現時点では情報が限られているのですが、HPV予防ワクチンのサーバリックスの供給が滞っているようです。愛媛県では、GSK社が県内の医薬品卸業者への供給をいったん止める旨の通知をしたということなので、おそらく全国的なことでしょう。
愛媛新聞3月4日
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20110304/news20110304343.html
記事にもあるように、国による公費助成が決まり、各地で無料に近い形で接種が広まり、供給が追いつかなくなったのが原因のようです。
もともと任意接種だったのを、目玉政策として公費の投入したところまではよかったのですが、需給予測が甘かったのかもしれません。
HPVワクチンは3回の接種時期が推奨されているので、その際に受けられないとなると、昨シーズンの新型インフルエンザワクチンや去年のチャンピックスの供給不安による混乱と同じようなことになりかねません。担当者を集めた会議では、問題にならなかったのでしょうか。
今月あたりから、各自治体で無料接種等の事業が始まっているようですが、この事業への影響も出てくる可能性もあります。
関連情報:
全国都道府県担当者会議(2010年12月9日開催)
(子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金)
資料:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/other/101209.html
2011年03月04日 09:28 投稿
一般メディアは混乱を避けるためか、今の時点でも記事はほとんど出てきません。(もしかしてこれって圧力?)
GSK社のホームページでもアナウンスは出ていませんが、日本産科婦人科学会へは文書を出しています。
子宮頸がん予防ワクチン『サーバリックス』の供給について
(日本産科婦人科学会 2011年3月4日)
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce20110304.pdf
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子宮頸がん予防ワクチン『サーバリックス』の供給について
謹啓 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
グラクソ・スミスクライン株式会社が、製造輸入販売しております子宮頸がん予防ワ
クチン「サーバリックス」は、平成22年11月26日に厚生労働省健康局長・医薬食
品局長連名にて通知された【平成22年度子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実
施について】を受けて本年より多くの自治体様で公費助成が開始されましたところ当初
の予測をはるかに上回るご注文を頂き、現在全てのご要望にお応えできない状況が発生
しております。
各医療機関様のご発注に迅速に対応できず、サーバリックスの接種を希望される皆様
ならびにご尽力頂いている市区町村ご担当者様、医療関係者様、特約店様の皆様には、
多大なるご迷惑をお掛けすることになりましたことを心よりお詫び申し上げます。
弊社では、既にサーバリックスの接種を始められている方々が2回目以降の接種に支
障をきたさぬよう対応した流通体制をとらせて頂きます。
現在、生産量の拡大に最大限の注力しておりますので何卒ご理解を賜りますようお願
い申し上げますと共に、重ねて心よりお詫び申し上げます。
なお、詳細は追ってご連絡申し上げます。
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一方、医師が発信するブログでも困惑の声が広がっています。
http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-80.html
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2011-03-03-1
一部自治体でも品薄の状況をアナウンスしていますが、各紙記事を総合すると品薄解消が5月、安定供給ができるようになるのは、7月以降になるとのこと。
子宮頸がん予防ワクチンが品薄になっています(調布市3月4日)
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1299227413636/index.html
今後大きな混乱になりそうですね。
GSK社が7日、プレスリリースを出しました。
子宮頸がん予防ワクチン供給問題に関するお詫び
(グラクソ・スミスクライン株式会社プレスリリース3月7日)
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2011_01/P1000680.html
供給が順調になる時期は明らかになっていません。
今回の事態を受け厚労省は、接種費用の助成対象年齢の上限である高1の女性が3月末までに接種を受けられない可能性が出てきたとして、接種開始が高2になってからになったとしても助成の対象とするとの対応策を発表しています。
子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の円滑な実施について
(厚労省 2011年3月7日)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/110307-1.pdf
こういった事態は、需要が集中すれば想定されていたはず。
年度内に予算を計上し、政策を実現したという結果を示したい政治の都合もあるのでしょうが、結果的に地方自治体と接種対象者に混乱をきたしたことは、今後の教訓とすべきでしょう。
47NEWS 3月7日(共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030701000593.html
ワクチンのニュース2つ その6 接種期間の延期(対象の拡大)
(感染症診療の原則 3月8日)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/5fce2677281177bab8ac33ae385c38f5
(追記)
ワクチン関連問題の報じられ方 HPVワクチン
(感染症診療の原則 3月9日)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/365d3a76a3ce7069606734f16dbeea87
21:03に投稿されたコメントは申し訳ありませんが削除させて頂きました。
サーバリックスの供給がようやくめどがついたそうです。
ただ、全面再開にはもう少し時間がかかるようです。
子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の円滑な実施について
(厚労省 2011.06.01)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/110602-1.pdf
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今後の供給量を踏まえ、段階的に接種を再開することとし、
平成22年度に高校1年生が対象となっている市町村におい
ては、接種差し控えにより1回目の接種をできなかった今年
度の高校2年生に、本年6月10日より順次、接種を再開す
ることができることとする。
なお、初回の接種が差し控えられているその他の者について
は、必要な供給量の確保ができた段階で、接種再開について
改めてお知らせする予定である。