震災・原子力災害関連資料(TOPICS 2011.03.19)の一覧表にも追加していますが、日本老年医学会(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/)は(おそらく)25日、東日本大震災被災地での高齢者医療の一助となる「高齢者災害時医療ガイドライン(GL)」と「一般救護者用・災害時高齢者医療マニュアル」の試作版を公表しています。
このGLとマニュアルはもともと、地震や台風、津波などの様々な災害が多い我が国において、災害時における被災高齢者に対する医療の在り方について、厚労省の研究班が2011年度内の完成を目標に作成がすすめられていたものですが、今回の東北関東大震災が発生してからの被災高齢者に対する医療現場の厳しい現状があるとして、現段階では試作版ではあるとしながらも、被災地の高齢者医療の現場で一刻も早く役立てて欲しいとして、今回公表されました。
高齢者災害時医療ガイドライン」(試作版)→全文PDF(10.3MB)
一般救護者用・災害時高齢者医療マニュアル」(試作版)→全文PDF(811KB)
GLは、「避難所における高齢者急性/慢性期疾患発症と対応」「災害現場、避難所、仮設住宅における高齢者の主要症候」などといった医学的な内容の他、備蓄医薬品リストなど、医師や地方自治体担当者向けの詳しい内容となっていますが、基礎疾患を持った高齢者のトリアージ、ストレスにさらされた際に留意すべき点は何かなどの視点で読むと、私たちも一読する価値があります。
また、「自治体他の医薬品、医療機材の備蓄」という章(→PDF)では、備蓄品として「おくすり手帳」も記されています。(個人的には、災害時用には特別の仕様のおくすり手帳が必要だと思う。薬情も兼ねる?)
一方マニュアルの方は、疾患や予防のポイント、高齢者への対応などを図解や写真などを用いるなど、コ・メディカルや一般の人でも活用できるような内容となっています。
薬剤師が避難所を尋ねて、避難者・被災者の治療薬を確認する場合には、かなり活用できると思います。
地元でも約100人の方が市の施設で避難されています。担当の保健師さんに、「お薬のことで必要があったらお手伝いします」と申し出ましたが、保健師さんが毎日健康チェックをし、必要に応じて受診してもらっているとのことで、今のところ私たちの力は必要ないとの印象です。同様のケースは県内の他の所でもあるようです。
被災地とは事情が違うのかもしれませんが、医師会からの依頼があってから活動すべきなのか、独自に主体的に活動をすすめるか、何かをしたいというのになかなかできないというジレンマでいっぱいです。
関連情報:TOPICS
2011.03.19 震災・原子力災害関連資料
2005.10.24 自然災害発生時における医療支援活動マニュアル
2005.10.25 「生活不活発病」という概念
参考:
老年医学会 高齢者災害時医療ガイドラインの試作版作成
(日刊薬業 3月25日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/dantai/article/1226555724208.html?pageKind=outline
2011年03月26日 00:54 投稿