IT戦略本部の専門調査会がネット販売の対処案を公表

 3日、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」が開催され、岩瀬委員が「ITを活用した医薬品販売の安全性向上策」についての調査結果と対処案を明らかにしています。

第6回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会(2011年2月3日開催)
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kaikaku/dai6/gijisidai.html

 資料3-1:一般用医薬品のインターネット販売等について(概要)(案)(岩瀬委員提出資料)
 資料3-2:一般用医薬品のインターネット販売等について(案)(岩瀬委員提出資料)

 資料によれば、「本調査会は、医薬品の販売に求められる安全性を確保するためのルールを設け、インターネット販売など非対面販売を認めるべきと考える。また、IT技術の活用による医薬品販売の安全性の向上や薬害被害の拡大防止のため、違法医薬品サイトの規制や、医薬品購入者の把握による新たな副作用の発生を的確に購入者に伝えることや医薬品の回収などを行うことを検討すべきである。」として、医薬品販売に求められる安全性を確保するためのルール案やITを活用した医薬品販売の安全性向上策がまとめられています。

 具体的には、

  • 「購入者の連絡先、属性等の確認」「購入者に応じた情報提供(医薬品の発送まで)」「購入者から専門家へ相談ができる体制」「専門家/店舗の実在性に関する情報の提示(無店舗販売は認めずリアル店舗であること)」「購入者による製品や使用上の注意等の内容確認」などの販売ルールを設けることで、ネット販売等を認める(ネット販売ルールの策定)
  • 一般用医薬品の販売方法見直し後の状況把握のため、販売経路や情報提供の有無に関する情報を把握する。(副作用報告の見直し)
  • 国内で認められている医薬品を販売するサイト(店舗)を容易に見分けられるようにするとともに、リスクについての啓発を強化する(医薬品の個人輸入における安全性向上)
  • 購入者の購入医薬品と連絡先を把握し、新たな副作用が発生した場合に、購入者へメール等で注意喚起を行うなどのルールを策定する(副作用被害の拡大防止)

などが示されています。

 また、平成22年11月26日~12月27日までの約1 ヶ月間行われたパブリックコメントの結果の概要も公表されています。

 パブコメには、総数644件(うち、団体:65件 個人:579件)寄せられ、賛成意見(部分的賛成を含む)が324 件、反対意見が304件で意外と拮抗しています。(今回は多くの薬剤師から意見が寄せられたようです)

 詳細は下記リンク先に掲載されています。さまざまな意見が寄せられ、興味深いです。厚労省の場合と異なり、きちんと意見をそのまま公表することはよいことだと思います。

「一般用医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品販売」に関するパブリックコメントの結果について
(結果の公示日 2011年1月31日) 

 なお、「一般医薬品のインターネット販売及びテレビ電話等を活用した医薬品販売を行った場合でも、安全が確保されるための具体的なアイデア」としては、

  • テレビ電話を使って、薬剤師等が購入者と対話しながら販売する。
  • インターネットで販売する際の相談窓口を24時間体制で整備する。
  • インターネットによる販売時に、その薬の禁忌条件や慎重に投与すべき症状等を確認するシステムとする。
  • 販売事業者がインターネット販売による購入者情報を保存し、履歴をトレースできるようにしておく。
  • 購入者に対する販売総量規制を設ける。
  • 麻薬・覚せい剤原料の含まれる医薬品の分類を変更する等、販売規制を強化する。
  • 初回のみ対面販売とし、2回目以降はテレビ電話や郵送等でも購入可能とする。

などの意見が寄せられたそうです。

関連情報:TOPICS
 2010.11.29 IT戦略本部の専門調査会がネット販売等に関するパブコメ開始
 2010.12.02 IT戦略本部の専門調査会がネット販売等に関するヒアリングを実施


2011年02月04日 00:06 投稿

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