Arch Intern Med.誌に、高齢女性で多く使用されているサプリメントの一部に死亡率を高める可能性があるとした論文が掲載されています。(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介しています。記述法などに誤り等ございましたらご指摘下さい。)
研究の 目的や背景 |
慢性疾患にサプリメントがしばしば使用されるが、長期間摂取による影響は調べられていない |
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研究の方法 | observational study |
どんな患者が研究の対象? | Iowa Women’s Health Studyに参加している閉経後婦人38,772人のデータを解析(1986年の段階で平均年齢61.6歳なので、高齢女性のサプリメントの使用と死亡率の関係を調べたものとなる) |
何を指標? | 1986、1997、2004年にサプリメントの使用状況を報告してもらう |
何を比較? | 人口統計、食事のおよびライフスタイル要因、ホルモン補充療法の使用の有無などを調整して死亡率を比較 |
わかったこと | 毎日何らかのサプリメントを使用しる人は、研究の期間中、62.7%から85.1%まで増加した また2004年の段階では、女性の27%が4種類以上のサプリメントを答えた。 最も一般的に用いられるサプリメントは、カルシウム、マルチビタミン、ビタミンCとビタミンEであった カルシウムを除いて、サプリメントの使用が死亡率の絶対的リスクを2.4%~18%増加させるという結果となった
鉄については、用量依存的にリスクが増す |
コ メ ン ト | 研究者らは、サプリメントの使用は医学的な使用に限るべきだとして、食事で栄養がとれている人が予防目的で使用することは勧奨できないとしています。 抗酸化作用のあるサプリメントの使用は有害との報告も散見されますが、一般的なサプリメントについても、健康増進・疾病予防目的での使用は好ましくないことを示唆しています。栄養はまずは食べ物からということなのでしょう。(現場では、サプリメントのアドバイスより食事のアドバイスが重要?) |
論 文 名 | Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women The Iowa Women’s Health Study |
掲載雑誌 | Arch Intern Med. 2011;171(18):1625-1633. |
リ ン ク | http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/171/18/1625 |
参考:
Dietary Supplements Linked to Higher Death Risk
(Medpage TODAY 2011.10.10 要登録)
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/DietNutrition/28971
Dietary Supplements May Harm Older Women: Study
(HealthDAY 2011.10.10)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=657725
Vitamins linked with higher death risk in older women
(BBC NEWS 2011.10.11)
http://www.bbc.co.uk/news/health-15238610
2011年10月11日 10:54 投稿
AFPが日本語の記事を配信しています。
サプリメントの摂取は大半の人で不要、逆効果も 研究
(AFP BBNEWS 2011.10.11)
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2834166/7907095
こちらのブログでも記事がアップしました
閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外)
(内科開業医のオ勉強日記 2011.10.11)
http://intmed.exblog.jp/13789116/
NHS Chices で解説記事が出ています。
Vitamin pills and risk of death studied
(NHS Chices 2011.10.11)
http://www.nhs.uk/news/2011/10October/Pages/dietary-supplements-risk-death-older-women.aspx
NHSでは、何らかの病気が原因で鉄剤を摂取することがあり、結果に何らかの影響を及ぼす可能性があるとしています。
[NHS]ビタミン錠剤と死亡リスクの研究
(食品安全情報Blog 2011.10.12)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111012#p8
一方、一部報道もあったようですが、日本でも似たような研究報告がこの8月にありました。(こちらはがんリスク)
Use of vitamin supplements and risk of total cancer and cardiovascular disease among the Japanese general population: A population-based survey
(BMC Public Health 2011, 11:540)
http://www.biomedcentral.com/1471-2458/11/540
ビタミンサプリメント摂取とがん・循環器疾患
(がん予防・検診研究センター・リサーチニュース2011.08.25)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/584/2810.html
上記研究は、女性ではビタミンサプリメントの「過去摂取者」「摂取開始者」でがんリスクが高かったというものですが、健康食品の団体からは、この研究結果の報道について、不快感が示されているようです。
国立がん研の発表記事に、大きな疑問の声
(健康メディア.com 2011.10.11)
http://www.kenko-media.com/health_idst/007137.html
高齢者で、体内に吸収され必要とされる臓器などに利用されなければ、結局過剰になってる可能性。
ビタミンやサプリが悪いのでなく、代謝の問題をもっと調べる必要?
すぐサプリに頼る人は、自己判断で薬などを調整する可能性あり。
すなわち、体調が悪くても、きちんと受診しない可能性。
疑問と不快感だけでなく、何故そう言うデーターが出たかを分析したい気もします。