来年はいよいよ6年制の教育を受けた薬学生が挑戦する初めての薬剤師国家試験ですが、4年制の教育を受けていない私たち薬剤師にとってどのような問題が作成されるかは、どのような教育が行われているかを知る上でも興味深いものです。
日薬の会員の方は今月の日薬雑誌の日薬情報で、来年の薬剤師国家試験に関する解説記事で、厚生労働科学研究として作成したモデル問題をご覧になったかと思いますが、さらにどんなモデル問題が検討されたのかWEBで調べてみました。
この厚生労働科学研究は、「薬学教育6年制に対応した国家試験の円滑な実施のための問題作成の在り方に関する研究」というもので、厚生労働科学研究成果(http://mhlw-grants.niph.go.jp/)を見ると 2010年度の研究はつい最近公表されたばかりで、まだ概要版しかアップされていませんが、2009年度の研究は全文をみることができ、モデル問題のうち、各分野5題の「薬学実践問題が見ることができます。
下記検索画面で、薬学教育6年制 というキーワードを入れ、検索をかけて下さい
厚生労働科学研究成果データベース検索トップ
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do
日薬雑誌に抜粋し紹介されたのは、2010年度の研究で作成された「必須問題」、および「一般問題(薬学理論問題)」のモデル問題からの抜粋で、さらにどこかに関連資料がないかと調べていたところ、崇城大学と金沢大が国家試験対策のページで、大学との意見交換会資料として配布されたものが掲載されていました。
国家試験対策委員会(崇城大学)
http://www.ph.sojo-u.ac.jp/~kokutai/index.htm
2010年12月24日 開催 大学との意見交換会資料(崇城大学)
http://www.ph.sojo-u.ac.jp/~kokutai/kokusi_ippann.pdf
上記の資料は、厚生労働科学研究の報告書作成のための資料と提示されたとしていますが、日薬雑誌に掲載されたものとほぼ同じです。(後半部)
あくまでもモデル問題ということで、このままの難易度で出題されるわけではありませんが、病薬の分野の正答を得るのは私には難しかったです。(学習しないといけないな)
一方、気になることが一つあります。処方せんに関する出題が、あの「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」(TOPICS 2010.01.29)に沿った新しい記載方法のルールとなっている点です。
国の方針だから当然なのでしょうが、実務実習で学んだことと国家試験の出題が違うというのは、薬学生もさることながら、教える側の大学教員・実務実習薬剤師にとっても困惑を深めるものとなるでしょう。
国家試験の問題と出す以上、現場もすみやかに新しい記載方法にしていかない(少なくとも移行のスケジュールを決める)と、現場に出た新薬剤師そして新しい医師に混乱をきたすことになるのではないでしょうか。
資料:薬剤師・薬学教育に関するページ(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakuzaishi/
関連情報:TOPICS
2010.10.08 薬剤師国家試験出題基準が公表
2010.01.29 内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書
2008.07.02 新しい薬剤師国家試験制度の概要固まる
2011年08月08日 01:06 投稿