用対策が行われており、私はコデインの依存性に着目しての対策であるならば鎮咳去痰薬だけではなく、総合感冒薬についても販売規制を検討すべきではないかと思います。(OTCかぜ薬の中毒者も少なからず存在します)
また、乱用対策を考えるのであれば、適正販売の指導だけではなく、依存の危険性をもっと全面に訴えたり、中毒者へのサポートも検討されるべきです。
英国では、コデイン中毒者をサポートし、乱用問題を啓発するサイト(コデイン中毒の人が立ち上げたブログが基に、現在ではメーカーなどもサポート)があり、右のようなポスター啓発ポスターも作成されています。(おそらく薬局掲示用、クリックで別ウインドウで拡大表示します)
CodeineFree(リンク切れのようで)
http://www.codeinefree.me.uk/
http://www.codeinefree.info/
ドラッグストアの店頭に行くと、総合感冒薬の大包装品が山積みに販売されている光景をよく見ますが、こういったこともコデイン中毒の一端になっているとはいえないでしょうか。もしかすると、今回の販売規制でコデイン乱用者が鎮咳去痰薬から総合感冒薬への乱用にシフトする可能性もあり、そうなったらもっと危険です。(アセトアミノフェンによる肝障害、NSAIDsによる潰瘍など)
英国のように、パッケージの正面にはっきりと ’Can Cause Addiction. For three days use only’ とはっきり記したうえで、総合感冒薬についても大包装品を止めさせるなど、鎮咳去痰薬に準じた対策が必要と考えます。
ここまで販売への留意を求めるのなら、リスク分類も引き上げた(でも1類しかないか)方がいいと思うのですが。
関連情報:TOPICS
2009.09.04 ジヒドロコデイン配合OTC風邪薬,事実上使用禁止へ(英国)
2010.05.01 コデイン配合OTC鎮痛薬の販売規制が開始(豪州)
参考:【厚労省】リン酸コデインなど鎮咳去痰薬の販売量制限
(薬事日報 HEADLINE NEWS 6月4日)
http://www.yakuji.co.jp/entry19448.html
6月4日 21:55更新 6月5日 1:00更新 6月9日リンク追加
2010年06月04日 18:51 投稿
薬業界では、薬の安売りを「乱売」と呼んでいたが、乱用を助長する販売こそ「乱売」である。
薬剤師・登録販売者としての自覚を持ってもらいたい。
>乱用を助長する販売こそ「乱売」である。
一般の方だと思いますが、ご指摘には考えされらます。
乱用を助長する販売とは、具体的にどういったことを指すのでしょうか?
陳列方法、販売方法などが考えられますが。