最近の国内外の副作用等の報告状況

 11月14日、薬事・食品衛生審議会の平成23年度第2回医薬品等安全対策部会が開催され、2011年4月1日から7月31日までに厚労省に報告のあった医薬品の副作用報告についての集計結果が公表されています。

 このデータは、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものをもとに作成されていますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、該当する症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントされているために、ここに示した報告件数がそのまま症例数にはならないそうです。また厚労省では、個別に医薬品との関連性を評価したものではないとしています。

平成23年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2011年11月14日開催)
  厚労省資料(11月18日掲載) 議事録(後日掲載)

 資料3-2によれば、この間に4件以上の報告のあった医療用医薬品成分は下記のとおりです。(薬効分類コード421-430、625の一部、631以降は除く)

分類 医薬品名 剤形 副作用名(数字は件数)
112 ゾルビデム酒石酸塩 経口 譫妄8
112 フルニトラゼパム 経口 新生児薬物離脱症候群4
112 ミダゾラム 注射 呼吸抑制4
113 カルバマゼピン 経口 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹19、薬疹15、肝障害8、肝機能異常6、多形紅斑5、血小板減少症4、発疹4
不明 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹4
113 トピラマート 経口 体重減少4
113 バルプロ酸ナトリウム 経口 ファンコニー症候群4
113 ラモトリギン 経口 薬疹13、スティーブンス・ジョンソン症候群12、発疹12、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹8、攻撃性5、てんかん4、発熱4
114 アセトアミノフェン 経口 多形紅斑4、全身性皮疹4
114 ジクロフェナクナトリウム 経口 小腸潰瘍4
坐剤 ショック4
114 セレコキシブ 経口 多形紅斑12、薬疹12、スティーブンス・ジョンソン症候群4
114 ロキソプロフェンナトリウム水和物 経口 無顆粒球症4、薬疹4
117 アリピプラゾール 経口 悪性症候群5
117 オランザピン 経口 低血糖症4
117 クエチアピンフマル酸塩 経口 悪性症候群6
117 クロザピン 経口 悪性症候群4
117 デュロキセチン塩酸塩 経口 抗利尿ホルモン不適合分泌4
117 パロキセチン塩酸塩水和物 経口 攻撃性6、浮動性めまい5、悪心4、過量投与4、傾眠4、頭痛4、不眠症4
117 ミルタザピン 経口 顔面浮腫4、躁病4
117 リスペリドン 経口 悪性症候群5
117 塩酸セルトラリン 経口 意識変容状態5
117 炭酸リチウム 経口 各種物質毒性4
118 非ピリン系感冒剤(4) 経口 スティーブンス・ジョンソン症候群4
119 エダラボン 注射 出血性脳梗塞5、腎機能障害5、肝機能異常4
119 ガランタミン臭化水素酸塩 経口 嘔吐4
119 ドネペジル塩酸塩 経口 徐脈7
119 プレガバリン 経口 横紋筋融解症9、浮動性めまい9、意識消失7、傾眠5、意識変容状態4、筋力低下4
122 ロクロニウム臭化物 注射 血圧低下5、アナフィラキシーショック4
123 ジスチグミン臭化物 経口 コリン作動性症候群5
131 ラニビズマブ(遺伝子組換え) 注射 網膜色素上皮裂孔6、脳梗塞4
212 アミオダロン塩酸塩 経口 間質性肺疾患10
212 シベンゾリンコハク酸塩 経口 低血糖症5、低血糖昏睡4、徐脈4
212 ベプリジル塩酸塩水和物 経口 心電図QT延長17、トルサード ド ポアント5
212 メキシレチン塩酸塩 経口 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹10
213 フロセミド 経口 低カリウム血症4
214 アリスキレンフマル酸塩 経口 高カリウム血症6、血中クレアチニン増加4
214 エナラプリルマレイン酸塩 経口 血管浮腫8
214 オルメサルタン メドキソミル 経口 高カリウム血症4
214 テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド配合剤 経口 低ナトリウム血症5
214 バルサルタン 経口 拡張期血圧低下14、高カリウム血症7、死亡6、血圧低下5、
214 バルサルタン・ヒドロクロロチアジド配合剤 経口 拡張期血圧低下4、低ナトリウム血症4、血圧低下4
218 アトルバスタチンカルシウム水和物 経口 横紋筋融解症9、肝機能異常5、糖尿病4
218 エゼチミブ 経口 横紋筋融解症4
218 ピタバスタチンカルシウム 経口 横紋筋融解症4
218 ロスバスタチンカルシウム 経口 横紋筋融解症9、血中クレアチンホスホキナーゼ増加4
219 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 経口 腸管穿孔10
225 テオフィリン 経口 痙攣4
229 サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル 吸入 細菌性肺炎15
232 ランソプラゾール 経口 顕微鏡的大腸炎13
239 インフリキシマブ(遺伝子組換え) 注射 間質性肺炎8、注入に伴う反応7、肺結核7、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、急性扁桃炎4、肺炎4
239 メサラジン 経口 発熱4
241 ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン 注射 卵巣過剰刺激症候群5
243 チアマゾール 経口 無顆粒球症14
不明 無顆粒球症42
243 プロピルチオウラシル 経口 無顆粒球症5、抗好中球細胞質抗体陽性血管炎4
245 トリアムシノロンアセトニド 注射 偽眼内炎5
245 プレドニゾロン 経口 骨壊死17、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎7、糖尿病5、白内障5、B型肝炎4、好中球減少症4
249 インスリン アスパルト(遺伝子組換え) 注射 低血糖症8、抗インスリン抗体陽性6、コントロール不良の糖尿病4
249 インスリン グラルギン(遺伝子組換え) 注射 低血糖症11
249 インスリン グルリジン(遺伝子組換え) 注射 低血糖症31
311 アルファカルシドール 経口 高カルシウム血症5
332 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 経口 メレナ15、胃腸出血12、脳梗塞11、貧血11、INR増加5、間質性肺疾患5、食欲減退5、うっ血性心不全4、大腸出血4、浮動性めまい4、嘔吐4
333 フォンダパリヌクスナトリウム 注射 処置後出血4
333 ヘパリンカルシウム 注射 ヘパリン起因性血小板減少症7
333 ヘパリンナトリウム 注射 ヘパリン起因性血小板減少症24、筋肉内出血5
333 ワルファリンカリウム 経口 脳出血14
339 アスピリン 経口 医療機器内血栓4
339 クロピドグレル硫酸塩 経口 狭心症5
339 サルポグレラート塩酸塩 経口 末梢性虚血6、心不全5、脳梗塞4
339 チクロピジン 経口 肝障害4
342 腹膜透析液(4-7) 注入 感染性腹膜炎4
391 ズガマデクスナトリウム 注射 血圧低下9、アナフィラキシーショック5.、全身紅斑5、アナフィラキシー反応4、悪心4、
392 デフェラシロクス 経口 肝機能異常8、血小板数減少7、血中クレアチニン増加7、白血球数減少6、腎機能障害4
392 レボホリナートカルシウム 注射 間質性肺疾患5
394 アロプリノール 経口 薬疹10、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹9、中毒性表皮壊死融解症6、肝障害4、皮膚粘膜眼症候群4、無顆粒球症4
395 アルテプラーゼ(遺伝子組換え) 注射 出血性脳梗塞8、頭蓋内出血5、脳梗塞5、脳出血4
396 グリペンクラミド 経口 低血糖昏睡8、
396 グリメピリド 経口 低血糖昏睡20、低血糖症13
396 シタグリプチンリン酸塩水和物 経口 急性膵炎17、低血糖症14、間質性肺疾患13、肝機能異常5、急性腎不全5、低血糖昏睡5、心不全4
396 ピオグリタゾン塩酸塩 経口 膀胱癌84、心不全7、
396 ビルダグリプチン 経口 低血糖症10、肝機能異常4、肝障害4
396 ボグリボース 経口 腸壁気腫症5
396 メトホルミン塩酸塩 経口 乳酸アシドーシス5
399 アダリムマブ(遺伝子組換え) 注射 肺炎9、間質性肺疾患5、敗血症5、発熱5
399 アバタセプト(遺伝子組換え) 注射 肺炎4
399 アレンドロン酸ナトリウム水和物 経口 大腿骨骨折17、顎骨壊死15
399 エタネルセプト(遺伝子組換え) 注射 間質性肺疾患9、感染4
399 シクロスポリン 経口 血小板数減少6、BKウイルス感染5、サイトメガロウイルス感染5、腎機能障害5、肝障害4、高血圧4、腎障害4
399 ゾレドロン酸水和物 注射 顎骨壊死22、骨髄炎5、急性腎不全4、播種性血管内凝固4
399 タクロリムス水和物 経口 腎機能障害7、サイトメガロウイルス血症8、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、間質性肺疾患6、肺炎6、帯状疱疹5、糖尿病5、薬物相互作用5、サイトメガロウイルス血症4、一過性脳虚血発作4
不明 サイトメガロウイルス血症10、サイトメガロウイルス感染6、エプスタイン・バーウイルス関連リンパ増殖性障害4
399 ナファモスタットメシル酸塩 注射 アナフィラキシーショック10、ショック6、血圧低下5
399 パミドロン酸二ナトリウム水和物 注射 顎骨壊死8
399 ミコフェノール酸 モフェチル 経口 白血球数減少9、下痢5、好中球数減少5、気管支炎4、
399 メトトレキサート 経口 間質性肺疾患17、リンパ増殖性障害15、リンパ腫11、血小板数減少8、白血球数減少7、汎血球減少症7、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、B型肝炎4、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫4、血小板数減少4
不明 リンパ腫4
399 ラロキシフェン塩酸塩 経口 深部静脈血栓症4、肺塞栓症4
399 リセドロン酸ナトリウム水和物 経口 顎骨壊死9
399 レフルノミド 経口 アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加4
442 ブシラミン 経口 間質性肺疾患9
449 ケトチフェンフマル酸塩 経口 痙攣5
449 トラニラスト 経口 肝機能異常7
611 アルベカシン硫酸塩 注射 腎機能障害4
613 アモキシシリン水和物 経口 多形紅斑6、出血性腸炎4、中毒性皮疹4
613 スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム 注射 アナフィラキシーショック6
613 セフジトレン ピボキシル 経口 低血糖症5
613 セフトリアキソンナトリウム水和物 注射 薬疹4
613 メロペネム水和物 注射 間質性肺疾患4
614 クラリスロマイシン 経口 多形紅斑4
617 アムホテリシンB 注射 多形紅斑9
621 サラゾスルファピリジン 経口 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹6、発熱5
624 メシル酸ガレノキサシン水和物 経口 スティーブンス・ジョンソン症候群4、肝機能異常4、徐脈4
624 モキシフロキサシン塩酸塩 経口 心電図QT延長8
624 リネゾリド 注射 血小板数減少7
624 レボフロキサシン水和物 経口 低血糖症9、アナフィラキシー反応7、アナフィラキシーショック6、横紋筋融解症6、痙攣5
625 バラシクロビル塩酸塩 経口 意識変容状態13、急性腎不全7、構語障害6、譫妄4
625 バルガンシクロビル塩酸塩 経口 白血球数減少6、好中球数減少4
625 ペラミビル水和物 注射 好中球数減少4
625 リバビリン 経口 貧血7、発熱5、ヘモグロビン減少4、ヘモグロビン減少4
629 テルビナフィン塩酸塩 経口 肝機能異常5

 資料3-2:国内副作用報告の状況(医療用医薬品)[PDF:1447KB]より引用

 今回も前回と同様の傾向でしたが、セレコキシブ、プレカバリンの他、ピオグリタゾンの報告が気になりました。(フランスの問題で、報告が急増?)

 一方、一般用医薬品についての副作用報告も公表されています。(個人的には、商品名もはっきり書いた方がいいと思います)

 資料3-3:国内副作用報告の状況(一般用医薬品)[PDF:270KB]

 詳細については、医薬品医療機器総合機構HP(http://www.info.pmda.go.jp/)の「副作用が疑われる症例報告に関する情報」のページでの検索も可能です。(以下同機構サイトへリンク)

 副作用が疑われる症例報告に関する情報について(平成16年度以降の報告)
 副作用が疑われる症例報告の活用方法について(PDFファイル)

 一方、海外における添付文書の変更や当局の発表をまとめたものをあわせて発表されてしています。今後はこれらの知見を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。やはり代表的な重篤な副作用は、患者さんに伝えることが必要だと改めて感じさせられます。

 資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:663KB]

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2011年11月19日 22:17 投稿

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