近年、有害事象や相互作用についての研究や報告が少なくないPPIですが、米国の医薬品監視団体のPublic Citizen は23日、PPIについて重大の有害事象のリスクがあるとして、米国の添付文書でもっとも重い、黒枠警告(black box warnings)で注意喚起を行うことや患者向医薬品ガイドにこれらを盛り込むことを求める請願書をFDAに提出したと発表しています。
Many Popular Stomach Acid-Reducing Drugs Are Habit-Forming, Dangerous
Nexium, Prilose and Other Proton Pump Inhibitors Are Overprescribed, Should Carry Strongest Possible Warning, Public Citizen Tells FDA in Petition
(Public Citizen 2011.08.23)
http://www.citizen.org/pressroom/pressroomredirect.cfm?ID=3403
請願書・全文
http://www.citizen.org/documents/1964.pdf
Public Citizen では、処方薬については、
- リバウンドによる胃酸分泌リスク
- 股関節や脊柱、手首などの骨折リスク
- 感染症リスク(市中肺炎)
- 低マグネシウム血症のリスク
についてを、またOTC医薬品を含む全てのPPIについてはラベルで、下記について黒枠警告で注意喚起すべきだとしています。
- クロピドグレルとの相互作用(オメプラゾールは、他剤に比べよりリスクが高い)
- ビタミンB12の欠乏
- 急性間質性腎炎の可能性
- PPIによる逆流食道炎の治療期間の検討
なお請願書では、ミコフェノール酸モフェチル(吸収低下→血中濃度減少)、メトトレキサート(クリアランス減少→血中濃度増加)についての相互作用や、がんとの関連についても懸念が示されている他、代替治療法も含めた適正使用についての勧告も行っています。
本サイトでもたびたび紹介した内容がほとんどですが、今回の請願の背景には、過剰処方と長期使用への懸念があるものと思われます。
関連情報:TOPICS
2011.03.03 長期間のPPIの使用は低マグネシウム血症のリスクあり(米FDA)
2010.05.26 PPI使用による骨折リスクがラベルに追記へ(米FDA)
2010.03.22 欧州医薬品庁もクロピドグレルとオメプラゾールを併用しないよう勧告
2009.11.18 クロピドグレルとオメプラゾールの併用は避けるべし(米FDA)
参考:
Acid Reflux Drugs: Public Citizen Petitions FDA for Stricter Warnings
(ABC NEWS 2011.08.23 MedpageTODAY 配信)
http://abcnews.go.com/Health/Drugs/acid-reflux-drugs-public-citizen-petitions-fda-stricter/story?id=14365447
2011年08月24日 14:15 投稿