昨年12月7日のFDAの内分泌・代謝性医薬品諮問委員会(Endocrinological and Metabolic Drugs Advisory Committee)で承認の支持が得られたOrexigen社のコントレーブ(Contrave、ナルトレキソン塩酸塩徐放製剤とブプロピオン塩酸塩徐放製剤の合剤)ですが、FDAは諮問委員会の評決には従いませんでした。
米国における肥満症治療剤Contrave の審査結果について
(武田薬品工業株式会社プレスリリース2011年2月1日)
http://www.takeda.co.jp/press/article_41222.html
10年来の新薬として承認が確実視されていたContrave でしたが、同社によれば、FDAより体重過多あるいは肥満症患者に本剤を長期投与した場合の安全性プロファイルに懸念が示され、本剤の承認のためには、体重過多あるいは肥満症患者に投与した場合の心血管系リスクを評価するために十分な規模および投与期間の無作為二重盲検、プラセボ対照比較試験を事前に実施し、心血管系リスクが本剤の有用性を損ねない知見を得ることが求められ、現時点では承認できないとの通知を受け取ったそうです。
通常、諮問委員会での支持が得られた場合、FDAは承認するのが一般的ですが、今回のFDAの予想外の決定に同社の落胆は隠せません。(米国では、Orexigen社の株価が急落したとのこと)
AP通信によれば、心血管系リスクを評価するための臨床試験には数百万ドルの費用と数年の期間がかかると指摘し、承認のハードルが高くなったといえます。
結局、Arena社の抗肥満薬 ロルカセリン(lorcaserin、商品名:LORQESS)、Vivus社のQnexa(phentermineとtopiramateの合剤)に続き、Contraveも現時点では承認が得られないという結果となり、FDAのこの領域の薬剤の審査には相当慎重であることがうかがえます。
関連情報:TOPICS
2010.12.08 抗肥満薬 Contrave、FDA諮問委の支持を得る(Update)
2010.09.17 抗肥満薬lorcaserin、FDA諮問委は承認を認めず
参考:
FDA declines to approve Orexigen diet drug
(AP 2011.2.1)
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5h4uGbNhvcKWihS4MunatCE9rY94g?docId=84c2bb1d5f4e4050a0028d4c8c2d237e
U.S. rejects Orexigen diet drug over heart risks
(Reuter 2011.2.1 update)
http://www.reuters.com/article/2011/02/01/orexigen-idUKSGE7100BZ20110201
Slim Pickings: The FDA Rejects Another Diet Pill
(Pharmalot 2011.2.1)
http://www.pharmalot.com/2011/02/slim-pickings-the-fda-rejects-another-diet-pill/
2011年02月02日 01:12 投稿