たばこ包装への警告写真義務化に待った（米国）

　米国では、2012年9月製造分からたばこ包装に視覚に訴える（写真・イラスト）警告文（graphic health warning）を義務付ける（TOPICS 2011.06.22　2010.10.11）ことが決まっていますが、5つのたばこ会社が、商業的表現の自由（an unconstitutional intrusion on commercial free speech）や言論の強要を禁じた憲法に抵触するとして、規制実施の差し止めを求めた訴えに対し、裁判所は制度導入を禁止する仮処分命令を出したそうです。

「汚れた肺」表示、義務化待った　たばこの害めぐり米地裁
（47NEWS 2011.11.08）
http://www.47news.jp/CN/201111/CN2011110801000082.html

たばこパッケージの警告写真義務、裁判所が差止命令　米国
（CNN 日本版 2011.11.08）
http://www.cnn.co.jp/usa/30004510.html

Court Blocks Graphic Labels on Cigarette Packs
（New York Times 2011.11.07）
http://www.nytimes.com/2011/11/08/health/policy/court-blocks-graphic-labels-on-cigarette-packs.html

Judge blocks FDA rule requiring graphic images on cigarette packs
（Ctv.Ca 2011.11.07 AP配信）
http://www.ctv.ca/CTVNews/Health/20111107/fda-cigarette-pack-111107

　裁判は長引くとの指摘が多く、2012年9月からの規制導入が困難となるのではないかとの記事が多くなっています。

　全世界的にたばこを売り込みたいたばこ会社にとって、たばこ規制の問題については国際紛争になる問題として指摘する人も多く、ロゴマークの標示を禁止する豪州の規制案（TOPICS 2011.04.11）に対してもたばこ会社は豪州政府を相手に提訴を行っています。この根拠となるのが「知的所有権」や「商標」の保護といった問題です。

国際経済紛争としてのタバコ規制問題
（経済産業研究所コラム　2011.07.12）
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0321.html

　またこの問題は、現在注目のTPP（Trans-Pacific Partnership：環太平洋戦略的経済連携協定→ウィキベディア）と無関係ではありません。TPPに参加を表明している豪州では今後、たばこ会社の言い分が認められて、何百万ドル、何十億ドルという損害賠償を支払わなければならなくなる可能性があるとの指摘もあります。（下記議事録参考）

　TPPを考える国民会議（http://tpp.main.jp/home/）の招きで講演されているニュージーランド・ オークランド大学ジェーン・ケルシー教授の仙台講演の様子（→動画・議事録・配布資料）などをみると、TPPに参加することで日本における厚生行政にもさまざまな影響が及ぶことがわかります。

　TPP問題については、関税撤廃で輸出がしやすくなる、安い輸入品が手に入るというメリットばかりが注目されがちですが、私たちが関わる分野でもどのような影響があるかを理解することが必要です。（TPPについてはまだわからないところが多いので情報を収集中。現時点では記事にするのは難しいです。）

関連情報：TOPICS
　2011.06.22　たばこ包装の新しい警告ラベルが正式に決まる（米国）
　2011.04.11　たばこの包装にロゴはいらない（豪州）
　2010.10.11　米国もたばこの包装に視覚に訴える警告文が導入へ

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2011年11月08日 14:42 投稿