7日、FDAの内分泌・代謝性医薬品諮問委員会(Endocrinological and Metabolic Drugs Advisory Committee)が開催され、武田社が北米における開発・販売契約を締結している、Orexigen社のコントレーブ(Contrave、ナルトレキソン塩酸塩徐放製剤とブプロピオン塩酸塩徐放製剤の合剤)についての審議を行い、ベネフィットが潜在的リスクを上回るとして、諮問委員会は承認を支持する評決(賛成13、反対7、棄権0)を行っています。
December 7, 2010: Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee Meeting Announcement
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm230339.htm
配合成分のナルトレキソン塩酸塩はオピオイド中毒やアルコール依存症に、またブプロピオン塩酸塩もうつや禁煙補助剤としていずれもエビデンスのある薬剤ですが、3日に公表された資料(FDAレビュー)によれば、30%の患者に効果が見られるという認可基準のガイドラインはクリア(平均35%)できたものの、もう一つのガイドラインの5%の体重減はクリアできなかった(平均4.2%)他、投与群では血圧上昇や心拍数の増加、めまいや不眠、腎機能障害などの副作用の懸念が指摘されていました。
Briefing Information for the December 7, 2010 Meeting of the Endocrinologic and Metabolic Drugs Advisory Committee (FDAレビュー、メーカー資料)
Contraveは、Arena社の抗肥満薬 ロルカセリン(lorcaserin、商品名:LORQESS)、Vivus社のQnexa(phentermineとtopiramateの合剤)に続く第3候補の抗肥満薬で、諮問委員会での承認支持を得られなかったロルカセリン、Qnexaに続き今回も諮問委員会での承認の支持を危ぶむ声が出ていましたが、これで10年来の新薬の登場となる見込みです。(FDAは1月31日まで最終決定を行う。発売されると個人輸入が横行するんだろうな。)
武田社も8日、プレスリリースを出しています。
肥満症治療薬Contraveに関する米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会における審議結果について
(Orexigen Therapeutics, Inc. 武田薬品工業株式会社 2010.12.8)
http://www.takeda.co.jp/press/article_40691.html
なお諮問委員会では、承認後に心血管リスクを評価する安全性試験の実施を推奨する見解も示されています。(承認後推奨11名、承認前推奨8名、棄権1名)
関連ブログ:
Contraveが第3相臨床試験でFDAの肥満治療基準を達成
(TAKのアメブロ 薬理学などなど 2009.7.24)
http://ameblo.jp/kunotakayoshi/entry-10305544889.html
関連情報:TOPICS
2010.09.17 抗肥満薬lorcaserin、FDA諮問委は承認を認めず
参考:
Orexigen diet pill wins FDA panel backing
(Reuter 2010.12.7)
http://www.reuters.com/article/idUSTRE6B663220101207
Panel Endorses Weight-Loss Drug
(Medpage TODAY 2010.12.7)
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/Obesity/23793
Orexigen Wins Panel’s Backing for First Prescription Diet Pill in a Decade
(Bloomberg 2010.12.7)
http://www.bloomberg.com/news/2010-12-07/orexigen-diet-pill-wins-panel-s-backing-as-first-obesity-drug-in-decade.html
12月8日 12:10リンク追加
2010年12月08日 09:59 投稿