着色料による多動性リスク表示の義務付けは不要(米FDA)

 以前、合成着色料が子どもの多動性(hyperactive behaviour)と関連性の可能性があるとして、EUでは一部着色料を含むものについて、リスク表示の義務づけが始まっていることを紹介(TOPICS 2010.08.09)しましたが、米国でも30、31日の2日間にわたり、FDAの食品諮問委員会(Food Advisory Committee Meeting)で検討が行われ、リスク表示の義務づけは必要ないとの評決が行われました。

March 30-31, 2011: Food Advisory Committee Meeting Announcement
 http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm236321.htm

配布資料→2011 Food Advisory Committee Meeting Materials

 今回の諮問委員会は、国が認めた9つの着色料のうち8つについて使用禁止を求める消費者団体CSPI(the Center for Science in the Public Interest)からの請願を踏まえて行われたもので、次のような評決が行われています。

  • 着色料によって子どもの多動性を引き起こしたり悪化させることはない(支持11-不支持3)
  • リスク表示の義務付けは必要ない(支持8-不支持6)
  • 医師は、ADHDを持つ子どもへの着色料フリーの食事を勧めるべきではないが、検討を考えている保護者へのサポートは行うべきである(支持13-不支持1)
  • 国立衛生試験所は着色料とADHDとの関連について検討を行うべきである(支持13-不支持1)

Center for Science in the Public Interest (CSPI) Petition (PDF – 4043KB)

 Diet, ADHD & Behavior
A QUARTER-CENTURY REVIEW
(Center for Science in the Public Interest)
http://www.cspinet.org/new/pdf/dyesreschbk.pdf

 今回の評決を受け、CSPIではFDAで引き続き関連性についての検討が行われることとなったことを歓迎するとともに、諮問委員会がより安全な天然の着色料に自主的に変更するよう助言することを望むとしたステートメントを発表しています。

Strong FDA Action on Food Dyes Urged
(CSPI 2011.03.31)
http://www.cspinet.org/new/201103301.html

 米国とEUとの対応の違いが際立ちますが、やはり米国食品業界の影響は少なくないのでしょうね。

 それにしても、日本ではこういった検討が行われていることはほとんど報じられませんね。

 なおCSPIでは、今年2月に人工のカラメル着色料(Artificial Caramel Coloring)の発がん性についての請願もFDAに行っています。

FDA Urged to Prohibit Carcinogenic “Caramel Coloring”
(CSPI 2011.02.16)
http://www.cspinet.org/new/201102161.html

関連ブログ:
FDA:人工着色料と多動性障害の関連に動き出す・・・
(内科開業医のお勉強日記3月31日)
http://intmed.exblog.jp/12348770/

関連情報:TOPCIS
  2010.08.09 合成着色料と食品へのリスク表示の義務づけ(EU)
  2008.04.11 合成着色料、欧州規模の禁止が必要(英国)
  2007.09.07 食品添加物と子どもの多動性

参考:
FDA Panel Opposes Warning Labels for Food Dyes
(WebMD 2011.03.31)
http://children.webmd.com/news/20110331/fda-panel-opposes-warning-labels-for-food-dyes
FDA Panel Delays Action on Dyes Used in Foods
(Health DAY 2011.03.31)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=651471
FDA Panel Says No Support for Linking Food Dyes, Hyper Kids
(Medpage TODAY 2011.03.31)
http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/ADHD-ADD/25660


2011年04月01日 11:21 投稿

Comments are closed.