小麦加水分解物と小麦依存性運動誘発アナフィラキシー

　去年の10月に既に注意喚起されていた話題（直接関係ないと思ってスルーしていましたが・・・）ですが、多くの健康被害の事例があったとなると無視はできません。

小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく石鹸」の自主回収について
（厚生労働省2011年5月20日）
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001cv6i.html

 旧 茶のしずく石鹸（昨年12月7日以前販売分）をまだお持ちのお客様へ
（株式会社悠香 2011年5月20日）
http://www.yuuka.co.jp/info/news20110520.action

　石鹸や洗顔剤などの化粧品には、泡立ちをよくしたり保湿の目的で小麦加水分解物（加水分解コムギ末）が配合されているものがある（あった）そうなのですが、これらを長く使用し続けると、皮膚などからこの小麦加水分解物が吸収されるうちに、鼻水、目の周りのかゆみ、息苦しさ、じんましん、しっしんなどのアレルギー症状を起こしたり、まれに（といっても67例というのは尋常じゃない）これが感作となり、小麦を含む食物を摂取して運動をした後に即時型アレルギー症状（小麦依存性運動誘発アナフィラキシー）をおこすというもので、専門医の間では懸念が広がっていました。

小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品による全身性アレルギーの発症について
（厚生労働省プレスリリース 2010年10月15日）
http://www.info.pmda.go.jp/happyou/file/PMDSI_101015.pdf

石鹸中の加水分解小麦で感作され小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを発症したと思われる3例
（日皮会誌：120(12),2421-2425,2010）
http://drmtl.org/data/120122421j.pdf

お茶石けんで小麦アレルギーに (2)
（さち皮ふ科クリニックの「できごと」　2011.04.04）
http://sachi-hifu.com/e2934844.html
http://sachi-hifu.com/search.php?search=小麦

　簡単に言うと、小麦加水分解物（加水分解コムギ末）の入った石鹸などを使い続けると、やがて小麦が含まれるパンやうどんなどを食べただけで、運動後のアレルギーを生じる体になってしまうことがあるということです。

資料：
アナフィラキシーを起こす可能性のあるその他のアレルギー
（アナフィラキシー対策フォーラム）
http://www.anaphylaxis.jp/forum/allergy_others.html
食物アレルギー（日本アレルギー協会）
http://www.jaanet.org/patient/allergy/food

　2010年の厚労省の通知により、多くの製造業者は加水分解コムギ末の含まない製品に（こっそり？）切り替えたそうですが、旧製品はまだ相当数市場に出回っているらしく、話題となって売り上げの多いこの製品の旧製品ついての回収に踏み切ったようです。（特定製品だけでいいのかなあ？）

　薬局薬店に、「食後に運動するとじんましんのようなものが出てくる。呼吸が苦しくなる。今まではこんなことはなかったのに。」などと訴えて薬の購入を求める人がいたら、まず、「どんな石鹸や化粧品を使っていますか？」と尋ねて、加水分解コムギ末が含まれていないものかどうか確認したり、必要に応じて皮膚科やアレルギー専門外来などの受診を勧めることが必要でしょう。

参考：
毎日新聞5月21日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110521ddm041040131000c.html
朝日新聞5月21日
http://www.asahi.com/health/news/TKY201105200686.html
（リンク切れ）

（2011.11.16追記）
本サイト内、下記ページに関連記事があります。
　TOPICS　2011.07.15　小麦加水分解物含有石鹸による健康被害広がる

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2011年05月21日 13:30 投稿