米国では13-14日の2日間にわたり、チアゾリジン系糖尿病治療薬アバンディア(Avnadia 成分名:rosiglitazone)の安全性の検討を行う「内分泌・代謝薬」と「医薬品安全性・リスク管理」の合同諮問委員会(Joint Meeting of the Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee Meeting)が開催され、全米の注目を集めています。
Briefing Information(FDA、GlaxoSmithKline 提出資料) Slide
このAvandiaについては、心臓血管病のリスクが高まるとして2007年に同様に諮問委員会で安全性についての検討が行われ(TOPICS 2007.08.01)、現在は黒枠警告の下で販売継続が行われています。
2日にわたる諮問委員会では、ヒアリングが行った後、次のような項目について委員33人による評決が行われました。
QUESTIONS TO THE COMMITTEE(Draft)
同意-非同意 (どちらともいえない) |
|
rosiglitazone は他のタイプの糖尿病治療薬と比べ心臓血管病のリスクを高める証拠がある | 18-6 (9) |
rosiglitazone は pioglitazone(アクトス)と比べ安全ではない | 21-4 (8) |
rosiglitazone は pioglitazone(アクトス)と比べ心臓血管のリスクを高める | 20-4 (8) |
rosiglitazone は他のタイプの糖尿病治療薬と比べ死亡リスクを高める | 20-12 ? |
そして、「FDAは、次のうちどのような行動をとるべきか」については、
虚血性心疾患リスク上昇について黒枠警告の欄に追記して、販売継続 | 0 |
現在ラベルのまま、販売継続 | 3 |
警告欄に他の糖尿病治療薬でコントロールできない場合などの追記を行えば、販売継続 | 7 |
警告欄への追記に加え、処方医へと患者教育への徹底が図られれば、販売継続 | 10 |
米国の市場から撤去する | 12 |
棄権 | 1 |
という結果になったそうです。
今回も、最終的には、ベネフィットがリスクを上回るという結論となったようですが、大差で使用の継続を支持した前回の勧告と比べると、より慎重な使用を求めているものと言えます。
個人的には、直接死につながる心臓血管病のリスク評価も重要だと思いますが、日常生活の質にも関わる骨折リスクについてもきちんと評価し、リスク・ベネフィットを検討した方がいいと思うのですが。
なお、EMA(欧州医薬品庁)でも、rosiglitazone 製剤の安全性について7月19-22日に検討を行うと発表していますが、FDA諮問委員会の勧告を受け、販売継続になるのではないかと報じられています。
European Medicines Agency starts review of rosiglitazone-containing medicines
(EMA Press Release 2010.07.09)
果たして、現在申請中の日本では本剤の承認と販売は行われるのでしょうか?
関連情報:
2007.08.01 アバンディア、販売は継続(米国)(旧サイト)
2008.12.11 チアゾリジン系薬剤による骨折リスクは女性の方が2倍高い
参考:
Keep Rosiglitazone on the Market, FDA Panel Says
(Medpage TODAY 2010.07.14)
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/21161
Avandia Raises Heart Risk But Should Stay on Market, FDA Panel Finds
(Consumer Health DAY 2010.07.14)
http://consumer.healthday.com/printer.asp?AID=641143
7月16日 リンク再設定
2010年07月15日 18:27 投稿