前記事の2011年4月から7月までの外国における新たな措置の報告状況[PDF:663KB]のp.19を見て思い出したのですが、9月開催の欧州医薬品庁(EMA)のヒト医薬品員会(CHMP)の医薬品安全性監視作業部会(PhVWP)で、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死融解症(TEN)などの重篤な皮膚反応のリスクが高い薬剤について、製品情報に関する統一的表示を記載することが勧告されています。(実はどう訳していいかわからなかったので記事にしなかった。一応メモ程度と思って下さい)
Pharmacovigilance Working Party (PhVWP)
September 2011 plenary meeting Monthly report
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/
document_library/Report/2011/09/WC500115279.pdf
SISやTENは、皆さんもご存じのように生命を脅かすこともある重篤な副作用であり、PhVWPでは、これら副作用の早期発見と治療を可能にするため、下記14成分をハイリスク薬として製品情報の記載を統一化するそうです。
- 痛風治療薬:アロプリノール
- 抗てんかん薬: フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギン
- 消炎鎮痛薬:メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム
- 抗ウイルス薬:ネビラピン
- スルホンアミド系抗菌薬:スルファジアジン、スルファドキシン、sulfafurazole、スルファメトキサゾール
- スルホンアミド系抗炎症薬:スルファサラジン
統一の製品情報には、具体的な初期症状や発症までの期間や頻度などが記されるそうです。
日本でも重篤副作用疾患別対応マニュアル(→Keywords)で、これあら副作用の概要がまとめられていますが、PhVWPのレポートで引用されている文献を見ると、欧州では薬品ごとのリスクの違いについての研究が行われ、注意すべき成分がまとめられています。
Stevens–Johnson Syndrome and Toxic Epidermal Necrolysis: Assessment of Medication Risks with Emphasis on Recently Marketed Drugs. The EuroSCAR-Study
(J Invest Dermatol. 2008 Jan;128(1):35-44. Epub 2007 Sep 6)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17805350
http://www.nature.com/jid/journal/v128/n1/full/5701033a.html
http://www.nature.com/jid/journal/v128/n1/pdf/5701033a.pdf
(オープンアクセス)
副作用の発現にも人種差があるといわれていますので、参考程度にとどめた方がいいとは思いますが、この論文よれば上記リストのネビラピン(相対危険度(RR)>22)、ラモトリギン(RR>14)の他、セルトラリン(RR=11[2.7-46])、pantoprazole(RR=18[3.9-85])、トラマドール(RR=20[4.4-93])なども関連性の可能性が高いとしています。
また、下記のような記載もあります。
“highly suspected” drug | アロプリノール、スルフォンアミド類、カルバマセピン、ラモドリギン、ネビラピン、オキシカム、フェノバルビタール、フェニトイン |
other “suspected” drug | アミノペニシリン類、テトラサイクリン類、キノリン類、セファロスポリン類、マクロライド類、ジクロフェナクと関連のNSAIDs、コルチコステロイド、アセトアミノフェン、ピラゾロン類、アセチルサリチル酸 |
any suspected non-drug confounding risk factor | with HIV, other infections, recent cancer, recent radiotherapy, collagen vascular disease |
ちなみに日本では、ネビラピンとラモトリギンについては、SJSの可能性が警告欄に記されています。(欧州のようにこれ以外の成分についても薬情に反映させることも必要かも)
2011年11月20日 00:40 投稿