Thorax 誌のオンライン版に掲載されたシステマティックレビューです。
Long-term use of thiazolidinediones and the associated risk of pneumonia or lower respiratory tract infection: systematic review and meta-analysis
(Thorax Published Online First 15 February 2011)
http://thorax.bmj.com/content/early/2011/02/15/thx.2010.152777.abstract
この研究は、チアゾリジン系糖尿病治療薬がペルオキシゾーム増殖因子活性レセプター(PPAR)作動薬である点に着目、肺におけるPPAR作用が抗炎症性で免疫調節性影響を持っていることから、長期の使用により下気道感染症(pneumonia and lower respiratory tract infection)の発症に影響がないかどうか調べたものです。
研究者らは、肺炎または下気道感染症、さらにこれらの重症事例(入院、障害または死亡)などの有害事象が記述された2型糖尿病の予防や治療に関する13の研究(RCTで期間が1年以上)17,627人のデータを解析しています。
その結果、肺炎や下気道感染症のリスクが1.40倍(n=130/8163 vs 100/9464; RR 1.40; 95% CI 1.08 to 1.82; p=0.01; I2=0%)、重症例も1.39倍 (n=111/7391 vs 87/8692; RR 1.39; 95% CI 1.05 to 1.83; p=0.02; I2=0%)に達したそうです。
研究者らは、チアゾリジン系糖尿病治療薬がこれら肺疾患のリスクを若干上昇させる可能性があるとしながらも、データが十分でなくさらなる検証が必要だとしています。(アブストラクトだけなので、アクトスとアバンディアとの差異については不明です)
参考:
Long term glitazone use associated with increased risk of pneumonia?
(NeLM 2011.02.16)
http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/News/2011—February/16/Long-term-glitazone-use-associated-with-increased-risk-of-pneumonia/
2011年02月17日 11:30 投稿