セラペプターゼ製剤(ダーゼン)の回収を発端とした、リゾチーム塩酸塩などの消炎酵素剤の有効性をめぐる問題ですが、今日12月22日に開催される食品衛生審議会の医薬品再評価部会に先立って、発売メーカーが適応症削除の申請を21日に行っています。
卵白リゾチーム製剤「ノイチーム®」に関する承認事項の一部変更申請について
(エーザイ株式会社プレスリリース12月21日)
http://www.eisai.co.jp/news/news201180.html
リゾチーム製剤販売各社は、「歯槽膿漏症(炎症型)」および「小手術時の術中術後出血(歯科、泌尿器科領域)」についての有効性を証明することが困難と判断、適応症の申請の取り下げということになったようです。
他の適応症につては、医薬品再評価部会での審議後(非公開)に何らかの方向性が示されるものと思われます。
関連情報:TOPICS
2011.01.20 ダーゼンなどの消炎酵素剤、実は効果なし?
2011.02.21 武田、ダーゼンの自主回収を発表
参考:日刊薬業WEBフリーサイト12月21日
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/kigyo/article/1226566021227.html?pageKind=outline
2011年12月22日 13:37 投稿
12月22日の医薬品再評価部会の議事録は、いずれ公表になると思いますが、26日の日刊薬業に以下の記事が掲載されていました。『再評価部会 リゾチーム塩酸塩など再評価指定を了承 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会は22日開かれ、武田薬品工業の「ダーゼン」の類薬の消炎酵素製剤2成分について再評価指定の可否を審議し、指定することを了承した。対象企業に対して同剤の効能・効果に関する有用性を検証するための臨床試験を実施し、2015年5月末までに再評価申請を行うよう求める。指定の対象は▽リゾチーム塩酸塩(販売名=「アクディーム」/「レフトーゼ」/「ノイチーム」他、企業名=あすか製薬/日本新薬/サンノーバ/シオエ製薬 他)▽プロナーゼ(「エンピナース」、科研製薬)―の2成分。前回の6月部会では、委員から臨床試験デザインについて、指標評価項目を客観的なものに変更することや被験者の倫理性を確保すること、現在の効能・効果に対する医療ニーズを確認することなどの注文が付いた。これを受け各企業が試験デザインを修正した結果、委員から「基本的に了解を得た」(厚労省医薬食品局審査管理課)という。・・・・・』
ご存知のようにリゾチーム塩酸塩は、約50年前の昭和39年(東京オリンピック開催の年!)に承認になったもので、おそらく二重盲験試験もGCPもない時代の臨床試験結果で承認になったものと思われます。今回了承された試験デザインは不明ですが、今の時代の厳密な二重盲験比較試験(プラセボ対照)を実施したら、果たして良い結果は出るのでしょうか? 結果は4年先になるとのことですが、非常に興味があります。それまでは、一部効能・効果がなくなりますが、その間販売継続できるわけですね。
参考までに、代表的なリゾチーム塩酸塩製剤ノイチームの【用法・用量】を以下に示します。『通常、成人は1日リゾチーム塩酸塩として、60~270(力価)を3回に分けて経口投与する。本剤の体内での作用機序はなお解明されない点も多く、また、用量・効果の関係も必ずしも明らかにされていない。したがって漫然と投与すべきではない。』【後半の記載が大変気になります】http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/300220_3959001F1152_1_07.pdf
なお、過去2回の再評価部会の議事録が公表されています。肝心なところはマスクされていますが、それなりの雰囲気は伝わります。是非ご一読ください。
・2011年6月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品再評価部会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nly9.html
・2011年1月19日 薬事・食品衛生審議会 医薬品再評価部会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ekrg.html
1月20日付で、歯槽膿漏症など歯科、泌尿器科領域に関する効能・効果および用法・用量を削除する承認を取得したと発表されています。
これにより今後は、「歯槽膿漏症(炎症型)」および「小手術時の術中術後出血(歯科、泌尿器科領域)」の適応では使用することができなくなります。
卵白リゾチーム製剤「ノイチーム®」に関する
承認事項の一部変更申請の承認、および再評価指定について
(エーザイ株式会社プレスリリース 1月20日)
http://www.eisai.co.jp/news/news201205.html
一方、削除された以外の効能・効果についても、再評価の指定を受けたそうです。
議事録がアップされました。
薬事・食品衛生審議会 医薬品再評価部会議事録
(2011年12月22日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002883e.html
議事録中にある資料は現時点では公表されていません。