米FDAは17日、チアゾリジン系糖尿病治療薬のピオグリタゾン(アクトス他)について、膀胱がんの発症リスクとの関連性のレビューを現在進行していることを明らかにしました。
Actos (pioglitazone): Ongoing Safety Review – Potential Increased Risk of Bladder Cancer
(FDA safety Information 2010.09.17)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm226257.htm
FDA Drug Safety Communication:
Ongoing Safety Review of Actos (pioglitazone) and Potential Increased Risk of Bladder Cancer After Two Years Exposure
(Postmarket Drug Safety Information for Patients and Providers 2010.09.17)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm226214.htm
ピオグリタゾンについては、前臨床試験で雄ラットで膀胱がんの発症がみられることがわかっており、FDAではヒトでも同様のことがみられないかどうか(もともと膀胱がんの患者には糖尿病患者が多い傾向)、疫学調査の結果の分析を行っています。(10年間約19万3000人以上の2型糖尿病患者のデータ)
その結果、全体として、ピオグリタゾンを使用している人は使用していない人と比べ、膀胱がんのリスクは1.2倍(0.2~8年間使用、平均2年間)で有意差がない(hazard ratio 1.2, 95% CI 0.9 to 1.5)としながらも、用量や期間が多くなるに従って発症が増え、24ヶ月以上使用した場合では有意差が認められたとのことです。
FDAでは、現時点ではピオグリタゾンが膀胱がんのリスクを高めると結論していないとしながらも、今回の発表に至ったobservational cohort studyと症例対照研究のデータを再検討しているとのことで、数ヶ月後に更新データを発表するとのことです。
参考:
武田薬の糖尿病薬「アクトス」に膀胱がんリスクみられず-FDA
(Bloomberg 日本版9月18日)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aRR4OfckF.G8
FDA Says It Will Review Pioglitazone Safety
(Medpage TODAY 2010.09.17)
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Diabetes/22274
2010年09月18日 13:54 投稿
日本語訳が、医薬品安全性情報に掲載されています。
海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.8 No.22
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/20101028.pdf
また、薬害オンブズパースン会議の注目情報で関連記事が掲載されています。
ピオグリタゾン(アクトス)の膀胱がんリスク
(薬害オンブズパースン会議・注目情報 2010年10月25日)
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=305