OPTIM(緩和ケア普及のための地域プロジェクト)

友人に教えてもらった緩和医療推進のためのプロジェクトです。WEBによる情報発信が充実していて、非常にすばらしいです。(既にご存知の方がいましたらすみません)

緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study
(厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)
http://gankanwa.jp/
(リンク切れ)

このプロジェクトは、地域における質の高い緩和ケアの普及に向けて、「緩和ケアの標準化と継続性の向上」「がん患者・家族に対する適切な緩和ケアの知識の提供」「地域の緩和ケアの包括的なコーディネーション」「緩和ケア専門家による診療およびケアの提供を中心とする地域単位の緩和ケアプログラムの整備」により、地域のがん患者のQuality of Lifeが向上するかどうかを評価するというプロジェクトで、山形県鶴岡地区、千葉県柏地区、静岡県浜松地区、長崎県長崎地区の4地区で2008年から現在進行中です。

このサイトが非常にすばらしいと思ったのは、医療者向けの資料がとても充実している点です。

OPTIM医療者向けツール
 http://gankanwa.jp/tools/pro/index.html
 (リンク切れ)

動画によるマネジメントの実際(「医療用麻薬を開始するとき-服薬説明の実際-」は必見(10分56秒))や、私たちでも活用できそうな「疼痛の評価シート」などのツール、各種パンフレットがPDFで入手できる他、これらの実際の使用方法も文書と動画(ワークショップビデオなど)で掲載されているなど、現場ですぐに役に立つものでいっぱいです。

疼痛緩和ケアについては、各施設で独自のものを作成して実践されているところも少なくないと思いますが、このサイトを見ると、私は(疼痛)緩和ケアについてはできるだけ標準化して、だれでも同じように行えるようにすることも重要だと思いました。

そして、医療専門職がどのように役割分担(疼痛経過や評価に薬剤師がどのように関わるか)していくかを標準化していくことも(もっともケースバイケースですが)、今後重要な課題だと感じます。(モデル地区の薬剤師さんかんばって下さいね)

一方、パンフレットの中には、「看取りのパンフレット」というのもあり、死が近づいたときのからだに起きてくる変化、苦痛が増えたときの対応(鎮静など)、回復困難なせん妄(混乱など)、自然喘鳴(喀痰がのどでゴロゴロいうこと)などについての情報も掲載されています。

緩和ケアに関わる以上、そういった場面に私たち自身が遭遇することがあることを常に念頭において、患者さんとその家族に接することを痛感させられます。

各地区の取り組みページもあるのでさらに見てみようと思います。

参考:日本緩和医療学会ニューズレター第42号(2009.2)

http://www.jspm.ne.jp/newsletter/nl_42/nl420204.html


2010年07月04日 22:37 投稿

コメントが3つあります

  1. EORTC(欧州がん研究・治療機構)http://www.eortc.be/もレファランスwebとしてよく登場しますのでこちらも参考にしてください。

  2. アポネット 小嶋

    紹介ありがとうございます。

  3. アポネット 小嶋

    1月30日、これまでの取り組みを振り返る公開シンポジウムが東京都内で開かれたそうです。

    医療介護CBニュース2011年1月31日
    http://www.cabrain.net/news/article/newsId/32197.html

    記事によれば、4地域平均の在宅死亡率は09年に9.6%となり、介入前の07年の6.8%から約4割の増加(全国平均は約1割増)、緩和ケアサービスの利用数も4地域では約1.5倍増となったそうです。