5月末で終了することになっている一般用医薬品のネット・通信販売の経過措置ですが、厚労省はさらに2年間の経過措置延長の方針を決め、31日パブコメを開始しました。
「薬事法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見の募集について
(案の公示日 2011年03月31日 意見・情報受付締切日 2011年04月29日)
厚労省では、今回の経過措置延長の検討にあたり、現時点での経過措置の利用状況を把握を行っています。(回答数2,099件、回収率43.2%)
調査は、郵便等販売を行うとして都道府県等へ届出をしている薬局等に対し、各自治体を通じて、経過措置による販売状況等について、アンケート調査という形で実施され、次のような結果が得られています。
- 郵便等販売で使用されているツールは、電話71.0%、インターネット7.4%
- 経過措置を利用して郵便等販売を行った医薬品の主な種類(店舗ごとに上位3種類選択)
第2類医薬品:(上位3種類に選択した店舗が多かったもの)
1位:漢方製剤、2位:滋養強壮保健薬(ビタミン主薬製剤を含む)、 3位:消化器官用薬
薬局製造販売医薬品:(上位3種類に選択した店舗が多かったもの)
1位:漢方製剤、2位:外皮用薬、3位:精神神経用薬(かぜ薬(内用)、解熱鎮痛薬、乗り物酔い防止薬等を含む) - 平成22年10月~11月の郵便等販売における第2類医薬品等の送付先件数
第2類医薬品の送付先件数:のべ94,217件
薬局製造販売医薬品の送付先件数:のべ37,911件
震災や原発事故を引き合いに、延長ではなく規制緩和を求める意見も出るのでしょうね。
なお、今回のパブコメは郵便等に関するものだけで、薬剤師が直接配達する場合の取り扱いについては含まれるかどうかは微妙です。
資料:医薬品販売制度に関する要望(薬剤師による居宅への配達)について
(日本薬剤師会定例記者会見 2011年3月10日)
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/110310_4.pdf
関連情報:TOPICS
2011.03.01 医薬品のネット・通信販売、経過措置の延長が濃厚か
2011.02.04 IT戦略本部の専門調査会がネット販売の対処案を公表
2009.05.29 改正省令が公布(パブコメ結果が公示)
3月31日 12:00リンク追加
2011年03月31日 09:50 投稿
今回は、とりあえず先送りという事と思われますが、患者居宅での調剤に準じて、薬剤師が自ら宅配するなら。。。という論議はおかしいと考えます。 あくまで、第一類医薬品(及びその他のOTC医薬品でも)を需要者に対し供給してよいかどうかを薬剤師が責任を持つ専門家として判断することに意味があるのであり、そのために必要があれば、患者のところに出向くことも可とされるべきという事と考えます。逆に、薬剤師が判断を下すために、必ず居宅に赴かねばならないものではないと考えます。
むろん、対面で需要者本人との対話に基づいて判断を行うことは相互に最大の利益をもたらすものと考えますが、リスクを認識したうえで、そのシェアリングがなされるならば、対面に拠らない販売も成り立つものと考えます。
現実には、需要者の安全ではなく、営む事業の売り上げ増大や利益の追求を図る小売業者やそれを煽る事業者から、(本来の責務を果たそうとする)薬剤師に対して課されるであろう不当な圧力をどう解消するかは難しい問題と思います。
処方箋薬と、第一類を含めた町の薬屋さんが販売できる一般用医薬品では元々取り扱いに大きな違いがありますよね。処方箋薬は医者の発行する処方箋によって販売されるのでどこの誰に何を販売したと後からでも証明できます。が、第一類を含めた一般用医薬品は対面販売が必要と言ってもどこの誰に何を販売してどんな説明をしたかを後で証明することは不可能ですよね。
だとすれば、間違った説明をされたおかげでこんな副作用が出たと言われてもどこの誰に何を説明したかも証拠が残っていないのですから販売者が負けますよね。
その点、郵便を含めた通信販売ではどこの誰に何を販売したかが一品残らず何年でも保存されますし、また、注意を喚起する文書を同封したり、必要であれば服用者に直接メールをしたり、電話をかけたりすることもできますよね。
つまりどうしても対面販売でなければいけないということであれば、買いに来た一人一人を証明する記録を残さなければおかしな事になります。
元来、処方箋薬と一般用医薬品ではそれから生じる副作用の程度に大きな違いがありますよね。一般用医薬品は成分的にその頻度として死に至るような重篤な副作用が起きにくいから一般用医薬品として町の薬屋さんでも売れるようになっている訳で。
それでも副作用が心配だと言われるのであれば、経過処置として、継続服用の方はともかく、離島の方には送って良いというのは離島の方の命の軽視?ともとられかねないそれこそ重大な問題になります。
ということで対面販売にこだわることは一般用医薬品では無理に過ぎるのでそれでもどうやって副作用をより少なくしていくかを考える事の方がより大事なことに思えます。販売方法の問題ではないと思いますが。
意外と返って、本人確認のために郵送販売だけを認めるというのも手かもしれませんね。マジに。
一般用医薬品の通信販売の是非について、長年「局長通知」で誤魔化して参りましたが、晴れて薬事法の改正で法令として「2類以上の一般用医薬品の通信販売禁止」が施行されたにもかかわらず、経過措置という抜け道を作り、挙げ句の果てに経過措置の延長などという馬鹿馬鹿しさ。
いったい何のために、誰のために、薬事法を改正したのだろう???。
旧特例販売業の超法規的扱いを公にされたくないからか???
日薬は21日の定例記者会見で意見を提出したことを明らかにしています。
「薬事法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集に対する本会意見提出について(離島居住者及び継続使用者に関する郵便等販売の経過措置延長)
(日本薬剤師会定例記者会見資料 2011年4月21日)
http://www.nichiyaku.or.jp/press/wp-content/uploads/2011/04/110421_3.pdf
日薬では、「郵便等販売に係る経過措置利用状況調査」結果を踏まえ、離島居住者への経過措置の継続はやむを得ない措置とする一方、継続使用者への経過措置延長には反対の立場を明らかにしています。
そのうえで、薬局へ自ら薬を買いに行くことが困難な障害者や独居の高齢者等については、特例的に居宅へ薬局等の薬剤師が薬を届け、対面で情報提供を行うことが可能となるよう求めています。
薬剤師による直接配達ついてですが、薬事法の運用を見直して認める方向で検討されているという一部報道もあるようです。
共同通信も記事を配信しました。
大衆薬の配達解禁を検討へ 厚労省、「買い物弱者」に配慮
(47NEWs,中国新聞 4月23日 共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042301000648.html
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201104230228.html
ケンコーコムが28日、パブコメを提出したと発表しています。
ケンコーコム、『薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案』経過措置延長について、パブリックコメントを提出
(ケンコーコムプレスリリース 2011年4月28日)
http://blog.kenko.com/company_pr/2011/04/post-cbe2.html
やはり震災を引き合いに、ネット販売が必要だと主張していました。
中略~
震災から1ヶ月あまりが経過し、被災地ではようやくライフラインの確保・復旧に向けた取り組みが始まりつつあります。しかし、これらの地域では医療機関や薬局・店舗も同様に被災しており、被災者は、容易に医師の診療を受けられないのみならず、自ら健康を維持し・体調を管理するために重要な役割を担う一般用医薬品の入手すら困難な状況です。
貴省は、先の事務連絡「情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて」(厚生労働省医政局医事課・医薬食品局総務課 平成23年3月23日)によって、医師の診療及び処方せん医薬品の調剤について特例措置を講じましたが、被災地全体での継続的かつ安定的な医療体制の実現のためには、これらに加え、一般用医薬品が迅速かつ安定的に供給される体制の構築が必須と考えます。とりわけ、電話やインターネット等によって一般用医薬品の適正な使用のために必要な情報提供を適切に行うことができるインターネット販売は、すべての被災者に対して一般用医薬品が迅速かつ安定的に供給されるために必要不可欠です。
ちょっと極論ではないかと思いますけどね。