論文・報告あれこれ 2011年10月

 今月のちょっと気になった論文や報告です。誤りがあったらご指摘下さい。月ごとにまとめて随時追加する予定です。 

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ)
概要・コメント
 10.13 The Impact of Complementary and Alternative Treatment Modalities on the Care of Orthopaedic Patients
(J Am Acad Orthop Surg October 2011 (19)10 634-643)

ハーブ系サプリメントには処方薬との相互作用があり、手術や慢性疾患の管理に際し注意が必要という論文。アブストラクトだけでは、情報が不十分だが、内容的にはAustralian Prescriber 掲載記事近い様子→リンク
10.13 Vitamin E and the Risk of Prostate Cancer
JAMA. 2011;306(14):1549-1556)
(今のところオープンアクセス)

 セレンとビタミンEを用いたがん予防試験(SELECT)の更新情報。ビタミンEを毎日400 IU摂っている男性は、プラセボを摂っている男性より前立腺がんが17%多かった。
10.13 Are sugar-free confections really beneficial for dental health?
(British Dental Journal 211, 324 – 325. Published online: 7 October 2011)

キシリトールなどの多価アルコールを含むガムは虫歯予防には有用だが、酸性の添加物や防腐剤の存在によって、Dental Erosion(歯牙酸蝕症・酸蝕症→Wikipedia)といった影響を及ぼす可能性がある。(NHS Choice では明確な根拠は見つけられなかったと指摘。ちなみにフィンランド歯科医師会ではクエン酸のような酸触症発生のある酸を含んではならないとしています→日本フィンランドむし歯予防協会へリンク
10.03 Knowledge of, beliefs about, and
perceived barriers to the use of the
emergency contraception pill among women aged 18-51 in Nova Scotia
Pharmacy Practice 2011 Jul-Sep;9(3):148-155.)
(オープンアクセス)
カナダで行われた緊急避妊薬(ECP)についての電話アンケート調査の結果。770人について調査。18~31歳と32~51歳の2つに分けて、回答結果も比較しています。アンケートは34項目で、ECPについての知識、考え、アクセスについての障壁、使用するかどうかの意向などについて尋ねています。質問項目では「購入価格が40カナダドルが適正か」「男性薬剤師に相談することは心地よくないか」といったものもあります。(日本でもこういった調査は必要)
10.03 Self-reported responsiveness to direct-to-consumer drug advertising and medication use: results of a national survey.
BMC Health Services Research 2011, 11:232,Published 2011 Sep 23.)
(オープンアクセス)
薬物療法の状況と処方せん医薬品の患者直接広告(DTC:Direct-to-consumer)との関連を調べた研究。FDAが1081人の成人を対象に行った調査(回答率65%)で、25%がDTCに対し敏感だった(responsive)。処方薬を服用していない人では7%に留まったのに対し、服用薬の種類が多くなるにつれて敏感な割合が増え、5つ以上処方薬を服用している人では45%が敏感だった。
10.03 Health warning messages on tobacco products: a review.
Tob Control. 2011 Sep;20(5):327-37.)
(オープンアクセス)
たばこのパッケージに記された健康リスクに関する警告文などと健康への影響に関する94の論文をレビューしたもの。警告文のスペースが大きいほど認識度を高め、禁煙につながるとともにメッセージだけではなく画像(絵・写真)による警告はかなり効果的であるとしている。
10.03

Cigarette sales in pharmacies in the USA (2005-2009).
Tob Control. online first 2011 Sep 27. )

米国内におけるたばこの販売高について、2005年と2009年のデータを比較したもの。総たばこ売上高が17.43%減少しているにもかかわらず、薬局でのたばこの販売高は22.72%増加したという結果となった。(薬局での販売シェアは3.05%→4.54%) 研究者らは2020年の薬局での販売シェアは2020年には14.59%に達すると推測している。(日本ではドラッグストアでのたばこ売り上げはどのくらいあるのだろう?)

2011年10月13日 23:30 投稿

Comments are closed.