ニフェジピンなどのCYP3A4で代謝されるカルシウム拮抗薬とCYP3A4を阻害するマクロライド系抗生剤との併用で、降圧作用が増強されることは添付文書などで指摘されていますが、このほどカナダの研究グループが成分ごとのリスクの比較を行っています。
The risk of hypotension following co-prescription of macrolide antibiotics and calcium-channel blockers
(CMAJ online ahead of print January 17, 2011)
http://www.cmaj.ca/cgi/content/abstract/cmaj.100702v1
この研究は、Ontario Drug Benefit Claims Data で66歳以上の高齢者のデータ(1994.4~2009.3 の15年間)を分析した population-based, nested, case-crossover studyで、カルシウム拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピン、フェロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル)の処方を受けている患者で、低血圧またはショック症状で入院した7100人の患者を調べています。
このうちの176人にマクロライド抗生剤が処方されていて、これを7日以内に処方を受けた人と1か月以内に処方を受けた人と比較したところ、エリスロマイシンで発症リスクが5.8倍、クラリスロマイシンで3.7倍とリスクが高かった一方(有意差あり)、アジスロマイシンでは1.5倍で有意差はなかったそうです。
この研究では、どのカルシウム拮抗薬とどのマクロライド系抗生剤との併用がリスクが高いかは調べていませんが、研究者らは、マクロライド系抗生剤を処方する際は、アジスロマイシンの処方を考慮すべきだとしています。
関連ブログ:
高齢者低血圧事故:カルシウム拮抗剤+エリスロマイシン・クラリスロマイシン併用時リスク増大
(内科開業医のお勉強日記 1月18日)
http://intmed.exblog.jp/11942331/
参考:Some Antibiotics, Blood Pressure Meds a Bad Mix: Study
(HealthDay 2011.1.17)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=648914
2011年01月18日 11:25 投稿