日本ベーリンガーインゲルハイム社は27日、アロテック®(オルシプレナリン)製剤の本邦での販売について、2010年10月末までに自主的に中止することを決定したと発表しています。
アロテック®(オルシプレナリン)製剤の販売中止の決定について
(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース2010年9月27日)
今回の決定は、英国医薬品庁(MHRA)による、「オルシプレナリンシロップ(英国ではシロップのみ販売)における頻脈や動悸などの心臓系の有害事象発生リスクは臨床上の有用性を上回っており、また現在ではより有害事象発生リスクの少ない気道閉塞治療のための薬剤の入手が可能であり、オルシプレナリンの承認および販売は継続されるべきでない」との結論により、2010年9月末で英国内での販売が中止となり、日本のみが唯一の販売国となったためのようです。
Orciprenaline sulphate: Planned withdrawal from the UK market following a risk-benefit analysis
(MHRA 2009.11.3)
長年使われてきた薬でも、いざ再評価を行ってみるとリスクをベネフィットを上回ることは最近しばしばみられます。このIT社会ではある一国が決定すれば情報はたちまち世界に広がり、各国とも迅速な対応を行います。
メーカーの対応としては英断だとは思いますが、海外では使われないのに日本だけで販売を継続するのは難しいと考えたのでしょう。
厚労省も、海外における医薬品の再評価に関する情報(人種差があるということも考慮する必要はあるとは思いますが)は、医薬品安全性情報といった限られたソースだけではなく、WEBでもっと積極的に発信していくべきではないでしょうか?
関連情報:TOPICS
2010.08.20 海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.8 No.17
2009.12.10 海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.7 No.25
2010年09月27日 19:06 投稿