ビスホスホネートというと、顎関節壊死や骨折リスクを頭に思い浮かべますが、ニュージーランド当局のMEDSAFEが季刊で発行する Prescriber Update (→リンク)によれば、ビスホスホネート使用中の患者さんでまれではあるが、ぶどう膜炎や強膜炎など重篤な目の炎症症状を発現する場合があるそうです。
Reminder: Keeping an eye on bisphosphonates
(Prescriber Update 2011;32(3):24)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/PUArticles/BisphosphonatesSept2011.htm
上記によれば、 CARM(The Centre for Adverse Reactions Monitoring、有害事象モニタリングセンター)には2011年6月30日現在、関連性が疑われるぶどう膜炎(虹彩炎も含む)の発症について28の報告を受け取っていて、うち8の報告は使用との関連性があるとしています。
内訳は、アレンドロン酸が4例、パミドロン酸が3例、ゾレドロン酸が1例で、いずれの症例も治療開始後1か月以内に発症、中止により、回復したそうです。
日本で発売中のビスホスホネートの各添付文書には、確かに副作用の項にこのことについては触れられていますが、私自身はあまり重視はしていませんでした。
しかし、WEBでチェックしてみたところ、ビスホスホネート使用者への目症状発現への注意喚起は既に2003年にHealth Canada が発出しており、特別新しい話題ではないようです。
Bisphosphonates and ocular disorders
(Canadian Adverse Reaction Newsletter Volume 13 – Issue 4 – October 2003)
http://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/medeff/bulletin/carn-bcei_v13n4-eng.php#a1
医薬品安全性情報Vol.1 No.32 (2003. 11. 14)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly/32031114.pdf
上記から引用すると、眼の炎症の徴候は眼痛、赤み、異常な視覚(不鮮明もしくは二重の映像、視力低下、浮遊物(飛蚊症))および羞明があるとのことで、ビスホスホネートによるこれらの眼に対する影響はまれであるかもしれないが、医療関係者はその可能性を認識しておくべきであるとしています。
「ビスホスホネート」「ぶどう膜炎」で検索をかけたところ、日本でも似たような事例(→医師に相談アスクドクターズ)があり、国内でも事例が結構あるかもしれません。
ビスホスホネートの服用中の患者さん(特に服用開始直後)から目症状の訴えがあった場合には注意が必要のようですね。
ニュージランド以外ではどの程度情報が集積しているのか、添付文書にどの程度反映されているのか、余裕があったらチェックしてみましょう。
関連論文:
Drug-induced optic neuritis and uveitis secondary to bisphosphonates
(Journal of the New Zealand Medical Association, 10-March-2006, Vol 119 No 1230)
http://journal.nzma.org.nz/journal/119-1230/1888/
2011年09月16日 14:28 投稿