プラザキサによる出血事象の報告さらに増える

 プラザキサカプセルの市販直後調査・第4回中間報告(2011年8月13日現在)が公表されています。メーカーウェブサイトにも掲載されていますが、日病薬がHPで概要と合わせて紹介しています。(さすが対応が早い)

血液凝固阻止剤「プラザキサカプセル75mg、110mg」の副作用報告
(日本病院薬剤師会 2011年9月26日)
 http://www.jshp.or.jp/cont/11/0926.html

市販直後調査・第4回中間報告(平成23年8月13日現在)
 http://www.jshp.or.jp/cont/11/0926-1.pdf

 メーカーによれば、2011年3月14日の発売時から2011年8月13日までに重篤な出血事象が発現した症例は91例(死亡例8例)に達したそうです。

  • 91例の内訳は、消化管49例、頭蓋内20例、その他及び部位不特定が22例だった
  • 重篤な出血事象は投与開始後早期から発現しているが、しばらくたってから発現する症例もあった
  • 91例のうち79例は慎重投与すべき患者(高齢者・腎機能低下・併用注意薬剤の併用・消化管潰瘍の既往など)だった
  • 91例中75例は70歳以上の高齢者で、死亡例8例全て75歳以上だった
  • 91例中29例(死亡5例)では腎障害を有しており、そのうち11例(死亡4例)は高度な腎障害を有する患者で禁忌のケースだった
  • 91例中24例(死亡3例)では抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレルなど)が併用されていた
  • 91例中8例(死亡1例)では抗凝固薬(ワルファリンなど)が併用されていた
  • 91例中11例(死亡1例)ではP-糖蛋白阻害薬(ベラパミルなど)が併用されていた

 なお、同社では間質性肺炎4例など死亡例が15例に達していることも明らかにしています。(間質性肺炎については改訂添付文書に反映)

関連情報:TOPICS
 2011.08.13  プラザキサカプセルに安全性速報(ブルーレター)が発出


2011年09月27日 00:05 投稿

コメントが5つあります

  1. アポネット 小嶋

    豪州当局のTGAが10月5日、安全性情報を発出しています。

    Dabigatran (Pradaxa):
    risk of bleeding relating to use
    (TGA 2011.10.05)
    http://www.tga.gov.au/safety/alerts-medicine-dabigatran-111005.htm

    豪州では2009年以来47例の重篤な出血事象(消化管30例、頭蓋内6例など)が報告されていて、以下の特徴があるとのことです。

    ・重篤な有害事象のいくつかは、ワルファリンからダビガトランへの変更の際に起こった。
    ・有害事象の多くは、減量(the reduced dosage regimen)の際に起こった。
    ・重篤な出血事象は、ワルファリンでは頭蓋内出血が多いが、ダビガトランでは腸管内が多い。
    (上記日本でも同様か)

  2. アポネット 小嶋

    Bloomberg 紙とロイターがベーリンガー社への取材に対し、出血死は世界でおよそ50人に達していると答えているそうです。

    ただ、一方でこの数字は臨床試験の結果から想定の範囲内(むしろ少ないとのドイツ国内報道も)との認識も示しています。(今のところ海外サイトでもこの件についてのプレスリリースはない)

    Boehringer says about 50 deaths related to Pradaxa
    (Reuter 2011.11.2)
    http://www.reuters.com/article/2011/11/02/boehringer-pradaxa-idUSL5E7M21TB20111102

    Boehringer Confirms Pradaxa Drug’s Safety After Patient Deaths
    (Bloomberg 2011.11.2)
    http://www.bloomberg.com/news/2011-11-02/boehringer-confirms-pradaxa-related-deaths-die-zeit-reports.html

    下記ドイツの記事を引用して、日本での死亡数は14人と伝えています。

    Boehringer bestätigt Todesfälle durch Pradaxa in Deutschland
    (Zeit de 2011.11.2)
    http://www.zeit.de/vorabmeldungen/neu-in-der-aktuellen-zeit/seite-10

    この数字は、市販直後調査・期間終了後報告(2011年9月13日現在)と同じでしたね。(詳細は同社ウェブサイトへ)

    >2011 年3 月14 日の発売時から2011年9月13日までに138 例集積されています。
    >主な出血部位は消化管83 例、頭蓋内30 例でした。重篤な出血事象が発現した症
    >例のうち出血事象の重篤性が死亡と判定された症例は14 例集積されています。
    >主な出血部位は消化管9 例、頭蓋内3 例でした。
     
     http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/
    products/prescription/medicine_data/pxa_cap/pxa_cap_info_201110-2.pdf

    もともと出血リスクはワルファリンと変わらないのか、それとも日本では不適切(禁忌症例)に処方されていて多かったのか・・・

    (ちょっと訂正しました)

  3. アポネット 小嶋

    豪州TGAは3日、bradaxaに関する安全性情報を発出しています。

    Dabigatran (Pradaxa) & the risk of bleeding:
    new recommendations for monitoring kidney function
    (TGA Safety Advisory 2011.11.03)
    http://www.tga.gov.au/safety/alerts-medicine-dabigatran-111103.htm

    Dabigatran (Pradaxa):
    risk of bleeding relating to use
    (TGA Safety Advisory 2011.11.03)
    http://www.tga.gov.au/safety/alerts-medicine-dabigatran-111005.htm

    重篤な出血例は70例(うち消化管出血が48例、頭蓋内が6例)ですが、死亡数については言及していません。

  4. アポネット 小嶋

    ドイツ国内の各紙は12日、ダビガトラン関連死が世界で256人に達したと報じています。

    Arzneimittelbehörde meldet Hunderte Todesfälle
    (SPIEGEL-ONLINE 2011.11.12)(→Google翻訳
    http://www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,797367,00.html

    Boehringer says about 260 deaths related to Pradaxa
    (Reuter 2011.11.12)
    http://www.trust.org/alertnet/news/boehringer-says-about-260-deaths-related-to-pradaxa

    ドイツのベーリンガー社もプレスリリースを出しています(英文はまだ)

    Patienten mit Vorhofflimmern sollten sich weiterhin vor Schlaganfällen schützen
    (Archiv Pressemitteilungen 2011.11.12)(→リンク →Google翻訳

    ドイツ語はあいまいなので自信はありませんが、こちらは「致死的出血事例が260」となっています。(=死亡例?)

    ちょっと前まで50人とされていた数字が5倍になったことで、ドイツ各紙がこぞって伝えています。

  5. アポネット 小嶋

    独ベーリンガー社は、ドイツ国内の報道に押されて、16日、詳細情報を公表しています。

    これまでの臨床試験で得られた想定より少ないとしています。

    (最後の方で、英米での配布を目的としたものではないとの但し書きがある)

    Boehringer Ingelheim macht Zahlen zu Pradaxa öffentlich zugänglich
    (Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG 2011.11.16)
      →原文 →Google翻訳