食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価書(案)

 現時点では報道が全くありませんが、食品安全委員会はこのほど「食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価書」をまとめ、20日開催の食品安全委員会で提示し、パブリックコメントも開始しています。(締め切りは11月18日)

新開発食品評価書(案)
食品に含まれるトランス脂肪酸
(2011年10月 食品安全委員会新開発食品専門調査会)
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc3_nf39_trans-sibosan_231020.pdf

評価書(案)概要
http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/pc3_nf39_trans-sibosan_231020_gaiyo.pdf

評価書(案)に関するQ&A
http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/pc3_nf39_trans-sibosan_231020_qa.pdf

 食品安全委員会においては、食品に含まれるトランス脂肪酸について、これまで「食品に含まれる化学物質等の健康影響評価に関する情報収集調査」(平成17年度)、「食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査」(平成18年度)により調査を実施し、ファクトシートを公表(最終更新:平成22年12月26日)(→リンク)していますが、今回の評価書(案)では、次のように結論付けています。

  • 平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国における研究結果によれば、トランス脂肪酸の摂取により、冠動脈疾患の発症については増加する可能性が高いと考えられた
  • また、肥満及びアレルギー性疾患についても関連が認められたが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、加齢黄斑変性症及び認知症については、その関連を結論できなかった
  • 妊産婦、胎児等に対しては健康への影響が考えられた
  • しかしながら、現時点の平均的な日本人の摂取量において、これらの疾病罹患リスク等と関連があるかは明らかでない
  • 食品中のトランス脂肪酸含有量については、全体としては減少しているが、製品に
    よるばらつきが非常に大きいと考えられた
  • トランス脂肪酸の摂取量について、推計にあたっては得られたデータに制約があり、習慣的な摂取状況、個人差、製品ごとの含有量の違い等を考慮したものではないが、日本人の大多数がWHO の勧告(目標)基準であるエネルギー比1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる
  • しかしながら、脂質に偏った食事をしている個人においては、トランス脂肪酸摂取量のエネルギー比が1%を超えていることがあると考えられるため、留意する必要がある
  • トランス脂肪酸はヒトに不可欠なものではないことから、できるだけ摂取を少なくすることが望まれる。しかし、脂質は重要な栄養素であることから、脂質全体の摂取バランスにも配慮した、栄養バランスのよい食事を心がけることが必要と考える
  • 食品中のトランス脂肪酸含有量については全体として近年減少傾向にあるが、一部製品においては10%を超える製品もあることから、食品事業者においては引き続き食品中のトランス脂肪酸含有量の低減に努める必要があると考える
  • リスク管理機関においては、今後とも日本人のトランス脂肪酸の摂取量について注視するとともに、引き続き疾病罹患リスク等に係る知見を収集し、適切な情報を提供することが必要である
  • なお、食品中のトランス脂肪酸低減に伴い、含有量の増加傾向が認められた飽和脂肪酸については、「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」での目標量の上限を超える性・年齢階級があることから、今後とも留意が必要である

 なお、今回の評価書(案)について、食品安全委員会ではパブリックコメントを開始しています。

食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価
に関する審議結果(案)についての御意見・情報の募集について
(内閣府食品安全委員会事務局評価課 2011年10月20日)
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc3_nf39_trans-sibosan_231020.html

関連情報:TOPICS
 2010.10.09 トランス脂肪酸の情報開示に関する指針案が公表
 2010.09.11 トランス脂肪酸ファクトシート(消費者庁)


2011年10月21日 16:57 投稿

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