私の記憶ではあまり例がない、地域薬局の調剤データベースを用いた研究がPLoS One 誌に掲載されています。
Oseltamivir Prescription and Regulatory Actions Vis-à-Vis Abnormal Behavior Risk in Japan: Drug Utilization Study Using a Nationwide Pharmacy Database
(PLoS ONE 6(12): e28483. Published: December 6, 2011)
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0028483
日本語のアブストラクト→(Wordファイル)
研究の概要は上記日本語のアブストラクトを見て頂ければわかりますが、2007年3月のオセルタミビル(タミフル)の10代の使用制限で処方数がどのように変化したかをこれら薬局の調剤データベースで調べるとともに、経時的にメディアにおけるこれら薬剤の表出頻度や副作用自発報告数と対比させて解析したというもので、データベースはアイン薬局とクラフト社のものが使われたそうです。(文部科学省と厚生労働省がサポート)
研究者らは、オセルタミビルの使用規制の結果、処方数と異常行動報告数を効果的に減少させた一方、オセルタミビル投与を受けた10歳未満患者とザナミビル(リレンザ)投与患者における異常行動報告数が増加していると指摘し、現行の年齢別、薬剤別に異なる安全性対策の妥当性に関する検討が必要だとしています。
こういった研究における倫理規定ですが、論文には自動化された電子データベースから取り出されたものであり、疫学的倫理指針に従って個々の患者から告知に基づく同意を得ることから免除されるとしています。
医学研究のための患者データベースがまだ整備されていない我が国においては、今後一定期間はこういった地域薬局のデータベースを用いたた医学研究も有用かつ必要だと考えられます。
2011年12月21日 18:26 投稿
この研究は2010年度に行われた厚生労働科学研究が基になっています。
日本語のPaperは、下記掲載の記事からたどってみて下さい。
TOPICS 2012.04.15 医薬品のリスクコミュニケーション(厚生労働科学研究)