紹介がたいへん遅れましたが、11月29日に薬事・食品衛生審議会の平成22年度第2回医薬品等安全対策部会が開催され、2010年4月1日から7月31日までに厚労省に報告のあった医薬品の副作用報告についての集計結果が公表されています。
このデータは、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものをもとに作成されていますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、該当する症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントされているために、ここに示した報告件数がそのまま症例数にはならないそうです。また厚労省では、個別に医薬品との関連性を評価したものではないとしています。
平成22年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2010年11月29日開催)
厚労省資料(既掲載) 議事録(未掲載)
資料3-2によれば、この間に4件以上の報告のあった医療用医薬品成分は下記のとおりです。(薬効分類コード421-430、625の一部、631以降は除く)
分類 | 医薬品名 | 剤形 | 副作用名(数字は件数) |
---|---|---|---|
111 | チオペンタールナトリウム | 注射 | 肝機能異常6 |
112 | フェノバルビタール | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹5 |
112 | ミダゾラム | 注射 | 呼吸抑制9、薬物相互作用5 |
113 | カルバマゼピン | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹29、多形紅班11、スティーブンス・ジョンソン症候群10、発熱9、薬疹8、医薬品副作用5、血小板減少症5、リンパ節症4、肝障害4、紅班4 |
113 | ゾニサミド | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹6 |
113 | バルプロ酸ナトリウム | 経口 | ファンコニー症候群4 |
113 | フェニトイン | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹7 |
不明 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹4 | ||
113 | ラモトリギン | 経口 | スティーブンス・ジョンソン症候群7、薬疹7、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹5、発熱5、発疹4 |
114 | アスピリン | 経口 | 胃腸出血6、メレナ4、肝機能異常4、小腸出血4 |
114 | アセトアミノフェン | 経口 | 皮膚粘膜眼症候群4 |
114 | セレコキシブ | 経口 | スティーブンス・ジョンソン症候群7、薬疹5 |
114 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 経口 | 肝障害10、薬疹5、スティーブンス・ジョンソン症候群4、間質性肺炎4、急性腎不全4、血小板減少4 |
116 | アマンタジン塩酸塩 | 経口 | ミオクローヌス5、幻覚5 |
117 | アリピプラゾール | 経口 | 悪性症候群5、横紋筋融解4、高血糖4 |
117 | スルピリド | 経口 | 悪性症候群4 |
117 | デュロキセチン塩酸塩 | 経口 | 自殺念慮4 |
117 | パロキセチン塩酸塩水和物 | 経口 | 攻撃性8、セロトニン症候群4 |
117 | ハロペリドール | 経口 | 悪性症候群4 |
117 | マレイン酸フルボキサミン | 経口 | 痙攣5 |
117 | ブロナンセリン | 経口 | 悪性症候群6 |
117 | ミルタザピン | 経口 | 痙攣6、自殺既遂5、セロトニン症候群4、浮動性めまい4 |
117 | リスペリドン | 経口 | 悪性症候群6、横紋筋融解4 |
注射 | 悪性症候群5 | ||
117 | 炭酸リチウム | 経口 | 腎性尿崩症4 |
118 | 非ピリン系感冒剤(4) | 経口 | 肝障害4、中毒性表皮壊死融解症4 |
119 | エダラボン | 注射 | 出血性脳梗塞4 |
119 | プレガバリン | 経口 | 無力症4 |
122 | ロクロニウム臭化物 | 注射 | 血圧低下7、アナフィラキシーショック6 |
123 | ジスチグミン臭化物 | 経口 | コリン作動性症候群14 |
211 | ジゴキシン | 経口 | 治療薬毒性4 |
212 | アプリンジン塩酸塩 | 経口 | 肝機能異常4 |
212 | アミオダロン塩酸塩 | 経口 | 間質性肺疾患12、甲状腺機能亢進症7、心電図QT延長4 |
212 | ジソピラミド | 経口 | QT延長症候群7 |
212 | シベンゾリンコハク酸塩 | 経口 | 低血糖症8、薬物相互作用4 |
212 | ベプリジル塩酸塩 | 経口 | 心電図QT延長15、トルサード ド ポアント8、心室細動4 |
214 | バルサルタン | 経口 | 血圧低下17、高カリウム血症14、拡張期血圧低下12、低血圧8、腎不全5、血中カリウム増加4 |
214 | バルサルタン・ヒドロクロロチアジド配合剤 | 経口 | 低ナトリウム血症5 |
214 | ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド | 経口 | 光線過敏性反応5、低ナトリウム血症5 |
217 | アムロジピンベシル酸塩 | 経口 | 間質性肺疾患5 |
217 | ニコランジル | 注射 | 血圧低下4 |
218 | アトルバスタチンカルシウム水和物 | 経口 | 横紋筋融解11 |
218 | ピタバスタチンカルシウム | 経口 | 横紋筋融解5 |
218 | フェノフィブラート | 経口 | 肝機能異常5 |
218 | フルバスタチンナトリウム | 経口 | 肝機能異常5、肝障害4 |
218 | ロスバスタチンカルシウム | 経口 | 横紋筋融解8、間質性肺疾患5、血中クレアチンホスホキナーゼ増加4 |
219 | ボセンタン水和物 | 経口 | 肝機能異常4 |
219 | 炭酸ランタン水和物 | 経口 | イレウス4 |
223 | カルボシステイン | 経口 | 薬疹8、皮膚粘膜眼症候群5、中毒性表皮壊死融解症4 |
225 | テオフィリン | 経口 | 痙攣12、脳症10 |
232 | ランソプラゾール | 経口 | 膠原性大腸炎7、スティーブンス・ジョンソン症候群5、多形紅斑4、無顆粒球症4 |
239 | アプレピタント | 経口 | 低ナトリウム血症4 |
239 | インフリキシマブ(遺伝子組換え) | 注射 | 肺炎11、間質性肺疾患7、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎5、リンパ腫5、呼吸困難5、帯状疱疹5、敗血症5、発熱5 |
239 | メサラジン | 経口 | 発熱4 |
241 | ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン | 注射 | 卵巣過剰刺激症候群15、腹痛5 |
243 | チアマゾール | 経口 | 無顆粒球症11 |
243 | プロピルチオウラシル | 経口 | 抗好中球細胞質抗体陽性血管炎4 |
245 | プレドニゾロン | 経口 | 骨壊死17、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎7、帯状疱疹6、B型肝炎5、サイトメガロウイルス感染5、気管支肺アスペルギルス症5、骨粗鬆症5、脊椎圧迫骨折5、クリプトコッカス性髄膜炎4、白内障4 |
249 | インスリン アスパルト(遺伝子組換え) | 注射 | 低血糖症10、抗インスリン抗体陽性5 |
249 | インスリン グラルギン(遺伝子組換え) | 注射 | 低血糖症10 |
249 | インスリン リスプロ(遺伝子組換え) | 注射 | 低血糖症6 |
249 | ジェノゲスト | 経口 | 不正子宮出血8、貧血7 |
249 | ヒトインスリン(遺伝子組換え) | 注射 | 低血糖症25、コントロール不良の糖尿病5 |
269 | マキサカルシトール | 外用 | 高カルシウム血症7 |
222 | シデフェロン | 注射 | 意識消失4、痙攣4 |
332 | ゼラチン | 外用 | 子宮内感染4 |
333 | エノキサパリンナトリウム | 注射 | 肝機能異常 |
333 | トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え) | 注射 | 胃腸出血6、脳出血6、創傷出血5 |
333 | フォンダパリヌクスナトリウム | 注射 | 処置後出血7、貧血4 |
333 | ヘパリンナトリウム | 注射 | ヘパリン起因性血小板減少症33、出血4 |
不明 | ヘパリン起因性血小板減少症8 | ||
333 | ワルファリンカリウム | 経口 | 脳出血8、INR増加7、出血6、薬物相互作用5、胃腸出血4、歯肉出血4 |
333 | クロピドグレル硫酸塩 | 経口 | 血小板減少症6、肝細胞障害5、胃腸出血4、脳出血5、間質性肺疾患4、出血性十二指腸潰瘍4 |
333 | サルポグレラート塩酸塩 | 経口 | 脳梗塞4 |
333 | シロスタゾール | 経口 | 心室性頻脈5 |
392 | デフェラシロクス | 経口 | 腎機能障害9、腎障害6、肝障害6、肝機能異常5 |
392 | レボホリナートカルシウム | 経口 | 間質性肺疾患4 |
394 | アロプリノール | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹17、スティーブンス・ジョンソン症候群11、中毒性表皮壊死融解症10、全身性皮疹4 |
394 | ベンズブロマロン | 経口 | 肝障害8 |
395 | アルテプラーゼ(遺伝子組換え) | 注射 | 出血性脳梗塞8 |
395 | イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え) | 注射 | 注入に伴う反応25、アナフィラキシー様反応6、眼瞼浮腫5、蕁麻疹5 |
396 | グリクラジド | 経口 | 低血糖症4 |
396 | グリメピリド | 経口 | 低血糖症38 |
396 | シタグリプチンリン酸塩水和物 | 経口 | 低血糖症69、意識変容状態5、肝機能異常5、肝障害4、死亡4、心不全4、低血糖昏睡4 |
396 | ビルダグリプチン | 経口 | 低血糖症6 |
396 | ボグリボース | 経口 | 腸壁気腫症4 |
396 | ミチグリニドカルシウム水和物 | 経口 | 低血糖症4 |
396 | メトホルミン塩酸塩 | 経口 | 乳酸アシドーシス5 |
399 | アダリムマブ(遺伝子組換え) | 注射 | 肺炎14、間質性肺疾患9、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎5、肝機能異常4、細菌性肺炎4、発熱4 |
399 | アレンドロン酸ナトリウム水和物 | 経口 | 顎骨壊死23、大腿骨骨折12 |
399 | エタネルセプト(遺伝子組換え) | 注射 | 間質性肺疾患9、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、乳癌6、肺炎6 |
399 | エベロリムス | 経口 | 間質性肺疾患14、血小板数減少5 |
399 | エポエチン アルファ(遺伝子組換え) | 注射 | 深部静脈血栓症12、肺塞栓症8 |
399 | エポエチン ベータ(遺伝子組換え) | 注射 | 赤芽球癆4 |
399 | シクロスポリン | 経口 | 中毒性ネフロパシー19、サイトメガロウイルス感染9、肝機能異常6、高血圧4、肺炎4 |
399 | ゾレドロン酸水和物 | 注射 | 顎骨壊死36、骨髄炎12、死亡5、発熱4 |
399 | タクロリムス水和物 | 経口 | 間質性肺炎5、肺炎5 |
不明 | サイトメガロウイルス血症7、エプスタイン・バーウイルス関連リンパ増殖性障害4 | ||
399 | ナファモスタットメシル酸塩 | 注射 | アナフィラキシーショック12 |
399 | ピルフェニドン | 経口 | 食欲減退4 |
399 | ミコフェノール酸 モフェチル | 経口 | 肺炎7、サイトメガロウイルス検査陽性4 |
399 | メトトレキサート | 経口 | びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫34、汎血球減少症20、間質性肺疾患19、骨髄機能不全19、リンパ増殖性障害31、リンパ腫14、骨髄障害8、肺炎6、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、白血球数減少6、肺障害4 |
注射 | 急性腎不全4 | ||
不明 | びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫12、間質性肺疾患4 | ||
399 | 塩酸ラロキシフェン | 経口 | 深部静脈血栓症4 |
399 | リセドロン酸ナトリウム水和物 | 経口 | 顎骨壊死6、大腿骨骨折5 |
442 | ブシラミン | 経口 | 間質性肺疾患5 |
520 | 芍薬甘草湯 | 経口 | 低カリウム血症9 |
613 | アモキシシリン水和物 | 経口 | 出血性腸炎4、多形紅班4 |
613 | スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム | 注射 | アナフィラキシーショック7 |
613 | セファゾリンナトリウム | 経口 | アナフィラキシーショック6 |
613 | セフェピム塩酸塩水和物 | 注射 | アナフィラキシーショック4、意識変容状態4 |
613 | セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物 | 経口 | アナフィラキシーショック5、肝障害4 |
613 | セフトリアキソンナトリウム水和物 | 注射 | アナフィラキシーショック16、血小板数減少4、胆石症4 |
613 | ドリペネム水和物 | 注射 | 痙攣4 |
613 | メロペネム水和物 | 注射 | 血小板数減少4 |
614 | クラリスロマイシン | 経口 | スティーブンス・ジョンソン症候群6、多形紅班4 |
617 | アムホテリシンB | 注射 | 低カリウム血症5、血中カリウム減少4 |
617 | ミカファンギンナトリウム | 注射 | 低カリウム血症6 |
621 | サラゾスルファピリジン | 経口 | 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹6 |
622 | シプロフロキサシン | 注射 | 肝機能異常8 |
624 | メシル酸ガレノキサシン水和物 | 経口 | アナフィラキシーショック9、スティーブンス・ジョンソン症候群6、アナフィラキシー反応4、呼吸困難4、徐脈4 |
624 | リネゾリド | 経口 | 血小板数減少4 |
注射 | 血小板数減少10、貧血4 | ||
624 | レボフロキサシン水和物 | 経口 | アナフィラキシーショック15、アナフィラキシー様反応10、痙攣8、アナフィラキシー反応6、肝障害6、低血糖昏睡6、低血糖症6、横紋筋融解4 |
625 | バラシクロビル塩酸塩 | 経口 | 急性腎不全13、意識変容状態12、脳症7、譫妄5、腎障害4 |
625 | バルガンシクロビル塩酸塩 | 経口 | 白血球数減少17、血小板数減少9、汎血球減少症7、貧血5 |
625 | リバビリン | 経口 | 貧血9、ヘモグロビン減少8 |
629 | イトラコナゾール | 経口 | イレウス4 |
629 | スルファメトキサゾール・トリメトプリム | 経口 | 無菌性髄膜炎4 |
629 | テルビナフィン塩酸塩 | 経口 | 肝障害5 |
資料3-2:国内副作用報告の状況(医療用医薬品)[PDF:759KB]より引用(一部分類に誤りがあります)
一方、一般用医薬品についての副作用報告も公表されています。(個人的には、商品名もはっきり書いた方がいいと思います)
資料3-3:国内副作用報告の状況(一般用医薬品)[PDF:183KB]
詳細については、医薬品医療機器総合機構HP(http://www.info.pmda.go.jp/)の「副作用が疑われる症例報告に関する情報」のページでの検索も可能です。(以下同機構サイトへリンク)
副作用が疑われる症例報告に関する情報について(平成16年度以降の報告)
副作用が疑われる症例報告の活用方法について(PDFファイル)
一方、海外における添付文書の変更や当局の発表をまとめたものをあわせて発表されてしています。今後はこれらの知見を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。やはり代表的な重篤な副作用は、患者さんに伝えることが必要だと改めて感じさせられます。
資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:489KB]
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2011年02月12日 12:54 投稿