究極の門前薬局、最高使用料は月額367万5千円

 15日、地元足利市生涯学習センターで、旧足利競馬場跡地に来年7月の全面移転が決まっている足利赤十字病院の近隣に市が建設中のテナントへの公募参加申請書等の提出が行われ、究極の門前薬局への出店者が決まりました。

 情報は既に入手していたのですが、21日の市長定例記者会見での発表まで口外しないよう言われていたので、本日まで記事は保留にしていました。(追記:議会にも21日まで結果を明らかにしていなかったようです。何のために? また、入札ではないので必要はないのかもしれませんが、他の応募者の提示価格も公表すべきだったのでは。)

保険薬局開設者の公募結果について
(足利市2010年12月21日掲載)
 
http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/page/koubokekka.html

保険薬局開設者の公募の結果、市の年間収入が約1億2700万円
(足利市2010年12月24日更新)
 http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/page/hokenyakyoku02.html
  (リンク先は削除されました)

 事実上の入札(使用予定者の選定)は、4つの区画について4号区画(地元優先区画)、3号区画(地元優先区画)、1号区画、2号区画(足利赤十字病院に近い方から1号区画、2号区画)の順に1区画ごとに行われ、最低価格は、1区画当たり月額50万円と定められていました。

 そして、選定の結果、 

で使用者の選定が行われました。

 いずれも現在の足利赤十字病院の近隣で行ってきた方(第2号、第4号区画)、地元になじみのある方(第1号、第3号区画)で正直ホットしていますが、第1号区画の代表者は、日本薬剤師会と栃木県薬剤師会の常務理事もされている方で、日薬での立場が悪くならないか心配です。(本音を言えば調剤報酬への影響ももっと心配)

 地元優先区画については、当初希望者が少ないのではないかと言われていましたが、ふたを開けてみると、出店希望をする法人と個人が6もあり、せいぜい60~70万円と言われていた賃料が190万円超に跳ね上がりました。

 一般区画(第1号・第2号)については、これを踏まえての入札額となりましたので、最高月額367.5万円となりました。(これでも採算が合うのでしょうね)

 これで、市は建設のために投じた費用約1億5千万円1億240万円は、わずか1年余り足らずで回収できることになり、その後は市の収入(毎月1,058万円)となります。一市民としては複雑です。

 おそらく市は、この収入を市民の医療と福祉などに有効活用すると思いますが、行政という強い立場を利用した今回の薬局誘致(公募)は、今後さまざまな波紋を呼ぶことでしょう。

関連情報:TOPICS
 2010.10.15 足利市、保険薬局開設者の公募を開始  
 2009.06.01 患者さんの利便性のために、行政が調剤薬局を誘致することは必要か?
 2009.08.07 足利市の「究極の門前薬局」構想は実現するか
 2009.11.26 究極の門前薬局、誘致は4薬局(足利市)
 2010.01.20 「究極の門前薬局」、整備に向け大きく前進
 2010.03.25 「究極の門前薬局」の整備が決定(足利市)
 2010.09.02 足利市市民薬局条例案が提出
 2010.09.21 市民薬局条例、足利市薬局施設条例に修正し可決
 2010.10.26 そこまでして究極の門前薬局の公募に参加したいのですか?

12月21日 17:50追記 25日リンク再設定


2010年12月21日 15:52 投稿

コメントが5つあります

  1. アポネット 小嶋

    市長がブログで、今回の経緯についてまとめています。

    調剤薬局設置に関して驚きの結果を得るまでの経緯をまとめました。
    (足利市長 大豆生田みのる 2010年12月21日)
      http://www.j-beans.jp/?p=1676 

    なんと家賃収入1億2千7百万円余!競馬場跡地への調剤薬局設置
    (足利市長 大豆生田みのる 2010年12月21日)
      http://www.j-beans.jp/?page_id=1290

    厚労省の心証も悪くしそうです。特にこのなかで一番ひっかかったのは次の部分です。
    (こんなこと曝さなくてもいいのに。消される可能性があるので抜粋しました)

    —————–
    (2009年)12月3日:
    虫の知らせか、思うところがあって栃木県の薬剤師会会長に電話。
    会長には事前に競馬場跡地に調剤薬局が入居できるスペースを足利市として用意するという趣旨を説明し、基本的に了解をいただいていたが、その再確認をしようと急に思い立った。
    そして、案の定というか、私の心配は杞憂に終わらなかった。
    会長はなんと、
    「いや、昨日その調剤薬局に関して県薬剤師会として設置反対の請願を出すために、原稿を足利の薬剤師会の会長に送ったところだよ」
    と言われた。
    話が違う!どうなっているんだ?そんなことが頭をよぎり、
    「ちょっと待ってください」
    「だって市長、既に予定されている4件というのは市長の関係者で全部決まっているという話じゃないか。そんなことを認めるわけにいかないよ。議会への説明も十分にされずに新聞にリークして報道するものよくない」
    「誰からそんな話を聞かれたのですか、ぜんぜん話が違います」
    よくよくその情報源を確認すると、ある政治関係者が事実無根の話をでっちあげて薬剤師会の会長に話していたというのがわかった。
    その後、公募入札なので既に業者が決まっているなんてことはないということ、そして議会に説明する前にマスコミにリークするなんて、かえって余計な混乱を招くことを我々がするはずがないということを誠実に申し上げ、私の考え方を改めてご理解いただいた。
    また、そもそもその請願書はどんな内容なのかと思い、足利の薬剤師会の会長に確認すると、請願のあて先は足利市議会となっており、その内容も誤解に基づくものであった。
    それまでに得られた情報を総合すると、今回の騒動はどうもこの案件に反対している政治関係者が、つてをたどって県の薬剤師会の会長を動かして騒ぎたてたようだ。
    しかも虚偽の情報でアジテートしながら。
    その夜早速、副市長に連絡し、夜な夜なむさくるしい男が2人デニーズで落ち合い、パフェを食べながら密談さながらに善後策を協議するはめになった。

    そして翌日、県の薬剤師会の専務理事、事務局長にお会いする約束をし、後日説明に上がって市の考え方を改めてよく説明させていただき、ご理解を頂く事が出来た。
    それにしても、昨日県の会長に電話をしなかったらこの誤解に基づく請願は日の目を見てしまったはずだ。
    いやはや。
    なんとも言いようのないものを感じる。
    ———

    つまり、市長は県の薬剤師会に圧力をかけて、請願書の提出を阻止したということなのですね。(こんな経緯があったんだ。ショックですね)

  2. アポネット 小嶋

    各紙記事が出そろいました。(読売は宅配版も記事がありませんでした)

    下野新聞 12月22日
     http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20101221/433078

    毎日新聞・栃木版 12月22日
     http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20101222ddlk09010097000c.html

    朝日新聞・栃木版 12月22日
     http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001012220003

    東京新聞・栃木版 12月22日
     http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20101222/CK2010122202000073.html

    各紙とも、家賃が年間1億2700万円に上ることを見出しにしています。

    結果論ですが、本当に一自治体が4薬局に競わせて、この収入を得るというのはどうなのでしょう?(各紙とも特に疑問視はしていませんが)

    業界紙がどうとりあげるか注目ですね。

  3.  隣市の市立病院も設備の老朽化により、現在地で建て替えか、移転かで現地派・移転派の両陣営が市長選挙で戦い、市会議員選挙で戦い、二転三転しています。

     今後、赤字に悩む公立病院の経営母体である県や市町村にとって、財政難の折、赤字補填が期待出来る「足利方式による調剤薬局の誘致」は、魅力的ですね。

  4. アポネット 小嶋

    ようやく、28日のRISFAXが取上げましたね。

    確かに月額使用料の367万5千円は、「薬局ってそんなに儲かるんですか」と言われそうな数字ですが、いつかは導入されるリフィルや医療連携が一般的なものとなれば、今後もこのようにうまくいく保証はないでしょう。

    調剤薬局の必要性については議会が決めたことでありますが、わざわざ、テナントを4区画もつくって競わせるというのは、今でも自治体としてとるべきやり方であったかどうかは疑問です。

    自治体が公共性の必要性で設置が必要と考えるのであれば、薬局は1店舗あれば十分であり、365日24時間対応、薬局機能の充実などを条件に、家賃は相場並、実績に応じた書類選考といった選定方法もあったはずです。

    ですから一般的には、今回のケースは市による薬局事業ととらえられています。

    自治体維新(日経グローカルNO.146 2010.4.19)
    http://www.nikkei-rim.net/glocal/glocal_pdf/146PDF/146ishin.pdf

    あらためて蒸し返すつもりはありませんが、市長のブログでもあるように、市道を療担規則をクリアできるように今回つくったわけですが、この公道は市道=市の土地であると考えると、やはり一体性があると解釈されることはないのでしょうか?

    結局は地方厚生局の個々の判断に委ねられそうですが、このままでいくと調剤薬局の賃料で赤字部門が補填できるという医薬分業を経済的に利用した前例になりそうで心配ですね。

  5. アポネット 小嶋

    すでにお気付きと思いますが、元記事のリンク先がなくなっています。

    さらに、足利市のホームページを調べたところ、市の広報のPDFなどを除いて、薬局公募に関する全ての記事が削除されています。

    広報あしかがみ 2011年1月15日p3
    http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/8623.pdf

    家賃収入が一年間に1億2700万円の収入と自慢していたのに、理由もなく突然削除というのは尋常ではありません。

    理由については情報収集中ですが、もし、入札(公募)に関わる情報に変更があるのであれば、できるだけ早く明らかにすべきです。一市民としても納得がいきません。

    それと今回の公募にかかわる記事が、医療経済社の医薬経済1月15日号に掲載されています。(東京に行った際、書店で内容は確認しています)