WEB上には、実にさまざまなくすりや薬剤師関連の論文やその紹介記事があふれています。
WEBニュースやNeLMなどを見ていると、本サイトでも紹介したいものも少なくないのですが、アブストラクトだけのものとかで内容がよくわからないものもあり、記事としてまとめにくいものが少なくありません。
そこで、前から考えていたのですが、ちょっと気になった論文のタイトルとリンク先、論文紹介の記事やブログ、簡単なコメントを月ごとにまとめることにしました。
誤りがあったらご指摘下さい。月ごとに随時追加する予定です。(どのくらい続くかなあ・・・。でもこうしておかないと、自分でもいつどこの話だったのか忘れるので。)
紹介日 | 論文・報告タイトル (紹介記事・ブログ) |
概要・コメント |
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04.26 |
Calcium supplements with or without vitamin D and risk of cardiovascular events: reanalysis of the Women’s Health Initiative limited access dataset and meta-analysis ・Health Day 記事 |
カルシウムサプリメントの摂取と心臓血管病の発症リスクの関連性について調べたメタアナリシス。カルシウムのみを摂取した場合はビタミンDと合わせて摂取した場合の方が発症リスクが高いとしたが、臨床的にはあまり重要ではないとしています。 |
04.26 | Oral contraceptives and the risk of gallbladder disease: comparative safety study (CMAJ Published online ahead of print April 18, 2011.)・Health Day 記事 ・Reuter 記事 |
プロゲスチン+エチニルエストラジオールが配合された経口避妊薬を少なくとも6か月以上服用した約270万人データを解析したretrospective cohort studyで、胆石症の発症リスクがプロゲスチンの種類(レボノルゲストレルを基準)によって異なるかどうかを調べています。その結果、第4世代のドロスピレノンが配合された避妊薬を使用した群では、発症リスクが1.2倍となった(有意差あり)ものの、臨床的には重要ではないという結論が得られています。 |
04.19 | I 度高血圧患者の脳卒中予防におけるアンジオテンシン変換酵素阻害薬の Over-the-counter (OTC)薬化を想定した薬剤経済学的評価 (薬学雑誌 131(4) 571-580(2011)) |
OTC医薬品協会の委託を受けて慶応大の医薬品情報学講座のグループが行った研究で、ACE阻害剤をスイッチ薬として発売した場合の費用対効果を分析しています。(2011.2.3の日本経済新聞が一部を紹介) 日経の記事などを参考(日経報道の数値とは若干異なっている)にすると、スイッチOTC利用者で期待される平均生存年は40.77年と医療機関で治療する人と同じで、全く治療しない人より0.89年長く、また病気に伴う労働損失などを含めた総費用はスイッチOTCを利用した場合が約850万円で、これは全く治療しない人より約51万円、医療機関で治療する人より約84万円(後発品を使用した場合では約59万円、タナトリルで試算)少なくなるという。 |
04.19 | 薬剤師のコミュニケーションスキル測定のための尺度の開発 (薬学雑誌 131(4)587-595(2011)) |
薬剤師におけるコミュニケーションスキルの評価のための測定尺度の作成を試みた研究。「患者尊重対スキル」「問題発見と解決スキル」「積極的接近スキル「感情処理スキル」の4因子31項目を用いることにより、個人のスキル到達度評価が可能とのこと。 |
04.19 | Dietary Supplement Use Among U.S. Adults Has Increased Since NHANES III (1988–1994) (CDC NCHS Data Brief Number 61, April 2011) |
米国におけるdietary supplements(健康補助食品)の利用状況を過去と比較して調べたレポート。米国人の53%がdietary supplements を使用し、具体的には総合ビタミン剤が39%、また60歳以上の61%の女性がカルシウム剤を使用しているなどの結果が示されています、(直近のデータは2003-2006年) |
04.15 | Reliability of Wikipedia as a medication information source for pharmacy students (Currents in Pharmacy Teaching and Learning Apr 2011;3(2):154-158) |
TOP200の医薬品のうち頻用される20の品目についてWikipediaで解説されてる内容が適切なものかどうか調べた研究。Wikipediaの情報には問題があり、薬学教育関係者は学生にはより信頼できる情報にアクセスするよう教育して欲しいとのこと。 |
04.15 | Use of Angiotensin Receptor Blockers and the Risk of Cancer (Circulation 2011;published online before print April 11, 2011) |
ARBとがんリスクを調べた研究。ほとんどのがんでリスクの上昇は認められなかったが、男性生殖器がん(cancer of male genital organs)のリスクは15%高かった。 |
04.15 | Effects of low-dose, controlled-release, phentermine plus topiramate combination on weight and associated comorbidities in overweight and obese adults (CONQUER): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial (Lancet Published Online: 11 April 2011) ・NHS Choices 紹介記事 |
2010年10月に現時点では承認できないとの通知をFDAより受けているQnexa(phentermineとtopiramateの合剤)のフェーズ3の臨床試験結果。今回の結果をもとに、改めてFDAへの申請を行うようです。 |
2011年04月26日 23:40 投稿