厚労省は18日、一般用医薬品が改正薬事法通りに販売されているかどうかの調査結果を発表しています。
平成21年度「一般用医薬品販売制度定着状況調査」調査結果報告書
(厚労省 2010年6月18日公表)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/hanbai_h21.pdf
この調査は、2009年6月1日から施行された改正薬事法が実際の販売現場において、どの程度定着しているかを確認することを目的に、今年1~3月に、全国の薬局・薬店から立地や人口規模などを考慮して抽出した薬局1947店舗(チェーン点873,独立店1074)、薬店2044店舗(チェーン1040、独立1004)の合計3991店舗を対象に行われています。(栃木県は薬局29、薬店31)
調査方法は、民間業者の調査員が一般客を装って購入する覆面調査形式で実施され、第1類医薬品/第2類・第3類医薬品は、「総合感冒薬(内用)」、「ヒスタミンH2 受容体拮抗剤含有薬」、「鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬」、「制酸・健胃・消化・整腸を2 以上標榜するもの」、及び、「胃腸鎮痛鎮けい薬」を対象として調査を行ったそうです。
その結果、次のようなことが明らかになったそうです。
- 第1 類医薬品を取り扱う店舗(2694 件)のうち、リスク分類別の陳列が不明瞭だったのは10.8%
- 第1 類医薬品の取扱がない店舗(1297 件)のうち、リスク分類別の陳列が不明瞭だったのは38.7%
- 店舗の従事者全員が名札を全員つけていなかったのは、薬局で22.8%、薬店で33.2%だったが、チェーン店では1.8%に過ぎなかった
- リスク分類の定義・解説の掲示を確認できたのは、薬局で31.5%、薬店で28.1%にとどまった
- また、第1類医薬品を取り扱う店舗(2694 件)のうち、第1類医薬品の情報提供に関する解説の掲示を確認できたのは48.0%だった
- 相談時の対応方法に関する解説の掲示を確認できたのは、薬局で30.5%、薬店で28.7%だった
- 第1 類医薬品の販売時に、文書を用いた情報提供が行われていた店舗は50.5%で、口頭のみの説明が22.5%、文書を渡されたが詳細な説明がなかった店舗が7.1%の他、説明がなかった店舗も19.8%に上った
- 第1 類医薬品の販売時に説明を行ったのは70.4%が薬剤師だったが、23.4%が名札未着用で資格不明、登録販売者が対応したケース(3.3%)、一般従事者が対応したケース(名前のみの名札、2.9%)もあった
- 第2.3 類医薬品の購入にあたり、調査員が相談する前に情報提供があったのは、薬局で45.9%、薬店で48.4%で、独立店・チェーン店の差はなかった
- 第2.3 類医薬品の販売時に説明を行ったのは薬剤師が17.9%、登録販売者が31.3%だったが、42.9%が名札未着用で資格不明、一般従事者が対応したケース(名前のみの名札、7.8%)もあった
またこれとは別に、インターネットで「通信販売」と「医薬品」のキーワードで検索して表示された店上位5件と下位5件の計10件を対象に、電話などで第1類、第2類の購入ができるかを調査を行ったそうです。このうち、6件で購入が可能だったそうです。 (もう少しサンプルが欲しかったですね)
さらに、全国の調査員の中から配置販売利用者を抽出し、調査期間中に配置販売業者の訪問を受けた際に行った調査結果も発表しています。
厚労省は、適切に販売が行われていない店舗や郵送などで販売している業者には指導を行うとしているそうですが、特にネット販売を行っている業者に対し、実際に行うのでしょうか?
ネット販売業者や日薬、業界団体からどのようなコメントが出るか注目ですね。
関連情報:TOPICS 2009.07.07 厚労省、OTCの販売実態を覆面調査で確認へ
参考:
大衆薬販売:店の半数、規定守らず 厚労省調査
(毎日新聞6月18日)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100618k0000e040050000c.html
第1類販売、説明なし20% 大衆薬、厚労省が覆面調査
(47NEWS 6月18日 共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061801000313.html
6月18日 17:15更新
2010年06月18日 13:37 投稿
調査結果が厚労省のHPにアップされましたので、記事を更新しました。
掲示物についての調査を行っていますが、2012年5月31日まで経過措置がとられていますので、決して低い数字ではないと思います。
まだ対応していない店舗も少なくないと思います。(私のところもまだ不十分です)
日薬は今回の結果についてコメントを発表してます。
一般用医薬品販売制度定着状況調査結果について
(日本薬剤師会 2010年6月18日)
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/p100618.pdf
本18日、厚生労働省から「一般用医薬品販売制度定着状況調査」の結果が公表されました。調査は、薬局及び薬店における、専門家の状況(名札の着用状況等)、区分陳列の状況、情報提供の状況等について実施されています。
今回の調査結果によって、第一類医薬品の陳列状況、リスク分類別の陳列状況、従事者の名札の有無、第一類医薬品購入時の説明の状況等において、新たな販売制度への対応が不十分であるという実態が示されたと受け取らざるを得ないと考えています。特に、独立店において新たな販売制度の遵守率が低いことが指摘されており、これまでにおける本会の対応が十分でなかったと反省しなければならないと考えます。
ついては、早急に都道府県薬剤師会、支部薬剤師会を通じて、改めて新制度の周知と遵守の徹底を図ることと致します。更に、7月15日にはすべての都道府県薬剤師会から一般用医薬品の販売制度に係る担当者を一堂に集め、今回の調査結果を直接伝えるとともに、すべての会員が新たな販売制度を速やかに遵守するよう、徹底した指導を実施し、その実施状況を必ず確認するよう再度要請することとしています。
本会としては、今回の調査結果を真摯に受け止め、指摘された実態を迅速に改善すべく直ちに行動に移す覚悟であることをお伝え致します。
薬事日報も記事を配信しています。
【厚労省】第1類薬、2割が説明なし‐新販売制度の覆面調査結果公表
(薬事日報 HEADLINE NEWS 6月18日)
http://www.yakuji.co.jp/entry19632.html
厚労省では、名札の徹底が新制度への理解のバロメーターになるものと考えているようですね。
チェーン店では名札が徹底されているのに、独立店では行なわれていなかったとなると、やはり日薬はきちんと現場に徹底していたのかといわれても仕方ないですね。
サンプルは少ないですが、日薬は郵便等販売にコメントをしていません。どうするのでしょうね。
内科Drのブログで、興味深いコメントがありました。
「必ず、厚労省の思惑がある・・・すなわち、薬局で説明義務が果たされてない・・・なら、ウェブサイト上販売でも一緒だろう → ということで、メディアのスポンサー様でもあるウェブ上販売業者のご意向でネット販売解禁・・・というシナリオ」
これが単なる想像かどうか・・・その答えは、ここ1年で出てくるだろう。
襟を正すことも重要でしょうけど、確かに、問題が先送りになったあとの報道ですから。
また、Drで、このように考えてくれる方がいたことに、ある意味感動です。
ぼんたさん、レスありがとうございます。
確かにこの説明義務が果たされていないという結果は事実なんですが、読んでみて、何となくすっきりしないところがあるんですね。
キーワード検索していたら、かなり同意できるブログ記事がありました。
(他の記事も含め全体に内容が過激です。リンクするのもためらいますが)
一般用医薬品販売制度定着状況調査結果。その信頼性。
(10しす 2010年6月22日)
http://tensis.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-efe3.html
ブログで指摘するように、この調査では「日本チェーンドラッグストア協会」の正規会員企業及び、スーパーマーケット22店、ホームセンター9店の直営店舗、「日本チェーンドラッグストア協会」の正規会員企業ではないが、調査会社がチェーン展開していると考える店舗を「チェーン店」、それ以外は「独立店」としていて、「独立店」の定義はあいまいです。(調剤薬局のチェーンは独立店扱いなんでしょうかね? だから第一類の取り扱いも少ないのかも)
確かに、日薬の会員には「独立店」も多いでしょうが、この「独立店」の中には、日薬やチェーンドラッグストア協会に入っていない店舗もあるでしょうから、ブログで指摘の通り、日薬だけが責められる問題ではないと思います。
私は、今回の問題に限らず、重要な通知などの現場への周知が業界団体頼みということにも問題があると思います。くすりを取り扱う店舗全てが業界団体に入っていないことを考えると、情報の伝達方法についても行政は検討する必要があると思いますね。(でも手間とお金がかかるからやりたくないか)
もう一点ひっかかったのは、調査内容のシナリオがはっきりしていない点です。
報告書では、「総合感冒薬(内用)」、「ヒスタミンH2 受容体拮抗剤含有薬」、「鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬」、「制酸・健胃・消化・整腸を2 以上標榜するもの」、及び、「胃腸鎮痛鎮けい薬」を対象として、定期的に教育を受けている調査会社の専属調査員が実施したとしていますが、せめて、どういうシナリオで覆面調査をしたかを明らかにすべきでしたね。
英国でWhich?が行なった覆面調査(TOPICS 2008.09.25)では、シナリオの内容を明らかにしていますが、今回の日本の調査では、第1類については指名買いをしたのか相談購入なのか、また、はじめての購入なのか、繰り返し購入なのか明らかではありません。また、第2類・第3類については、指名買いをする際に説明を求めたとしていますが、その具体的な内容は明らかでありません。
新聞報道では、副作用の説明がなかったなどと報道されていますが、そもそも説明文書に副作用についての記載は義務づけられていませんので、今回の調査では何をもって詳細な説明があったとしたのか、もう少し具体例を示して欲しかったですね。
この調査は考察が入っていないので、「チェーン店」はよくて「独立店=薬剤師会」は悪いなど、結果が恣意的に解釈されそうで心配ですね。
調査をする場合、覆面調査は仕方ないんでしょうけど。
日時を指定して行くのでは意味ないですし。
しかし、見方を変えると「覆面」ってすごく怪しいですよね。
本当に調査?した?の?って。
なぜ何とかリサーチを選んだのか?
どういう人選で、どういう調査内容だったかは公表すべきですよね。
A県薬局 何月何日何時 何を購入 購入手段(相談か薬品指名か、etc)、そして「全くの素人」が、どの程度の薬の知識レベルかも。
しかし、日薬ってOTCには無関心すぎます。
昔からの相談薬局の存在は重要だと思いますけど。
謝罪だけでなく、多くの会員はこのように対応してますって発表してもいいと思います。
貼り付けていただいたブログのように、もう少し「強気」に出ていいんじゃないでしょうか?
うちの県だけかもしれませんが、ドラッグの方は、2類3類の分類なんてしてませんよ。
よっぽど薬局さんの方がまともです。
単に%だけの今回の報道は、「意図的」って思います。
9月に各都道府県薬剤師会の役員が全薬局を回るそうですね。
しかし、1類~3類の分類や掲示についてなどは、県(保健所)って構造設備の猶予期間で、まだ厚労省のQ&Aがきちんと出てないですから、はっきりした回答ないんですよね。
1人薬剤師だが家族に登録販売者のいて、販売業と薬局の許可を取る場合、店舗をどこまでにするかとか。
最近・・・・日薬と末端薬局との温度差が、どんどん広がっていく感じです。
薬剤師会って、組織の団結力ってないですよね。まじめすぎて、仲間内にきつくなるのかもしれませんが。