FDA諮問委、ビスホスホネート製剤のリスクベネフィットを検討

 近年、顎関節壊死(ONJ)の他、非定型大腿骨転子下骨折や食道がんなどの関連性が疑われる有害事象の報告があるビスホスホネート製剤(BP)ですが、これらのリスクと有用性、長期使用の安全性についての検討を行う米FDAの合同の諮問委員会が9月9日に開催されます。

September 9, 2011: Joint Meeting of the Reproductive Health Drugs Advisory Committee and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee Meeting Announcement
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm262477.htm

 諮問委員会で討議される資料も7日アップされています。

Briefing Information for the September 9, 2011 Joint Meeting of the Reproductive Health Drugs Advisory Committee and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/
Drugs/DrugSafetyandRiskManagementAdvisoryCommittee/ucm270957.htm

  注目は、FDA提出の資料(→PDF:2.13MB)で、次のような点を指摘しています。

  • BPの使用が4年を超えると4年未満と比べONJの発現リスクが4.45倍に高まる(有意差なし)、また4年以上の継続使用は発現リスクが2.11倍に高まる(有意差あり)としたデータがあり、4年を超える継続使用に留意する必要があるが、これらの研究はprevalence study(有病率調査)であり、この結果には留意する必要がある。(p19-20)
  • 定型大腿骨転子下骨折の発現率は低く、BP使用との関連ではない可能性がある。また、累積使用によるリスク増には同意しない。(p23)
  • BPの使用と食道がんの関連性がある決定的な証拠はなく、長期使用と食道がんとの関連性があるかどうかは結論できない(p26)

 審議の行方はどうなるかはわかりませんが、おそらく長期使用の有用性について検討が行われ、投与期間を限定するかどうか、休薬期間を設けるかどうかについての議論が行われるものと思われます。結果が注目です。

関連情報:TOPICS
  2010.10.14 ビスホスホネート製剤による骨折リスクを追記(米FDA)
  2010.03.11 長期間のビスホスホネート服用と大腿骨の骨折リスク(米国)
  2010.08.12 ビスホスホネートは食道がんなどのリスクを増大させない

参考:
FDA Committee to Review Osteoporosis Drug Safety
(ABC NEWS 2011.09.06)
http://abcnews.go.com/Health/fda-committee-review-osteoporosis-drugs/story?id=14456489
F.D.A. to Review Safety of Popular Bone Drugs
(NewYork Times 2011.09.05)
http://www.nytimes.com/2011/09/06/health/06bone.html


2011年09月08日 01:07 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    資料発表を受けていくつか記事が出ています。

    FDA Panel to Weigh Break from Bisphosphonate Use
    (Medpage TODAY 2011.09.07 要登録)
    http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Osteoporosis/28398

    F.D.A. Staff: 5 Years May Be Enough for Bone Drugs
    (NewYork Times Blog 2011.09.07)
    http://prescriptions.blogs.nytimes.com/2011/09/07/f-d-a-staff-5-years-may-be-enough-for-bone-drugs/

    メーカー資料をよく見ていませんでしたが、長期使用の安全性についてのデータを示しているようです。