米国心臓協会学会(AHA:American Heart Association)は、中性脂肪(TG)と心臓血管病の関連や治療法などについてまとめたScientific Statement を Circulation 誌のオンライン版で発表しています。
Triglycerides and Cardiovascular Disease:
A Scientific Statement From the American Heart Association
(Circulation published online Apr 18, 2011)
http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIR.0b013e3182160726v1.pdf
米国人とは人種や食生活、ライフスタイルの差があり、このステートメントがそのまま日本にはあてはまらないかと思いますが、AHAでは食生活やライフスタイルの見直しをすれば、血清TGを20%~50%減らせるとしています。
Dietary, lifestyle changes can significantly reduce triglycerides
(AHA News Release 2011.04.18)
http://www.newsroom.heart.org/index.php?s=43&item=1315
ステートメントは過去30年にわたる500の研究を参考にまとめられたもので、抜粋すると以下のようなことが勧告されていました。
- スクリーニングとして非絶食時におけるTGを測定、200以上の場合改めて絶食時におけるTGを測定し、150未満をNormal、150~199をborderline、200~400をhigh 、500以上をvery high (但し目標は100未満)
- 非絶食時びおけるTG値は、LDL-C値算出の際に用いられる Friedewald formula では使用すべきではない
- TGが正常値を超える場合は、5~10%の減量を行う(TGの20%降下が期待される)
- TGが正常値を超える場合は、糖分やフルクトース(1日50~100g未満)を制限することによりカローリーを5~10%減らす(10~20%のTG降下が期待される)
- TGが高い人は野菜や果物(低フルクトースのカンタロープ、グレープフルーツ、イチゴ、桃、バナナ)、繊維質の多いもの、サケ、ニシン、マグロなどのオメガ-3脂肪酸を多く含む魚を積極摂取する
- コーラやジンジャーエールなどの清涼飲料水にもフルクトースは多く含まれている
- TGが正常値を超える場合は、総カロリー中のトランス脂肪酸の割合を1%未満とする
- bordeline や high のレベルでは週に150分程度の運動(ウォーキング)で20~30%のTG降下が期待される
- TGが500を超える場合は、アルコールを制限するともに、膵炎のリスクを考慮して薬物療法を検討する
- TGの薬物療法におけるエビデンスはまだ十分でない(TGの低下の効果の降下は、フィブラート系で30~50%、オメガ-3で20~50%、スタチンで10~30%、エゼチニブで5~10%)、LDL-C値を注目する必要がある。
- 臨床医は高TGをもたらす可能性がある薬物の使用が行われていないかどうか考慮すべきである
(高TGをもたらす可能性のあるもの:αインターフェロン、非定型抗精神病薬、アテノロールなどのβ遮断薬、L-アスパラキナーゼ、エストロゲン、ラノキシフェン、シロリムス、ステロイド、タモキシフェン、サイアザイド など)
誤りもあるかと思いますので、今後日本語訳されて出される情報でご確認して下さい。
参考:
Lifestyle Changes Can Slash Blood Fat Levels, Experts Say
(HealthDay 2011.04.18)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=651952
Lifestyle Changes Reduce Triglycerides
(WebMD 2011.04.18)
http://www.webmd.com/cholesterol-management/news/
20110418/lifestyle-changes-reduce-triglycerides
2011年04月19日 18:08 投稿