ファーマコビジランスとは(英MHRA)

 本サイトでも時々出てくるPharmacovigilance(ファーマコビジランス、ファーマコヴィジランス、医薬品安全性監視)という概念ですが、英国医薬品庁(MHRA)では、この概念の解説と重要性、医療関係者の協力を求めたページを開設しています。

Pharmacovigilance learning module (MHRA 2011.04.05)
http://www.mhra.gov.uk/ConferencesLearningCentre/
LearningCentre/pharmacovigilancelearningmodule/index.htm

 ページは、下記のような項目で構成されていて、イエローカード副作用報告システム(Yellow Card Scheme)による副作用の報告方法やケーススタディなども取り上げられています。

  • Adverse drug reactions(副作用(有害事象)とは何か?)
  • Pharmacovigilance(ファーマコビジランスとは何か~副作用をモニターすることの重要性)
  • Information sources on adverse drug reactions(副作用に関する情報にはどのようなものがあるか)
  • How to report a suspected adverse drug reaction(どのように副作用と疑わしい情報を報告するか)

 ファーマコジランスとは、WHOによって「医薬品の有害な作用または医薬品に関連するその他の問題の検出・評価・理解・予防に関する科学と活動」という定義がされているそうですが、MHRAではトップページにおいて、下記のようなキーポイントを示しています。

  • 医薬品発売時においては、潜在的危険性に関する情報は不十分である
  • ファーマコビジランスは、医薬品の安全性を継続的に確認するために極めて重要である
  • 医療専門職、製薬会社と規制機関は、ファーマコビジランスで鍵となる役割を演ずる
  • イエローカード副作用報告システムは、潜在的な副作用が見つけられることができる重要な方法である
  • 一人一人の健康を守るために、臨床医は医薬品に副作用に関する緊急の情報を求めて、それ従う必要がある
  • 副作用にある情報は、BNF と the medicine’s summary of product characteristics でカバーされている
  • 重要な緊急情報は、Drug Safety Update といった速報によって提供されている

 日本でも、ファーマコビジランスのシステムが充実しつつありますが、MHRAのウェブサイトには、イエローカード副作用報告システムによって収集された副作用情報を成分ごとにアルファベット順にまとめた drug analysis prints というページや、重点的に監視が必要な医薬品のリストをまとめた black triangle (▼) といったページがあり、日本でも将来同様の情報発信が期待されます。

 PMDAのウェブサイトでもこういった解説ページがあると、ファーマコビジランスへの理解が深まるとともに、副作用情報の収集が高まるかもしれませんね。

医療機関報告のお願い(PMDA)
http://www.info.pmda.go.jp/info/houkoku.html

関連情報:TOPICS
 2011.02.11 監視が必要な医薬品リスト(フランス)
 2011.01.11 副作用自発報告システムの実証研究が始まる
 2009.10.25 生活者からの副作用自発報告システムは日本でも必要(国内研究)
 2009.01.10 患者副作用直接報告は、医療専門職からの報告を補完する
 2008.02.19 イエローカードオンライン副作用報告システムが本稼動(英国)
 2007.04.07 Adverse Medicine Events Line(豪州)

参考:
Pharmacovigilance(WHO)
http://www.who.int/medicines/areas/quality_safety/safety_efficacy/pharmvigi/en/
市販直後調査とPharmacovigilance
(BS病薬アワー 2004年7月19日放送分)
http://medical.radionikkei.jp/Jshp/final/pdf/160719.pdf
ファーマコビジランスとは(Kotobank.jp)


2011年04月14日 12:43 投稿

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