昨年10月、東京足立区でHbA1c値を薬局で測定し、数値が高い人には受診を勧めるというプロジェクトが始まったことを紹介(TOPICS 2010.10.20)しましたが、12日、この1年間のプロジェクトの途中経過が発表されています。
「指先HbA1c検査」の薬局店頭実施で全体の13%から糖尿病を発見
(糖尿病診断アクセス革命事務局 2011年10月12日)
http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=201110129824
上記プレスリリースによれば、プロジェクトには東京足立区内の薬局・ドラッグストア9施設が参加、2010年10月から2011年9月までの1年間に538名(男性233名、女性305名。糖尿病治療中の人は対象外)がプロジェクトに参加したそうです。
その結果、次のようなことがわかったそうです。
- 糖尿病が強く疑われた人が約13%(HbA1c:6.1以上、68名)
- 糖尿病予備群と疑われた人が約16%(HbA1c:5.6~6.0、84名)
- 538名のうち、男性では約3人に1人、女性では約2人に1人が定期的な健康診断を受けていなかった
- 特定健診(メタボ検診)対象外の40歳未満の男性でも、糖尿病が疑われるHbA1c:6.1以上)が9%に達した
1年間で536名という数は意外と少なかったですが、やはり薬局店頭でのHbA1cの測定は、生活習慣病対策におけるスクリーニングとして一定の有用性があることを示したものといえましょう。
海外では薬局店頭で血液チェックを行うなど、public health の実践の場(生活習慣病のスクリーニング)として薬局を有効活用するる国は少なくありません(むしろ日本は遅れている)。
近年の測定機器の進歩などを考えれば、日本での導入も容易なはずです。さらなる研究成果を期待します。
糖尿病診断アクセス革命 http://a1c.umin.jp/
関連情報:TOPICS
2010.10.20 糖尿病診断アクセス革命~地域薬局でHbA1c測定
2011.10.07 スイッチ候補10成分についての関係学会の意見2
2011年10月12日 22:04 投稿
個人的には現在の糖尿病の診断がHb1Acの測定のみで決める事には疑問を感じてます。
専門医で無い方は、検査値だけで薬を出し、食事運動指導など行っていません(特に高齢者)。
この結果を「薬剤師」として発展させていけたらと思います。店頭での「受診勧告」だけでなく「生活習慣改善指導」。
長期処方が当たり前になってきたのですから、3ヶ月も放ったらかしでなく、1ヶ月に1回は薬局で血圧・血液チェック(操作は自己測定)する方がいいんじゃないでしょうかね?何かあったらご相談をだけでなく。
私の事例(62歳、男性)ですが、Hb1Ac6.6-6.9、空腹時血糖値130-180と高めですが、主治医は糖尿病薬を処方していません。網膜検査を年2回して総合的に判断してもらっています。
コメントありがとうございます。今回のプロジェクトはあくまでも生活習慣病のスクリーニングとして地域薬局が活用できないかというもので、診断を行うことを目的としているわけではありません。
一方、海外ではスクリーニングの他に、walfarin management など、慢性疾患の管理状況や処方薬の効果確認のための薬局での血液チェックがおこなわれている国や地域(州)があります。
ぼんたさんも指摘されていますが、私も1か月を超える長期処方は好ましくないと思います。
1か月を超える処方については、1か月に1回は血圧や血液チェックをうけてからでないと薬を調剤できないといった仕組みもあってもいいと思います。(35日を超える処方は分割調剤を義務付けて、体調の確認をするとか。でも理想はリフィル処方せん)
鈴木さんにコメントさせて頂きます。
現在の糖尿病治療の水準だと、書かれている検査値は少し高いように見受けます。「総合的に」とされているように、勿論これだけで治療の是非を判断できるものではありませんが、我々薬剤師の業務の中で、一定の治療水準に達していない患者さんに対し治療内容の改善や他医受診を推奨することも、珍しいことではありません。
かかりつけの薬剤師はこの点に関して何かコメントしているのでしょうか。
7月11日NHK放送のあさイチで取り上げられています。
女性もご用心!糖尿病
(あさイチ 2012.07.11)
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/07/11/01.html
番組紹介のイベントでは学生(「日本薬学生連盟」の学生8人)がボランティアで参加したそうです。
買物ついでに糖尿病チェック~(千住)本町センター商店街で
(足立よみうり新聞 2012.06.25)
http://www.ayomi.co.jp/chiku05/detail.php?eid=02189
http://a1c.umin.jp/images/adachiyomiuri3.jpg
徳島、北九州でも取り組みを広げるそうです。
徳島県内の薬局店頭で手軽に糖尿病検査- 要受診者や予備軍の早期発見を目指す
(医療介護CBニュース 2012.09.28)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38227.html