エーザイ社は10月28日に、ついにシブトラミンの製造販売承認申請の取り下げと開発の中止を発表しました
日本における肥満症治療剤KES524の製造販売承認申請の取り下げについて
(エーザイ株式会社 10月28日)
http://www.eisai.co.jp/news/news201057.html
エーザイ社のES524(一般名:シブトラミン塩酸塩水和物)については、日本で実施した臨床試験の結果等に基づき、2007年11月に製造販売承認申請が行われ、昨年7月24日に行われた薬食審・医薬品第一部会を通過していましたが、心臓病リスクの指摘などもあり、昨年9月29日に行われた薬事分科会では、承認が見合わせとなっていました。
エーザイ社では、欧州等における本剤のアボット社による販売中止等の動向を踏まえ、今回の決定に至ったとのことですが、同社にとっては、米国における独占的販売供給契約を締結している抗肥満薬の lorcaserin もFDAでの承認が得られず痛手でしょう。
ドラッグラグといわれている日本ですが、日本での開発途中で先に発売された海外で重大な副作用等が見つかり、開発を中止・中断するケースも散見されます。もし、シブトラミンが9月29日の薬事分科会で承認され発売が開始されていたら、今頃日本でも、混乱が起こっていたかもしれません。今思えば英断でしたね。
いずれにせよ、抗肥満薬はその臨床上のベネフィットと健康リスクの評価をどうするかが近年議論となっています。肥満には体質や病気によるものもありますが、やはり肥満となりやすい食生活や食環境についての介入も不可欠です。薬の開発だけではなく、健康的な食生活を促す社会的な取組みも必要でしょう。(海外では、子どもの肥満対策に子ども向け番組でのシャンクフードなどのTVCMの禁止やキャラクターの使用が禁止されている国もある。日本ではむしろ、やせのほうが問題だとの指摘もありますが)
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2010年10月29日 10:45 投稿