Google News で韓国の記事を見ると、韓国でも保健省が一般用医薬品の販売規制案を打ち出し、大韓薬剤師会が対応策に追われていることが連日報じられています。
英語の記事がほとんど出ないので、正確さにかけるところもあるかもしれませんが、Korea Herald というところが英語の記事を配信しているので、ハングルの記事とあわせて紹介したいと思います。
Korea to allow supermarket sales of 44 OTC drugs
(Korea Herald 2011.06.16)
http://www.koreaherald.com/national/Detail.jsp?newsMLId=20110616000148
Ministry on the rack over OTC drug market opening
(Korea Herald 2011.06.16)
http://www.koreaherald.com/national/Detail.jsp?newsMLId=20110616000643
[Editorial]Household medicines
(Korea Herald 2011.06.16)
http://www.koreaherald.com/opinion/Detail.jsp?newsMLId=20110624000264
韓国保健省は6月15日に、12の栄養ドリンク、4つの軟膏・クリーム剤など44品目についてスーパーマーケットなどの一般商店でも販売できるカテゴリーに分類することを決め、8月からの実施を決めています。
この栄養ドリンクには、リポビタンDと外観が似ている韓国でも売り上げの大きい「バッカス」というものも含まれ、薬局には大きな打撃となるのではないかと指摘されています。
バッカス(楽天市場)
http://item.rakuten.co.jp/hiroba/drink027/
日本で、10年以上前にリポピタンが部外品になったことが、今韓国でどうも起きているようです。
この背景には日本と同様、休日や夜間に薬局が営業していないために、一般用医薬品が入手できないという生活者の不満があり、当初はかぜ薬や痛み止めなども販売規制の緩和の遡上に乗っていたようです。
大韓薬剤師会は、あわてて深夜休日営業を試験的に行う一方、会長がハンガーストライキを行うなど、実力で阻止しようと懸命です。
ただ一方で、興味深かったのは、代わりに処方せん医薬品のスイッチを行えという要望書を提出している点です。(下記タイトルはGoogl翻訳によったものです)
大韓薬剤師会、医薬品分類について本格始動
20成分の一般用医薬品へのスイッチを要求
医薬品再分類申請書を第一次分を福祉部に提出
(大韓薬剤師会プレスリリース 2011.06.21)
http://www.kpanet.or.kr/kpa_people_pharmacist/bbs/desc.jsp?s_class=kpa_news&oid=3427&pg=0
Google翻訳→リンク
Google翻訳から推測なのですが、下記のような品目のようです。(バイアグラも当初は検討されていたらしい。誤りがあったらごめんなさい。でもGoogleってすごいな)
レボノルゲストレル | 緊急避妊薬 |
オルリスタット120mg | 抗肥満薬 |
オキシテトラサイクリン+ポリミキシンB | テラマイシン軟膏? |
クロラムフェニコール点眼薬 | |
ヒアルロン酸ナトリウム点眼液 | 日本のヒアレイン? |
アゼラスチン?点眼薬 | |
ブテゾニド | |
フルチカゾン | |
ロラタジン | |
フェキソフェナジン120mg | |
ジクロフェナク25mg | |
アムロフィリン外用薬 | ネールラッカー・クリーム |
クロルベタゾン? | |
ラクツロース | モニラックシロップ (便秘薬らしい) |
シメジチン200mg | タガメット |
ニザチジン75mg | |
ラニチジン75mg | ザンタック |
オメプラゾール20mg | |
ランソプラゾール15mg | |
パントプラゾール20mg | 日本で未発売のPPI |
大韓薬剤師会では、海外のスイッチ状況からリストアップし、生活者の利便性に資するとする一方で、要求が受け入れられない場合は、かぜ薬などの分類変更は受け入れられないという姿勢のようです。(動機はともかく、きちんと主張するところはすごいな。全部で4000億ウォンに相当するそうです)
医師会や生活者の反応も気になるところです。
2011年06月27日 00:51 投稿
韓国内では、緊急避妊薬のスイッチ要求に対して、対立が起こっているようです。
緊急避妊薬めぐり医師団体と市民団体が対立
(朝鮮日報 日本語版2011.06.30)
http://www.chosunonline.com/news/20110630000067
市民団体は薬局での処方せんなしでの販売を支持しているようですね。
日薬の山本信夫副会長が中央日報紙のインタビューに答えています。
「スーパーで薬を売ると収入が減る? 日本の薬剤師は抗議したことない」
(中央日報 日本語版 2011.07.01)
http://japanese.joins.com/article/388/141388.html
http://japanese.joins.com/article/388/141389.html
「私たちが1990年代半ばから安全な薬は一般薬にしてほしいと要求したのは事実だ。 健康飲料やビタミンなどを(スーパー販売用)医薬外品に転換するからといって、私たちが医療用薬品を一般薬に変えてくれと要求したことはない。」
確かにそうだけど・・・・・・
こんな記事も
薬を選択する権利、日本・米国は患者にあるが韓国は…
(中央日報 日本語版 2011.07.01)
http://japanese.joins.com/article/392/141392.html
「患者(生活者)に選択する権利」というのはちょっとひっかかりますが。
一方、緊急避妊薬については東亜日報が解説記事を出しています。
[オピニオン]応急避妊薬の薬局販売
(東亜日報 日本語版 2011.07.01)
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011070170628
日本語の記事はまだ出ていませんが、ハングルの記事にいよれば、1日に日本の中央薬事審議会にあたる会議で、消費者団体から提出された17成分についてのスイッチの可否についての検討が行われ、(おそらく)ファモチジン20mg、ザンタック錠75mg、ヒアルロン酸点眼液、ラクツロースについて、スイッチしても差し支えないとの意見が示されたようです。
福祉部、専門→一般4品目、”適合”判定した理由は?
(記事はハングル)→原文 →Google 翻訳
一方、8対4で、かぜ薬も含めた医薬品の再分類についても承認されていて、法律の改正も視野に入れて審議がすすめられるようです。
大韓薬剤師会ニュース →原文 →Google 翻訳
上記記事によれば、テラマイシン軟膏・イミグラン錠、ベネトリン吸入液はスイッチに適さないとした一方、ノルレボなど10成分については保留になったとしています。
7月4日、福祉保健部は今後のスケジュールを発表しています。
Google 翻訳で→リンク
7月7日、11日に薬事法改正のための専門の委員会を開催、15日に公聴会を実施し、月内には改正案をまとめ、9月中にも改正案を議会に提出するとのことです。
よく言えばスピード感がありますが、拙速感も否めません。
今回の動きについて、薬科大学の教員たちも慎重に議論をすすめるべきとの声を挙げはじめているそうです。(日本では、そんなことあったかなあ?)
記事はGoogle 翻訳で →リンク リンク
久しぶりに日本語の記事が出ています。
風邪薬や鎮痛剤、コンビニなどで販売可能に
保健福祉部が薬事法改正案を発表
(朝鮮日報 日本版 7月16日)
http://www.chosunonline.com/news/20110716000023
記事によれば、「薬剤師などの専門的な知識がなくとも患者が自ら選択でき、安全に服用できる」ものであれば、一般商店での販売を認めるというものらしく、保健福祉部では、「コンビニで販売される薬はすでに広く普及しているものばかりで、副作用が発生した場合の責任は消費者にあるとされる」としているそうです。
今回の医薬品分類の見直しで、日本ではイブプロフェンやアスピリンなど第2類の医薬品もコンビニで販売が可能となるようですが、一方で小口包装の製品を新たに作り、1回の販売量を制限する(これは日本にはない)、年齢制限やネットや宅配による販売も禁止するとのことで、必要最少量に限って販売を認めるというもののようです。(こういった考え方も一つの方法)
15日の各紙を見ると、ものものしい警戒の下、公聴会が開催されたのですが、大韓薬剤師会は途中で席を立って、反対の意思を示したとのことです。
韓国KBSニュース(2011.07.16 動画あり)
http://news.kbs.co.kr/society/2011/07/16/2324937.html