国内外における適応外使用の現状と方策(厚生労働科学研究)

 厚生労働科学研究成果に2009年度の厚生労働科学研究の報告書の全文が少しアップされています。このうち、国内外の適応外使用の現状と今後の方策をまとめた「医薬品適正使用のための学術情報提供に係る規制方策に関する研究」は興味ある内容となっています。(報告書自体は既に公開されているので、ご存知の方もいるかと思いますが)

 慶応大が薬学部の望月眞弓教授・橋口正行准教授らの研究グループがまとめたこの研究では、海外での適応外使用(off-label use)の情報提供とそれに関わる法規制の調査、国内における適応外使用に関する学術情報提供の実態調査等を踏まえ、製薬企業が行う医薬品適応外使用に係る学術情報提供のあり方と必要な規制方策について骨子がまとめられています。

 下記サイトからその内容を見ることができます。(下記検索画面で、医薬品適正使用または200905012Aというキーワードを入れ、検索をかけて下さい)

 厚生労働科学研究成果データベース検索トップ
   http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do

 報告書は、「海外での適応外使用情報の提供とそれに関わる法規制の現状調査」「国内における医療機関・企業等における適応外使用の情報提供に関する実態調査」「製薬企業から医療機関-の適応外使用の情報提供の整理」の3つで構成されています。

 「海外での適応外使用情報の提供とそれに関わる法規制の現状調査」では、海外(特に米FDA)における適応外使用の現状や適応外使用に関する情報の提供とそれに関わる法規制の現状調査がまとめられている他、米国におけるDTC(医療用医薬品の消費者への直接広告)の規制や薬局製剤(主に病院)における規制の歩み、適応外使用への保険の適応の現状、米国の医療保険制度についても記されています。

 また、 「国内における医療機関・企業等における適応外使用の情報提供に関する実態調査」では、全国300床以上の病院から抽出した薬剤部とその施設の医師へのアンケート調査(440施設2731人から回答)、開業医200人・勤務医200人のWEB調査、日薬所属の都道府県薬事情報センターへのアンケート調査、日本製薬工業協会加盟69社の「くすり」部門へのアンケート調査が行われ、適応外使用に関する学術的提供及び広告の実態、施設内の規則等についての調査・分析が行われています。

 具体的な品名の適応外使用の現状についての記述はごくわずかですが、処方医の適応外使用に関する認識と情報を提供する病院薬剤部や薬事情報センターなどの取組を垣間見ることができ、興味深いです。(時間をかけてじっくり読みます)


2010年11月23日 01:01 投稿

Comments are closed.