コデイン含有咳止め液剤は18歳未満は使用すべきでない(英国)

 英国内では今のところあまり大きくは取上げられていませんが、MHRA(英国医薬品庁)は11日、“Drug Safety Update”と“Public Assessment Report”を公表し、18歳未満にコデイン含有咳止め液剤を使用すべきではないとする勧告を行っています。

Oral liquid cough medicines containing codeine:
should not be used in children and young people under 18 years
(MHRA 2010.10.11)
http://www.mhra.gov.uk/safety-public-assessment-reports/CON105689

MHRA Public Assessment Report – Oral liquid cough medicines containing codeine: should not be used in children and young people under 18 years
(MHRA PUBLIC ASSESSMENT REPORT 2010.10 PDF 205KB)

Drug Safety Update: Volume 4, Issue 3, October 2010
https://www.gov.uk/drug-safety-update/codeine-containing-liquid-over-the-counter-medicines

 日本語訳概要が、下記に掲載されています。

医薬品安全性情報 Vol.8 No.23
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly8/20101111.pdf#page=2

 今回の18歳未満使用禁止の勧告は、いわゆる濫用や依存の潜在的リスクだけではなく、過量服用(誤用)による有害事象、有用性(特に小児への咳)そのものへの疑問、モルヒネへの迅速代謝の問題(TOPICS 2007.08.18)などにより、18歳未満へのコデイン含有液剤の咳への使用はベネフェイットをリスクが上回るとしたPUBLIC ASSESSMENT REPORTの勧告を受けて行われるもので、2011年にはラベルの変更や子どもが誤用しないような容器への変更を行うことも勧告しています。

 また、PUBLIC ASSESSMENT REPORTでは、一連のOTC風邪薬・咳止め薬の小児への使用制限に関連したさまざまなレビューが行われており、

  • 子どもの咳は大人の咳と原因や背景が異なる
  • わずかだが気管支収縮作用があり、慎重な使用が必要
  • 過量服用による呼吸抑制の問題
  • 2010年3月9日までにコデインの関連が疑われる有害事象の報告が1284例あり、うち48例が16歳未満、さらに5例が液剤使用(うち7ヶ月児の1例は死亡、関連性ははっきりしない)によるものだった
  • 2008-2009年の2年間に中毒センターに、咳止め液剤による中毒事例(誤用によるもの)が23例あり、うち20例は5歳未満の症例だった
  • コデインは他剤の吸収を遅らせる可能性がある

などが指摘されています。

 今回の勧告はコデインのみですが、英国ではジヒドロコデインはすでに風邪薬へのは配合は禁止されており(TOPICS 2009.09.04)、今回の勧告でコデイン類の18歳未満の咳止めとしての使用は事実上勧奨できないということになりそうです。

 日本ではコデイン(リン酸塩)を含むOTC咳止め薬は限られており、おそらく現時点では厚労省がさらなる注意喚起を行うことはないと思いますが、日本でもコデイン類配合の咳止め液剤の有害事象や有用性の検証は必要ではないかと思います。(これを規制したら、販売可能なOTC咳止めはほとんどなくなってしまいますが)

関連情報:TOPICS
  2010.06.04 コデイン配合OTC薬販売規制、鎮咳去痰薬のみで十分?
  2009.09.04 ジヒドロコデイン配合OTC風邪薬,事実上使用禁止へ(英国)
  2009.03.01 英国当局も6歳未満にはOTC風邪薬・咳止めを使用しないよう勧告
  2010.05.01 コデイン配合OTC鎮痛薬の販売規制が開始(豪州)
  2007.08.18 コデイン服用後の有害事象は遺伝子の型によって左右される

2017年5月17日リンク再設定


2010年10月13日 01:46 投稿

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