ドパミン作用薬(作動薬)のペルゴリドとカベルゴリンは、心臓弁膜症の発症リスクから2007年4月に添付文書の「重要な基本的注意」に定期的心エコー検査の実施などが追記されるなどの注意喚起が行われています(TOPICS 2007.04.13)が、現場ではこの注意喚起が十分徹底されていないのではないかとする報告が Drug Safety 誌に掲載されています。
The Impact in Japan of Regulatory Action on Prescribing of Dopamine Receptor Agonists: Analysis of a Claims Database between 2005 and 2008.
(Drug Saf. 2011 Apr 1;34(4):329-38.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21417505/
http://www.ingentaconnect.com/content/adis/dsf/2011/00000034/00000004/art00007
アブストラクトだけなので、詳細はわかりませんが、この研究は東大と東北大の研究者が添付文書改訂前の2005年1月と改定後の2008年10月の300,000人の患者データのうち40歳以上のパーキンソン病患者のデータ(574人)を調べたもので、次のようなことがわかったそうです。
- 添付文書の改訂後も、これら2剤の処方割合は減少することはなく、むしろ増加傾向だった(有意差はなし)
- 服用中の患者は心エコー検査をうけるようになったが、処方されている患者の1/4にとどまった
- リスク回避のため、心機能のチェックが行われるよう、患者登録などのリスクマネジメントツールの追加が必要
安全使用に懸念がある薬剤については、この2剤のように添付文書の「重要な基本的注意」や「警告欄」に確認すべき事項や患者に説明を求める事項が記載されていますが、実際にこれらの注意喚起が現場で十分徹底されているかどうかという疑問がわいてきます。
パナルジンなどの定期的な血液検査が必要なもの、抗うつ薬の自殺リスク、プロトピックによるがんリスクなどの患者への説明など、調べることが難しいかもしれませんが、実施状況を把握する必要があるかもしれません。そうでないと、添付文書の記載事項の変更が無意味なものとなるからです。
関連情報:TOPICS
2007.04.13 ペルゴリド、カベルゴリンに対し注意喚起を強化
2007.03.30 ペルゴリドが販売中止へ(米国)
2011年04月21日 01:52 投稿