WEBではドーピングの話題でにぎわっています。
一つ目は、グレコローマン96キロ級で昨年の世界選手権代表だった北村克哉選手が、ドーピング違反のため日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から2年間の資格停止処分を受けたという話です。
各紙によれば、北村選手はプロ格闘家転向も目指して、肉体維持を目的に海外通販でサプリメントを購入、多数服用していて、その中に禁止薬物のドロスタノロンが含まれていたようです。
日本ドーピング防止規律パネル決定
(日本アンチ・ドーピング機構 2011年6月10日)
http://www.playtruejapan.org/downloads/disciplinary_panel/dopingcontravention110610.pdf
JADAの上記決定によれば、JADAの聴聞に北村選手は「意図的な摂取ではない」と話し、パネルでも意図的でないと認められたものの、医師の処方に全く基づかずぬ海外通販により入手した多種多様のサプリメントを大量に安易に服用したことには明らかに本人に過失があるとして、今回の厳しい処分となったようです。
中身が明らかでない海外サプリメントの危険性(禁止物質が密かに混入)は、以前から指摘されており、各紙はレスリング協会に対して、ドーピング対策への意識の低さを厳しく指摘しています。
プロスポーツとの接点が強いレスリングならではという事情がもしあったとするのなら、プロレスリングや総合格闘競技における薬物の使用についても、十分検証する必要があるかもしれません。(興業だから、ドーピングには厳しく問わない?)
二つ目は、ラグビー日本代表候補のSOの山中亮平選手が、4月に宮崎で行われた強化合宿中に行われた抜き打ち検査で育毛剤により陽性反応を示していたという話です。
この育毛剤が具体的に何なのかは伝えられていませんが、ひげに対して使われていた薬ということなので、ブログでも指摘されていますが、私もおそらくテストステロン類が配合された第一類医薬品の「ミクロゲン・パスタ」の使用が原因ではないと推測しています。
もし、そうであったならこれを販売した店舗の薬剤師の責任は重大ですね。(ネット購入や知人から分けてもらったとしたら防ぎようがありませんが)
スポーツファーマシストの講習会でも質問が出されていましたが、私も少なくとも明らかに禁止物質が含まれているものについては、パッケージに表示すべきと思います。(でもメーカーは商品にネガティブなイメージとなるので、そういった表示はやりたくないらしい)
三つ目は、サッカーのメキシコ代表チームの選手5人がドーピング検査でクレンブテロールの陽性反応を示したという話題で、食べた肉が原因のようです。
家畜へのクレンブテロール汚染問題は各地に広がっているようですね。
参考:
毎日新聞6月13日
http://mainichi.jp/enta/sports/news/20110614k0000m050001000c.html
報知新聞6月14日
http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20110614-OHT1T00035.htm
時事通信6月13日
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2011061300728
朝日新聞6月12日
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY201106130002.html
時事通信6月10日
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011061000445
スポニチ6月11日
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2011/06/11/kiji/K20110611000994710.html
関連情報:
2011.06.14 薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック2011年版
2011.05.14 クレンブテロールとドーピング
2010.07.21 ブルーライン運動(山口)
2009.12.02 うっかりドーピング防止のためには対面販売が必要
2011年06月14日 13:01 投稿